海よりも月と星がスキです。文章を書くお仕事しています。日常をつらつらと。 🕊:@umi…

海よりも月と星がスキです。文章を書くお仕事しています。日常をつらつらと。 🕊:@umi090194

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この世界で生きている証

パソコンを起動させ、タブを開く。 ドキュメントを立ち上げ、まっしろでまっさらな背景に黒い文字をカタカタと打ち込んでいく。 今日はどんな話に出会うのかな。 *** 「言葉を書く仕事がしたい」と思ったあの日。あの頃の私はひどく疲れていた。 まだ寝ぼけている身体になんとか朝ごはんを取り込み、時間よりも少し遅れて到着するバスにハラハラさせられつつ、朝礼に間に合うように駅から会社までの道を走る。慣れないヒールを履いて過ごす日々は、コツコツという軽やかな音を立てていた。新しい生

    • 夏の陽炎

      夏。眩しい日差しに応えるように空に応えるようにセミが鳴き、休みに入った子どもたちの声が、どこからともなく聞こえてくる。梅雨明けのせいもあり、晴れという事実だけで気持ちがグッとあがる気がする。 ……と文字に起こすとあたかも素敵な季節に見えるが、実際はこんな優しいものじゃない。 地面を燃やすように照りつける太陽に、何の迷いも感じさせない青々とした空。どこかジメッとした熱を帯びた風が運ぶのは、この季節独特の開放感。キンキンに冷えた空間から出たときのムワッとした空気は、自分の周り

      • ふと「選挙行かなきゃ」と思った話

        「選挙」って聞くとどうしてもハードルが高く感じるのはなぜだろう。理由はいろいろあると思うけれど、「行っても意味がない」「支持できる政党がない」といったあたりが大きな割合を占めると思う。 以前、仕事をしていたときに『個人の悩みは会社の問題』と言われたことがある。もう少し砕くと、個人の悩み→チームの課題→会社の問題という流れだ。これのスケールを大きくすると、個人の悩みは国の課題と言い換えることができるだろう。チームの部分は、住んでいる市町村、都道府県として考えられる。 そう、

        • たとえば、南極を想像してみる。

          ※このnoteは2021年5月に書いたものを調整して2022年の5月に公開しています。 梅雨入りした。1年でも過ごしやすい時期と言われる5月なのに。 目が覚めて最初に映る景色がグレーアウトの空という事実は、見事に私の気持ちを曇らせてくれる。「今日の東京の新規感染者は…」と流れてくるニュースは、より一層私をどんよりとした気持ちにさせる。 去年の梅雨明けは8月1日だった。四季の感覚が少しずつ変わってきていて、梅雨の存在感が増している。雨季がある国の人はどのような気持ちで過ご

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        この世界で生きている証

          呪いを解く

          「The pen is mightier than the sword(ペンは剣よりも強し)」 仕事で言葉を扱うようになって以来、より一層強く感じる。言葉一つで誰かの気持ちを救えたり、反対に追い込んでしまえたりする。それは自分以外の他者へはもちろん、自分自身に対しても同じことが言えるだろう。 私は自分で自分を責めることが得意だった。明確にいつから、とはわからないが、社会人になってから自分で自分を追い込むことで落ち着く、ということが定期的にあった。いわば呪いみたいなものだっ

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          甘いものとバレンタインデーが苦手だった話

          バレンタインデーに対して、あまり良い印象がなかった。年にいくつかあるイベントのなかで考えると、苦手なものとして捉えていた。理由は簡単、甘いもの≒チョコレートがあまり得意ではないからだ。 小学生の頃、学校帰りに仲の良い友達の家に遊びに行った。ゲームボーイアドバンスでぷよぷよで対戦したり、登場人物を決めて寸劇をやったりして遊んでいた。遊ぶことは大好きだったのだが、友人宅で出してくれるおやつが食べられるかどうか問題が、唯一の懸念点だった。嫌いなものがあるというより、食べず嫌いなも

          甘いものとバレンタインデーが苦手だった話

          自己肯定感を上げないという選択

          昨日は文字通り、秋晴れだった。 夕方になると、昼間32℃もあった部屋も涼しくなり、西日に照らされたバスタオルを見て、あぁもう夏じゃないんだと感じさせられる。2019年も残り2カ月ちょっとだ。 強い雨風にさらされた台風19号だったけれど、私の近所は無事で、秋晴れにぴったりな穏やかな時間が流れていた。当たり前なことなんて一つもないと分かっているものの、やはり目の当たりにしないと学べないのは人間の性なのかもしれない。できる時でもいいから、当たり前に感謝することは忘れないでいよう

          自己肯定感を上げないという選択

          月曜日はハードルを下げたい

          明けてしまった。今日はもうこの一言に尽きる。非日常生活だった連休が終わり、いつも通り水車が回るようにいつもの日常が始まった。連休に限らず、月曜日が憂鬱だという人は多いと思う。日曜日の夕方に体調不良や倦怠感を覚える状態を”サザエさん症候群”なんて呼んだことがある人も少なくないはず。この症状の似たものとして、「ブルーマンデー(bule monday)」もある。月曜日はある種の敵として扱われているのかもしれない。 ただ、これが日曜・月曜が休みなら火曜日が恨まれていただろうし、木曜

          月曜日はハードルを下げたい

          過不足のない文章

          小学生の頃、40日間ほどある夏休みは偉大だった。漢字ドリルとか計算ドリルは計画的に進めて、お盆前に終わらせていた気がする。我ながら優秀だ。一方で読書感想文や感想画、自由研究などちょっと重めの宿題はダラダラ最後の土日ぐらいまで時間がかかっていた。夏休みのラスボスのような存在だった。 なかでも読書感想文がすごく嫌だった。絵が苦手だったから感想画も苦手だったと思うんだけど、感想文のほうが嫌だった印象がある。原稿用紙3枚分、文字数にすると1,200字。ものによるけれど、パソコンで1

          過不足のない文章

          夏の甲子園、2つの安心感

          昨年で100回目を迎えた夏の甲子園。令和最初の夏の大会も、今日の試合でベスト8が出揃う。どこの学校が優勝するのかは誰も分からない。 「野球は9回裏2アウトから」と言われる言葉の通り、どんでん返しな展開が起こることがある。強豪校・優勝候補とささやかれていた高校が負けてしまったり、知名度が高くない学校が最後まで残ったり、”まさか”の展開が待ち受けている。両校の思いを想像すると胸が熱くなる。試合では勝者と敗者が決まるけれど、(もう全員優勝にしてあげてほしい…)と言いたくなるのは彼

          夏の甲子園、2つの安心感

          人生を運転に例えるのはナンセンスな気がする

          今日運転免許の更新をしてきた。駅から歩いて15分圏内に住みたいと思う私が、今の住所で良かったと思う数少ない1日だった。 免許をとったばかりのころに比べたら緊張しなくなったものの、未だに右折するときはドキッとするし、できるだけ赤信号の下にある矢印が点灯してから曲がりたいと思っている。実際、矢印が出るまで待っている。後ろの車から「今のタイミングで曲がれたじゃん」と声が聞こえてきそうだけど、申し訳ない、行けるかいけないかは私が決めることだ。 右折するタイミングを決めることは、人

          人生を運転に例えるのはナンセンスな気がする

          温かい記憶

          先週からお盆休みに入った。早起きせず、録画した番組を見て、ちょっと贅沢な休暇を送っている。一般企業に勤めている方は、私と同じく長期休暇を過ごしているのだろう。 その一方で、お盆に関係なく働いている人も多い。特にB to Cがメインとなる接客業は繁忙期と呼ばれているかもしれない。「お も て な し」をベースに考えられている接客は、質の高いサービスを求められる。 質の高い、というと堅苦しいけれど、おそらく「思いやりのあるサービス」を指すのだろう。ベースとなるマニュアルはあっ

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          夏へのあこがれ

          海、入道雲、蝉、向日葵、スイカ、風鈴、線香花火。これだけの言葉で夏を指していることに気づいた人は多いだろう。「夏」なんて単語を使わなくても違う言葉で表現できてしまう。私は夏が羨ましくて仕方ない。 小さいころから何者かになりたかった。幼稚園の七夕の短冊では「ピカチュウになりたい」と書いたし、アニメの主人公の彼女が言う「普通の高校生になりかった」という台詞も言いたかった。奇しくも、いや、当然のようにピカチュウにはなれなかったし、普通の高校生活を送った。 大学生になるとSNSの

          夏へのあこがれ

          思えば仕事にピッタリだった趣味の話

          6月中旬、梅雨に負けずに生きてますか? 5月にあった10連休は嘘なんじゃないか、1日ぐらい6月に分けてやっても良いんじゃないか、私はそんな気持ちで過ごしてます。 突然ですが、皆さんは自分の「推し」っていますか? 芸能人、イヌ、ミッキーマウス。人間でも動物でもキャラクターでも何でも構いません。彼氏もOK。あれも一種の推し要素があると思っているので(笑)。 愛が募って仕方ないものってきっと皆あると思うんですよね。たとえなかったとしても、別に対した差はないと思います。これか

          思えば仕事にピッタリだった趣味の話

          落ち込んでいる未来の私へ。

          拝啓  日記を書き始めたのは小学5年生のころからだったよね? 始めたころは「学校疲れた」「体育の授業でマラソンをやった」とか一行程度のもので、日記と読んでいいか分からなかったよね。中学に入ってからはもう少し長く書き始めて、友達の話や部活のこと、好きな人の話まで赤裸々に書いていたよね。恥ずかしくてたまらないんだけど、おかげで私の思春期の記憶は、読めばつい昨日のことのように思い出せるよ。良いことも、悪いことも。 2年前、新社会人の忙しいなかで書いた日記は、中学生のころのよう

          落ち込んでいる未来の私へ。

          行き場をなくした素直な気持ち

          人生は綺麗事ばかりじゃない。 疲れていてもスキップできてしまう夜もあれば、この夜が二度と明けないんじゃないか、この世で自分を必要としている人なんて誰もいないんじゃないかと、暗闇と孤独の境目がひどく曖昧になるときがある。だからこそ、嬉しかったり楽しかったときは思う存分はしゃぎたいし、そんな私の様子を見て誰かの硬くなってしまった心が緩むようなきっかけになれと、そんなことを思って過ごしている。 昔から人に惚れやすい性格だった。自分にないものを持っている人は魅力的に見えるし、同じ

          行き場をなくした素直な気持ち