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【詩】君に会いたい

誰より誰より遠くにいる君に届かない手を伸ばして届けたい
自分という存在が確かに今ここに在って
過去から紡がれている糸の見えない先の未来まで見ようとして立っていることを
君の体も心も遠すぎて
それは夢か現実か幻かさえひどくぼやけて滲んでゆく
それでも君を確かめたくて
どこまでもどこまでも走るのだ

どれくらいの距離を時間をなんてことはもうとうに忘れてしまうほど問題じゃない
ただ届かないこの手を伸ばし続けることに少し疲れてしまっただけ
でも手を自分の元に寄せた時
君が振り向くことを考えると
やっぱり届かない手を伸ばし続けて走り続けて
君の背中を見送らないよう渇きも飢えも堪えて行くのだ

動いているのは心なのか足なのか
それとも両方なのか
行き場のない心と行き場のない体が
どちらも不完全なまま不完全な夢をみてやまない
君に触れたい

この手を握り返して
世界で一番果てない夢をみる生き物になろう
だけど君に欠けたパーツは無いのかもしれないと
自分の中の誰かが言う
求めているのは求めてほしいのは自分だけで
この世を生き抜く夢も未来も強さも悲しみも君は持っているのかもしれない

なら自分は何だ
都合の良い寄せ集めの錯覚を抱いて
感情も意志も中途半端な模造生物
答えらしい答えが出ない
自分というたったひとつの複雑式が際限無く展開し宇宙が広がる

君に会いたい
誰より誰より遠くにいる君に触れたい
幻想のかけらような自分の形を
重さを体温を確かめて
この手を握り返して

君に会いたい

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