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Colourlab Ai 2.0 試してみた <第2刷>

AI 技術でカラーグレーディングを自動化する?!DaVinci Resolve、Adobe Premiere Pro、FCP とタイムラインを共有しながら、数クリックで動画のルックを整える Auto Color、Ai Reference など、話題の Colourlab Ai の機能はどこまで向上したのか? 実際に試していきます。

当記事は、動画制作のオンラインサロン UMU TOKYO で公開されたものです。限定公開を目的に有料化をしています。公開日:2023.4.23
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393


1. Colourlab Ai とは?

Colourlab Ai は、カラリストの Dado Valentic 氏が開発する、AI 技術によりカラーグレーディングの作業を効率化するためのソフトです。2020 年にその初期バージョンが発表され、2022 年には最新版となる Colourlab Ai 2.0 がリリースされています。

開発者である Dado Valentic 氏は、2016 年公開の Netflix 初となる HDR 仕上げのドラマ作品『マルコ・ポーロ』でカラーサイエンスの設計を担当するなど、これまで数々のハリウッド映画、Netflix 作品の色管理を手がけてきた経歴があるようです。また自身の YouTube チャンネルでは、ACES 環境のワークフローだったり、DaVinci Resolve のカラーグレーディング技術に関する解説動画が公開されています。

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Colourlab Ai 2.0 では、以下の機能を実現できるとされています。

Colourlab Ai 2.0 おもな特徴
・撮影素材の色や明るさをワンクリックで最適化
・異なる撮影素材のルックを数クリックで合わせる
・参考作品のルックをワンクリックで反映できる
・Premiere Pro、FCP とタイムラインを共有
・DaVinci Resolve とタイムラインを共有

もしこれが全て実現されれば、カラーグレーディングの作業がかなり効率化できそうですが、気になるのが AI 処理の精度 です。2020 年公開の初期バージョン Colourlab Ai 1.0 を試してみた感じでは、正直なところ、全体的にまだ実用レベルに達していない印象がありましたが、最新版となる Colourlab Ai 2.0 でその精度はどれほど向上したのか?

試していきたいと思います。


2. Auto Color を試してみる

はじめに、初期段階で用意されている Demo Project を使用して、Colourlab Ai の基本的な機能となる Auto Color を試してみます。Auto Color は、撮影クリップの色や明るさのバランスを整えて、映像をノーマライズするための機能ですが、まずはその精度を検証していきたいと思います。

初期設定で AI 処理のモードは Auto Color になっているので、そのまま AI 自動処理のボタンをクリックするだけで、処理が実行されます。AI 自動処理のボタンには、現在のフレームを解析するか?クリップ全体を解析するか?の 2 種類が用意されています。

AI 自動処理の結果がいまいちの場合は、Enter キーを押すと、それぞれ AI 画像解析の基準が異なる 10 種類の Matched Models(候補画像)が表示されるので、イメージに最も近いものを選択します。

さらに調整したい場合は、Color Tune 機能を利用することで、色や明るさの微調整をすることができます。Color Tune の調整項目は、Matched Model の下に表示されます。露出・コントラスト・彩度・WB の他にも中間域の明るさを調整する Density(濃度)という項目もあります。

Auto Color の処理の結果、露出が大きくアンダー、オーバーになるような場合は、0.5 STOP 刻みで露出補正ができる専用タブ(Exposure Tool)も用意されています。

手順としては、Exposure Adjustment の選択ボックスを使用して、AI 画像解析の基準をイメージ全体ではなく、特定のエリアに限定した上で、Exposure Tool のタブで露出を補正していくという流れになります。

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