英語史の輪#120「umisioによるfreshの語源研究発表長崎オフ会/helwa合宿より生放送」のまとめ

 この度は、長崎オフ会/helwa合宿において、過去のheldioで関心を抱いていたfreshについて取り組む機会をいただいた.発表時間が2時間、今回のやりとりを通じて、語源の学びの楽しさを知るとともに、語源探究がどんなものなのか、少しだけ分かったような気がする。
 今回、改めてアーカイブを聴き、語源を辿るときの注意点や語源辞典との付き合い方など的確なる先生のご指導に感銘を受けつつ、あちこちでLilimiさんの気づき、合いの手に助けられていたのことを発見、驚嘆&感謝。さらに、おまめさんのコメントで広がりをみせた。
 聴きっぱなしでは身につかないので、簡単であるが、今回の学びポイント、今後の展望についてまとめみた。 

【学びのポイント】
①借用と系統の違い
 今回のfreshは、①印欧祖語→ゲルマン祖語→英語という系統的な流れ、と②フランス語、ラテン語がゲルマン祖語を借用する、という二つの流れがあった。(グリムの法則は、本来、イタリック語派は対象外だが、freshの場合はたまたまゲルマン祖語から借用していたので同じfになったに過ぎない。)系統は親子のような関係、借用は「縁もゆかりもない人が身内に入ってきて一緒に生活するうちに似てきた」という感じ。つづりだけでなく、系統と借用を頭に入れてないと危うい。
②語源辞典の中身は絶対視できない⚠️
 上から5行目◆ME fresh,fersh→つづりが二つ以上存在した可能性あり。二つ確認されているだけ。throughのつづりが515通りあったように。
③関連する各言語の状況も調べる必要がある
 仏語でも早い時期、 freshに「塩気のない」の意味があった(先生)。→古英語と同じ状況であれば理屈は通るが…。各言語の状況も踏まえないと何とも言えない。
④全てが虚構もありえる
 語源のゴールは「真実を明らかにする」というより「もっとも多くの人が合格点のを探す」だと思う(先生)
⑤語源の学びの広がり
 #120 23:20おまめさんから生コメント。「塩に関連する他の単語の意味変化を対照したり、味覚との関係から概念メタファー的に考えてみたら…。」ここから議論が広がった。
(ミサト)「高地に住んで塩を入手できない民族が動物の血で塩分を接種していたという話を聴いたことがある。こういう地で塩を意味する単語がどうだったのか?」umisio「イヌイットは生肉食で血液などから塩分を摂取していたのでわざわざ塩を摂る必要がなかったと言われている。」→そういう民族の言葉に「塩」という言葉があるのか?
(先生)印欧祖語まで遡ると塩はsalで再建されているが、海に相当する語は再建されていない。印欧祖語の故郷には海はなかったのでは?salの語がある、ということは?
(Lilimi)「塩気のある」で連想したのが「savoury」(①味のよい②快適な)。アフタヌーンティー※の三段のうち二段は甘いものだが一段はsavouryと呼ばれて甘くないもの(サンドイッチなど)。もう一つの意味「塩味がほどよく効いた」→塩味=美味しい
(先生)本来、味はニュートラルなものだが塩気に寄っている。甘い方には寄っていない。日本でも塩梅、味がしない=塩味が足りない。
(先生)salがらみでは、「サラダ」「サラミ」「サラリー」→「ソルジャー」?(umisio) 
◯今回のfreshの言葉にまつわる二つの視点(先生)
 ①塩味があることがポジティブなのかネガティブなのか
 ②一つの語でズバッと表現するのか(fresh)、二つの語を組み合わせて表現するのか(not  salt)
◯塩の重要性から言葉の広がりを探る
 塩の道などからの派生、文化など
◯対極の砂糖はどうなっている?
 塩と砂糖を考える際の参考:塩味は塩しか出せない、甘い味は色々ある。
 しょっぱかったら塩が必ず入っている。代替が効かない。この辺りから言葉を探しても。
◯仏語関連で
 仏語のfraisは「涼しい」→塩気寄り、甘い(doux)→暖かい 対極のような。

以上、第二部#120を中心に学んだ点をまとめてみた。個人的には本業とも関係のあるfresh、 salt関連(仏語など含めて)、味全般の言葉について調べていきたい。



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