見出し画像

年の暮れ

帰省ラッシュのピークを迎えた東京駅は絶望的な大混雑で、一秒でも早くこの場から脱出したいという一心で人込みをかき分け、東北新幹線のホームから東海道新幹線のホームへと向かう。

毎年、この時期は実家に帰省しているので、今回も例年どおり帰省したのだが、ここまでの混雑に直面すると「もう、年末年始に無理して帰省しなくてもいいかな」という発想が頭をかすめる。
実際、転職してから休みは取りやすくなったので、もはや年末年始しか休めないという訳でもない。そのうえ、福島へ転居したために帰省にかかる時間と費用が単純に倍になった。繁忙期料金と車内の混雑は結構なデメリットである。
これからの帰省は「盆正月を避ける」というのが合理的な判断ではなかろうかと、車販が来なくなったのぞみ号の中でぼんやりと考える。

ただ、コロナ5類移行後ということで、久しぶりの同級生の集まりなどもあるので帰らないわけにもいかない。しかも、転居先にまだ気の置けない友人もいないので気兼ねなく人と話せるというシーンが激減しており、こういう機会は貴重である。
久しぶりに会う旧友たちの転職したとか、資格試験に合格したとか、あるいは今度結婚するだとかいう近況をひととおり聞き、その後のとりとめのない会話はやはり楽しい。気づけば10年以上の付き合いのある友人たちだ。こういう関係性は、やはり大事にしないとなと、一人家路につきながら、酔った頭でふと思う。

思えば、大きく環境が変わったこの一年も人とのつながりの結果である。
昨年、仕事のストレスから身体を壊してしまってから、転職しようと動いてみたものの、なかなかうまくいかない状態が続いていた。その時に、たまたま上京した大学時代の友人から、福島での仕事を教えてもらい、気が付けば9年間暮らした東京を離れ、縁もゆかりもない福島に移り住んでいた。人生なんて思い通りにいかないものだとは思っていたが、本当にひょんなことから思いがけない方向へ転ぶものだ。

福島暮らしは、まだ半年程度だが、ワークライフバランスはきちんととれているし、何より今は仕事が楽しい。
もちろん、良いことづくめという訳ではない。給料は下がったし、任期付きの仕事なので、その後どうするかは考えなければならない。だが、まあ少なくとも来年一年間は、先のことを考えるより目の前のことに一生懸命取り組めばそれでよいかなと楽観視している。
この1、2年間は先のことをいろいろ考え、それで思い悩んでいた時間が多かった。環境が変わった今は、先のことよりかは今のことを考えつつ、手を動かし、足を伸ばし、動くことが肝要だと思う。

やりたいことがやれる時間なんて、そうそう恵まれるものでもない。それができる今、やるべきことは一つなんだろう。

ネガティブな私にしては珍しく明るい気持ちで年を越す。


皆様も、どうかよいお年をお迎えください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?