■エッセイ2021/09

▼「神々の食物」
文学者は、生きることと死ぬこととセックスが好きだ。だいたいの文学はそういうことについて書いている。まあたぶん突き詰めるとそうなってしまうのだろう。だがしかし、ここにはカレーが足りない。なぜみんなカレーについて書かないのだろうか。「FF外から失礼いたします。間違った知識です。カレーライスは当時の文豪たちにも好まれていましたし、『三四郎』の主人公が本郷でカレーを食べるシーンもあります。カレーが食べられない国の人に対する配慮を欠いています」などと、クソリプを送ってくるやつは全員煮込む。そもそも私が言っているカレーは「カレーライス」ではない。S&●とかココイ●とかボ●カレーなどというのは給食に出てくる甘めのクソであると言っても過言ではない。私にとってのカレーは「関西スパイスカレー」である。「関西スパイスカレー」――関西のシーンから現れた神の食物。異常香辛料混合液を炭水化物と混ぜて咀嚼すれば、あらゆる欲望が満たされる。「関西スパイスカレー」こそが唯一無二のリアルなカレーであり、エミネムもジブラも全部フェイクなのである。ガキの舌にはチューニングされていないカスリメティやパクチーやナッツやいろいろな謎の草と、ストロングなスパイスをガリガリと噛み砕きながら楽しむ「スパイスカレー」こそリアルな舐達磨。文学フリマ関西に、もし売人がいたら、こっそりブツを味見させてほしい。最高に質の高いブッ飛んだ文学の香りがするやつをお願いします。
(2018年からつけていたカレー食べ歩きメモが100件を達成しました。noteにて「カレー uminekozawa」で検索してください)

ここから先は

4,043字
この記事のみ ¥ 100

よりよい生活のために役立てます。