血の繋がりは時に呪縛 〜昔話と心の距離

心を乱されることや人とは、全力で距離をおく。
当たり前のようなことが難しい世の中だ。
例えば、ブラック企業からは全力で逃げるべきとはわかっている。
ただ、様々なしがらみがあってすぐに実行できない人もいるだろう。

最悪、その場所がブラック企業だと気がつかないことすらあり得る。

だからこそ、辛いと自覚した時点で逃げることは恥ではない。
むしろ、自身の身を守るためには大切なことでもある。

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わたしは家族、とりわけ両親とは距離を置くことにしている。
おおむね上記の理由が大きい。

わたしは北海道のとある市街地で生まれ育ち、高校卒業を機に関東へ移住した。
実家との物理的な距離はある。
ただ、わたしはもう両親とは極力言葉を交わさないようにしている。
心の距離も遠い。

先日も上京するからと食事に誘われたが、仕事を理由に断っている。
とはいえ心情として、多少葛藤したことは否定できない。
その気になれば、予定をずらすことも可能ではあったからだ。
にも関わらず、強硬姿勢を保ち断った最大の理由は明確にある。

シンプルに心を乱されるから。

一緒にいるだけで居心地が悪く、何でもない発言のひとつひとつに動揺させられる。
発した言葉のひとつひとつが、十中八九地雷なのだ。
本人が良かれと思って発言する数々の台詞が、わたしの神経を逆撫でしたり古傷を抉ったりして忙しい。

とはいっても、両親は世間的に見てもいわゆる「毒親」とは呼べない。
彼らの名誉の為に補足するが、ひどい虐待やネグレクトの類は一切受けていない。
一人間としてなら、魅力やユーモアがあって面白い人たちだとは思う(実際、両親とのエピソードはごくたまにネタにもする)。
彼なりに愛してくれて、懸命に育ててくれたものとは思っている。

けれど、親と子としての近すぎる距離感だとどうしても、様々なことがうまく回らなかった。

言いたいことは伝わらないし、むしろ揚げ足を取られる(ように感じる)。
理不尽に思えることに反論しても、言葉が拙いばかりに丸め込まれる。

フラストレーションばかりが蓄積していき、家を出るまではかなり苦しかった。

家を出てから数年間も生活面でまあまあ苦しかったものの、主に幸せな日々だった。

親の干渉の目から解放されたことが、ただただ、楽で仕方なかったからだ。
(自慢にもならないが、ホームシックには全くかかったことがない)

20代後半でやっと落ち着き、干渉から完全に解き放たれた頃。
わたしは仕事で趣味だったはずの占いに関わることになる。

その当時に印象的だったことがあった。

たしかその頃、勉強の一環で宿曜占星術の無料サイトを開いたのだ。
相性診断に定評があるらしい、と聞いたからだ。
友人知人を見た後、何の気なしに親との相性を見たわたしは仰天した。

……安壊と呼ばれる関係だったからだ。

安壊は簡単に言うと

(価値観の違いによって)神経をすり減らしたり破壊されたりする相手や関係性

を意味している。

まさにその通りで衝撃を受けた。
そして妙に納得がいった。

「家族や血の繋がりがあっても、他人と同じ距離感を保って良いんだ」

と気付けたのは、わたしにとってかなり大きな出来事だった。

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それからは両親と多少なりとも自分なりの距離感を保ち、心穏やかに過ごせるようになったと思っている。

相性が悪いのか。なら仕方ないね、と割り切れるようになった。

なので、わたしからすれば
「辛いけど、家族だから仲良くしなければ」
という考えは思い込みでしかない。
もちろん、家族間の仲が良ければ幸せには違いないけれど、相当恵まれている。

家族全員、仲良しが当たり前と考えるべきではない。

だから、居心地が悪い場所からは全力で距離を置くべきだと主張したい。
例え家族でも関係ない。
薄情者だと思われたって関係ない。
不意に傷つけられて、心が壊れるよりずっと良い。

血の繋がりがあるから・家族だから仲良くしなければ。
と思うのが苦しいなら、もはや呪縛でしかないのだ。

わたしの一例が大げさで主観が入り混じっていることは認める。
とはいえ、わたしの経験則から言えることもある。
家族間の関係で苦しんでいる人は、家族が仮に他人であることを想定してみてほしいのだ。

目の前にいる人は魅力的なのか。
積極的に友人関係を築きたいか。
人として尊敬できるか。
仕事仲間としては素晴らしいが、プライベートでは付き合いたくないかもしれない。
むしろ厄介者かもしれない。

いずれにせよ、あなたの中に眠る本音が答えだ。
仮に距離感を間違えていたのなら、今からでも遅くはない。
できるだけ早めに、自らの身を守ること・行動することを勧めたい。

#エッセイ #家族間の関係 #賛否両論は覚悟している

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