インセイン「手を貸してほしい」



マルチジャンルホラーRPG・インセインのフリーシナリオです。

逢魔人が腕を切り落とすかもしれないシナリオです。
腕を切り落としたい一心で作りました。
君もPCの腕を切り落とそう!

公開:2019.8.15

インセインシナリオ「手を貸してほしい」
シナリオタイプ:特殊型
セッティング:本当は怖い現代日本
リミット:3
PL人数:2
使用ルールブック:『インセイン』『インセイン2デッドループ』
プレイ時間:テキセ3〜9時間くらい


あなたたちの友人、池里かなえから
届いたメールはただ一文

『手を貸してほしい』

断るほど、薄情なあなたたちではありませんよね?


[PC1]
あなたとPC2と池里かなえは親しい友人だ。
助けを求められたなら応えなければ……と思ったのに、気づけば見知らぬ部屋に閉じ込められていた。
あなたの【使命】はこの部屋から脱出することだ。

[PC2]
あなたとPC1と池里かなえは親しい友人だ。
助けを求められたなら応えなければ……と思ったのに、気づけば見知らぬ部屋に閉じ込められていた。
あなたの【使命】はこの部屋から脱出することだ。

※PCの腕を切り落とすことになる可能性があります
※腕が1本以上あるPCに限ります



☆以下GM情報









●背景
人の感情を啜って食べる怪異、■■様は目についた人間を自分が作った異空間に連れ込み、さんざん拷問した後、強い恐怖の感情を食べて生きてきました。
うっかり加減を間違えて殺してしまったりなどもよくありましたが、怪異的に無問題です。
そのうち甚振るのが面倒になってきた■■様は、攫った人間が自主的に恐怖の感情を捧げるように異空間を整えます。
■■様が用意したのは、招いた人間が腕を斬り落とさなければいけない儀式と、腕を斬り落とすための刃物。
■■様の誘導に従えば、腕を斬り落とすことになります。
五体満足で脱出するためには■■様に何か他の強い【感情】を捧げ、満足してもらうしかありません。

誘導に従って腕を切るか、【感情判定】をして【感情】を手に入れそして捧げるか。そんなシナリオです。

NPCの池里かなえは怪異の一部であり、疑似餌のようなものです。
親しい友人であったという意識、記憶を植え付け「手を貸してほしい」という言葉に反応させることで部屋に閉じ込めます。
名前は「かえさないけと゛」のアナグラムです。
つまりは、「手を貸してほしい」「返さないけど」

この釣り針に引っかかってしまったPCたちは、■■様の空間に招かれてしまいます。

●狂気カード
超現実主義+任意の7枚の計8枚
(例:超現実主義、依存、パニック、絶叫、広がる恐怖、恐怖症、暴力衝動、かんしゃく)


●シナリオの流れ
【導入】
  └[スマホ][拷問器具][寝台]の初期ハンドアウト公開
     ↓
   [スマホ]の調査で儀式「腕を捧げる」公開【マスターシーン1】発生。
 ↓
 初期ハンドアウト全部調査で【マスターシーン2】発生、[祭壇]公開
 ↓
[祭壇]調査で[腕の山]公開
 └【マスターシーン3】発生
       └[開いたアイアンメイデン]公開
 ↓
[腕の山]調査→儀式「感情を捧げる」公開


●ハンドアウト

・PCハンドアウト

[PC1]
あなたとPC2と池里かなえは親しい友人だ。
助けを求められたなら応えなければ……と思ったのに、気づけば見知らぬ部屋に閉じ込められていた。
あなたの【使命】はこの部屋から脱出することだ。
[PC1]の秘密
ショック:なし
あなたはPC2のことを大切に思っている。
妙な事件に巻き込まれてもなお、あなたは自分よりPC2の身の安全を優先したい。
あなたの本当の【使命】はPC2が五体満足でこの部屋を脱出することだ。


[PC2]
あなたとPC1と池里かなえは親しい友人だ。
助けを求められたなら応えなければ……と思ったのに、気づけば見知らぬ部屋に閉じ込められていた。
あなたの【使命】はこの部屋から脱出することだ。
[PC2]の秘密
ショック:なし
あなたはPC1のことを大切に思っている。
妙な事件に巻き込まれてもなお、あなたは自分よりPC1の身の安全を優先したい。
あなたの本当の【使命】はPC1が五体満足でこの部屋を脱出することだ。



・初期ハンドアウト

[スマホ]
石造りの床に落ちていた、電池残量残りわずかのスマホ。画面が割れている。
1サイクルめ終了時に電池が切れ、以降調査判定ができなくなる
[スマホ]の秘密
ショック:なし
拡散情報
メモアプリが起動してある。
『これをしたらでれるやれ』
以下、何かの儀式について入力してある。
『慈悲をこうぎしき
1、祭壇ろうそくひをつけ?
2、■■様をよぶ
三、うできりおとふ
4、うでをささげろ』
誤字脱字が激しい。よほど入力を急いでいたのだろうか。
また、一部文字化けして読めなくなっている。
儀式について読み終わるとちょうど電池が切れ、画面は真っ暗になった。

☆[スマホ]の秘密公開後、儀式「腕を捧げる」を公開する。
以降[スマホ]に調査判定ができなくなる。
スマホに調査判定を行ったPCは、[電池切れのスマホ]をプライズとして獲得できる。

儀式「腕を捧げる」
1、祭壇の蝋燭に火をつける 判定なし 条件:火をつけるためのプライズの所有者
2、■■様を呼ぶ 判定なし コスト:正気度1
3、腕を切り落とす 《切断》で判定。腕を切り落としたPCは生命力を2点減らし、プライズ[腕]を入手できる 条件:腕を切り落とせるプライズの所有者
4、腕を捧げる 判定なし 条件:プライズ[腕]の所有者

プライズ[電池切れのスマホ]
カバーや画面が割れている以外の傷、その他特徴はとくに無い。
連絡先等、先ほどのメモアプリの内容以外は確認できなかった。が、あなたはこのスマホを「池里かなえのスマホ」だと思った。
このプライズに【秘密】はない。

☆調べるまでは見覚えのないスマホ 調べてからは池里かなえのものだと思い込まされたスマホ
PCが池里かなえを信じ込んでいるようなら、違和感を覚えさせるなどしてよい


[拷問器具]
部屋を埋め尽くす古今東西の拷問器具。よりどりみどり。
[拷問器具]の秘密
ショック:なし
拡散情報
どれも本物であり、1度は使用された痕跡がある。
ひととおり見て回ったところで、アイアンメイデンだけ何をしても開かないことに気づく。
たくさんの血が染み込んだそれは、錆と歪みで開かなくなってしまったようだ。
他に何か使えるものが無いかと探すと、あなたたちでも扱えそうな刃物を1本だけ見つけた。
このハンドアウトを調査したPCは、プライズ[錆びた刃物]を入手する

プライズ[錆びた刃物]
斧?ノコギリ?肉切り包丁?任意の形状の錆びた刃物。
このプライズの所有者は、クライマックスの儀式で腕を切り落とすことができる。
錆びているので、このプライズを使用しての《切断》の判定には-1の補正がつく。
このプライズに【秘密】は無い。

☆アイアンメイデンの中には■■様が捨て忘れた死体が詰まっている。
ゾーキングをするなら《におい》で腐敗臭に気づいたり、
軽く叩いてみて《物音》で中に死体が詰まって放置されていることに気が付いてしまう。《死》で恐怖判定。
すっかり錆びついているので、2人がかりでも何をしても開かない。

[寝台]
あなたたちが寝かされていた鉄製の寝台。
薄いシーツがかけてあるが、睡眠をとるためのものではないだろう。
四隅には錆びた鎖が取り付けられ、何度も使用された痕跡がある。
[寝台]の秘密
ショック:なし
拡散情報。
寝台の枕元にはオイルランプが置いてあった。
壁の蝋燭でランプに火をつけると、手元が明るくなり……寝台の下、影になっている場所に1冊の手帳が落ちていることに気づく。
このハンドアウトを最初に調査したPCはプライズ[オイルランプ]とプライズ[手帳]を入手する。

プライズ[オイルランプ]
明かりにも火種にもなる。
このプライズの所有者はクライマックスの儀式で蝋燭に火をつけることができる。
このプライズに【秘密】はない。

☆使われている油は、今までの犠牲者の死体から搾ったもの。ぜんぜん減らない。


プライズ[手帳]
血のついた黒い皮の手帳。
所有者はいつでも【秘密】を見ることができる。
[プライズ:手帳]の秘密
ショック:全員
血だまりにでも落ちたのか、半分ほど血が染み込こんだ跡がある。
パリパリに乾き、赤褐色になったページを慎重にめくって読んでいく……どうやら、あなたたちの前にこの部屋に閉じ込められた人の手記のようだ。
『変な部屋に閉じ込められた。あいつもいっしょだから大丈夫だと思うけど、万が一に備えて記録をつけておこう』
『ここから出るには腕を切り落さないといけないらしい。嫌だ。帰りたいけど腕も失いたくない』
『あいつの腕を■■■■■■』(上から塗りつぶされている)
『あれを呼んだ全部わかったあれは待ってる』
『あれを怒らせるな
ここはあれの腹の中なんだ
これはあれの食事なんだ』
『俺たちの後で来る食事達へ
俺もすぐに腕を切り落とされる
命が惜しければ腕を差し出すべきだ
腕が惜しければあれの腹を満たすことだ
あれは腕を奪うことで生じ』
ここから先はページがちぎられていて読めない。

☆筆跡は男性のもの。池里かなえのものではない。後半になるにつれ乱れている。
塗りつぶされている部分をゾーキングなどで読みたければ、切り落とした、切り落とすのは嫌だ、好きな文を入れていい。あまり関係がないので。
ページへのちぎれた先がどこかにあるかもしれないことを示唆するなどしてもよい。今までまわしてきて誰も触れなかったため。



・【マスターシーン2】後公開

[祭壇]
儀式をするための場所。
部屋に明かりは無く暗いため、プライズ[オイルランプ]を所持したPCが同行しなければ調査ができない。
[祭壇]の秘密
ショック:全員
拡散情報。
石造りの大きな祭壇。奥に小ぶりな両開きの扉がある。
祭壇の前には赤い蝋燭が1本立てられた銀の燭台と、金細工のされた黒い盆が置いてあった。
どれにも美しく緻密な装飾が施されているが、なぜか見ているだけで寒気が走る。
何よりおぞましいのは祭壇の回りに積まれた腕の山だ。
あなたたちの前の被害者たちのものであろう、ここから出るために切り落とし、捧げられた腕が積み重ねられている。
三桁を軽く越すであろう数の腕は、静かに腐っていた。
《埋葬》で恐怖判定

☆公開後、ハンドアウト[腕の山]の公開と【マスターシーン3】発生


[腕の山]
祭壇の回りに積まれた、先人たちの切り落とした腕の山。高さはあなたたちの腰まであるだろう。
調査判定をする場合、先に《医学》で恐怖判定をすること。
部屋に明かりは無く暗いため、プライズ[オイルランプ]を所持したPCが同行しなければ調査ができない。
[腕の山]の秘密
ショック:全員
まだ血の滴る腕。
すでに腐りかけた腕。
もう骨となった腕。
祭壇に捧げられた供物だったものが山となって積まれている。
ここでどれほどの数の腕が切り落とされたのだろう。
腕を調べていたあなたは、一本の腕がちぎれた紙の切れ端を持っていることに気づく。
手にとって読んでみると、それは手帳のちぎられた続きだ。
『あれは腕を奪うことで生じる恐怖や、お互い庇い合う、犠牲を押し付け合う、そういう感情を食べている。
何もせずに逃げるなら怒りを買うだろう。絶対に怒らせるな。
他に食べるものを……他の何か強い【感情】を捧げればこの胃袋の中から解放してくれるかもしれない』
また、腕の山の下にはマンホールが隠れていた。ここから脱出できそうだ。

☆[腕の山]の秘密公開後、儀式「感情を捧げる」を公開する。
腕の山の中で一番新しい腕は若い男性の右腕。
シナリオ製作者がまわした時に切り落としたPCのもの。
複数卓をまわすなら、切り落とした先達PCの腕を置いておくと楽しい。
また、脱出口を見つけたので、クライマックスで自発的な脱落を行えるようになる。

儀式「感情を捧げる」
1、祭壇の蝋燭に火をつける 判定なし 条件:火をつけるためのプライズの所有者
2、■■様を呼ぶ 判定なし コスト:正気度1
3、感情を捧げる 指定特技《情動分野から好きな特技》 条件:【感情】を持っているPC
手順3は、■■様が満足するまで行う必要がある

☆つまり、PC2人の感情を捧げれば■■様は満足する。


・【マスターシーン3】後公開

[開いたアイアンメイデン]
半分ほど扉が開いている。中には誰もいない。
[開いたアイアンメイデン]の秘密
ショック:なし
あなたがアイアンメイデンの中を覗き込みよく見ると、何かが入っている。外からの光を反射するそれは金属でできているらしい。
そっと手を入れて取り出そうとしたところで……突然アイアンメイデンの扉が閉まる!
《驚き》で判定し、失敗すると手を挟まれて生命力に1ダメージ受ける。
なんとか取り出したものは、よく研がれた刃物だった。
このハンドアウトを最初に調査したPCは、プライズ[切れ味のよい刃物]を入手する。

☆以降[開いたアイアンメイデン]に調査判定ができなくなる。

プライズ[切れ味のよい刃物]
斧?ノコギリ?肉切り包丁?任意の形状のよく研がれた刃物。
このプライズの所有者は、クライマックスの儀式で腕を切り落とすことができる。
切れ味がよいため、このプライズを使用しての《切断》の判定は自動成功になる。
このプライズに【秘密】は無い。



●シナリオ

【導入】
☆深夜、自室でスマホを操作しながらゴロゴロしているPC達に、池里かなえからメールが届く。
内容を確認すると『手を貸してほしい』の一文のみだ。
何か返信するか聞く。する場合は送信した直後に気絶。
しない場合は電話がかかってきて気絶。
電話も無視するならスマホの画面から手が伸びてきて掴まれて気絶。
その後拷問器具がたくさん置いてある部屋で目が覚める。
以下描写例。

目を覚ましたあなたたちは、金属製の寝台に寝かされていました。
身を起こし、辺りを見渡すとそこは石造りの部屋です。四方の壁には窓も扉もなく、一定の間隔で壁に取り付けられた蝋燭の炎が光源です。
何より目を引くのは部屋に置かれた様々な拷問器具です。
あなたたちが寝かされていた寝台を囲むように置かれたそれらには、赤黒い汚れと錆が浮かび、本来の用途で使われていたであろうことが一目でわかるでしょう。
《拷問》で恐怖判定

☆状況を確認したら初期ハンドアウトを出して導入おわり
また、同じ部屋に閉じ込められているため、お互いの【居所】を獲得しているものとする。


【マスターシーン1】(登場:プライズ[電池切れのスマホ]の所有者)
☆[スマホ]調査後に発生。
プライズ[電池切れのスマホ]を獲得していなくても起きる。その場合、捨てたはずのスマホをいつの間にか持っている。
■■様が儀式をするように圧力をかけてくるシーン(1回目)
儀式への不信感、誘導されている感をつたえていきたい。
以下描写例。

突然、あなたの手の中のスマホが震え始めます。何かの通知だろうか?いえ、確かに先ほど電池が切れたはずです。
そう思ってスマホを見たあなたの前で、割れた黒い画面に白い文字が浮かび上がります。
『はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ
はやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろはやくしろ』
驚くあなたの手の中で、スマホの画面は白い文字で埋め尽くされていく。
《脅す》で恐怖判定
……思わず取り落としたスマホは、気づけば画面は元の電池切れの状態に戻っていました。


【マスターシーン2】(登場:全員)
☆初期ハンドアウト3つの調査が終わると発生。
祭壇のある部屋への扉が開かれる。ついでに恐怖判定もできる。
マスターシーンの後[祭壇]のハンドアウトを公開する。
以下描写例。

あなたたちがひととおり部屋を調べたところで……ぎぃ、と扉が開いた音がしました。
窓も扉も無かったはずの石壁に、いつの間にか木の扉がひとつできています。
何もしていないのに開いた扉の向こうには、もうひとつ部屋があるようです。
……中からはひどい腐敗臭が漏れてくる。
+2の補正で《におい》の恐怖判定
恐る恐る近づくあなたたち。
向こうの部屋に明かりはなく、こちらの部屋からの光でかろうじて見えるそれは……祭壇でした。


【マスターシーン3】(登場:全員)
☆[祭壇]調査後に発生。
■■様が儀式をするように圧力をかけてくるシーン(2回目)
なかなか儀式を始めようとしないPC達を見かねた■■様が、プライズ[切れ味のよい刃物]が入ったプレゼントボックスを用意してくれる。
マスターシーンの後[開いたアイアンメイデン]を公開する。
プライズ[電池切れのスマホ]を捨てていた場合、いつの間にか手元に戻ってきている。恐怖判定にマイナス補正をつけるなどしてよい。
以下描写例。

さて、と。
祭壇を調べ終わったあなたたちが一息ついたところで、(プライズ[電池切れのスマホ]の所有者)さんが持っていた電池切れのスマホが騒ぎ出します。
画面を見ると、なにもしていないのに文字が浮かんできます。
『儀式をはぢめますや?』
『もう必要なものはそおったのにはじめないのでしか?』
『まだ脅かし足りたせゆか?』
そこまで文字が浮かんだところで突然、先ほどまでいた部屋からバン!と大きな物音がしました。
驚いたあなたたちが確認に向かうと、バン!バン!バン!と、あなたたちを脅すように、急かすように、鳴り続ける音は……アイアンメイデンが内側から叩かれる音のようです。
『なまえの無いもおはうけとえません』
『こえで儀式をはじめてくれわすか』

『儀式を始めてください』

ひときわ大きな音がした後、先ほどまで何をしても開かなかったアイアンメイデンが、勝手に開いていきます。
きぃ、と静かに、半分ほど開いて止まった扉の奥。その中には……誰も、何も、いませんでした。
《物音》で恐怖判定

☆名前のないものは受け取れませんとは、感情判定をして【感情】に名前をつけてくださいの意。
PCの秘密に書いてあるような、大切に思っているというただの好意では、味がぼんやりしてしまうのである。

【クライマックス】
☆儀式「感情を捧げる」をするか儀式「腕を捧げる」をするかで分岐する。
脱出口を見つけている場合何もせずに自主的脱落もできるが、それをすると食事に逃げられた■■様が怒り拷問END

以下描写例。
三度、電池切れのはずのスマホが騒ぎ出します。
『もういいよ』
『おなかすいた』
これ以上焦らせては怒りを買ってしまうかもしれません。
あなたたちは急いで何かを捧げなければなりません。
儀式を始めようとしたあなたたちの前に、腕の山からころりと、腕が1本転がり落ちてきました。
風のせいで落ちてきたかと思ったその腕は、指を、手首を動かしてあなたたちに迫ってきます。

▼儀式「感情を捧げる」をする
肘から先しかないはずの腕は明確な敵意を持って、あなたたちへと這いずり寄ってきます。
動き出した腕はこの1本だけではなく、辺りを見渡せば、腕の山を形成していた全ての腕が動き出しあなたたちへと敵意を向けています。
■■様には何かを捧げることで許してもらえるかもしれませんが、切り落とされ、こんなところにおいていかれた腕たちへはそうはいかないでしょう。
つまり、お前も同じ目に合え、です。
《恨み》で恐怖判定

▼儀式「腕を捧げる」をする
肘から先しかないはずの腕は腐った肉を滴らせながら、あなたたちへと這いずり寄る。
動き出した腕はこの1本だけではなく、辺りを見渡せば、腕の山を形成していた全ての腕が動き出しあなたたちを囲んでいます。
切り落とされ、こんなところにおいていかれた腕たち。しかし、不思議と腕たちから敵意は感じません。
……どうやら、あなたたちが行う儀式に、手を貸してくれるみたいですよ?
《罠》で恐怖判定

☆どちらの儀式でもエネミー「切り落とされた腕たち」との戦闘になる

・エネミー「切り落とされた腕たち」
属性:怪異のダムド(ダムドについてはデッドループP.159)
ただし、判定妨害は行わない。
生命力は設定せず、使用する特技も《恨み》のみ。プロットは6に配置。
倒させる気が無いことが伝わればいいので生命力999とかでもいい。
 アビリティ
【まとわりつく】(装備) このエネミーが参加している戦闘では、PCの回避に-3の補正がつく。
【かえさないけと゛】(攻撃)目標を二人まで選び、目標は個別に回避判定を行う。回避判定に失敗した目標に1d2点のダメージを与える。《恨み》
【いけ゛かさとなえ】(攻撃)目標を二人まで選び、目標は個別に回避判定を行う。回避判定に失敗した目標に1d3点のダメージを与える。《恨み》
【いけさ゛とかなえ】(攻撃)目標を二人まで選び、目標は個別に回避判定を行う。回避判定に失敗した目標に1d3+1点のダメージを与える。《恨み》

☆描写としてはわらわらと寄ってきて爪を立ててくる、縋り付いて転ばせる、など

 行動
▼儀式「感情を捧げる」をする
積極的に攻撃を仕掛けてくる。1ラウンドごとに、アビリティをダメージの大きいものに変えていく。
▼儀式「腕を捧げる」をする
PC達に攻撃は行わず、適宜儀式を進めたり様子を見たりする。


【クライマックス戦闘】
☆特殊ルールが2つあります
・クライマックス時、プライズの受け渡しに手番は消費しない
・攻撃アビリティに成功し、相手が回避に失敗した場合、ダメージを与えるか相手が所持しているプライズを奪うかを選択できる

▼儀式「感情を捧げる」をする
☆1人目が手順3を行った後描写を挟む。
以下描写例。
(手順3を行ったPC)さんが祭壇の前で手を組み、祈り始めると祭壇の扉が開いた先、暗闇の中から青白い腕が伸びてくる。
伸びてくる。
伸びてくる。
伸びてくる。
……伸びてくる。
人の腕の形をしていながらも、それは人ではあり得ない長さ。
いくつもの関節をしならせるそれは、あなたたちの身長を足してもまだまだ足りないであろう長さをした……■■様の腕でした。
《混沌》で恐怖判定
細く青白く長い腕は、祭壇の前で祈る(手順3を行ったPC)さんの前まで伸びてきて、止まります。
そして祈るあなたの額に青白い指が触れました。
そのままがり、と爪で引っ掛かれ、一筋の血が流れ出します。
あなたの血を指の腹に乗せた青白い腕が、祭壇の扉の奥に引っ込んでいく……と、ぴちゃぴちゃと何かを舐める音がしました。
その音を聞くうちに、あなたの中から(相方PC)さんに対して抱いていた【(感情判定で決めた感情の種類)の感情】が失われていくのを感じます。
しばらくの後、また青白い腕は伸びてきます。その指先に血はついていませんでした。
……まだ足りないようです。

☆感情を捧げると、相方PCへの親しみは初めて会った他人程度になる。これまでの記憶が無くなるわけではない。
2人目が手順3をすると、先ほどと同じように伸びてきた腕が、同じようにして2人めのPCの血を啜る。
その音を聞きながら意識を失い、エンディングAへ。

▼儀式「腕を捧げる」をする
☆手順3を行った後描写を挟む。
あなたは刃物を手に、覚悟を決め、そして……自らの腕に刃物を振り下ろします。
自ら腕を切り落としたPC、それを目の前で見ていたPC共に《痛み》で恐怖判定
腕を切り落としたPCは生命力が2点減少し、プライズ[腕]を獲得する。

プライズ[腕]
切り落とした(PC)の右(左)腕。
■■様への捧げ物。
このプライズの所有者は、クライマックスの儀式で腕を捧げることができる。
このプライズに【秘密】は無い。

☆手順4を行った後描写を挟む。
以下描写例。
切り落とした腕を盆に乗せ、捧げると祭壇の扉が開いた先、暗闇の中から青白い腕が伸びてくる。
伸びてくる。
伸びてくる。
伸びてくる。
……伸びてくる。
人の腕の形をしていながらも、それは人ではあり得ない長さ。
いくつもの関節をしならせるそれは、あなたたちの身長を足してもまだまだ足りないであろう長さをした……■■様の腕でした。
《混沌》で恐怖判定

細く青白く長い腕は、あなたたちが捧げた腕の回りを確かめるようにさ迷った後、まだ血の滴る腕を無造作に掴みます。
そしてぞんざいに腕の山の方へと放り投げました。
腕の山の一部へとなった捧げ物を気にする様子もなく、青白い腕は血の溜まった盆を手に取り、祭壇の扉へと引っ込んでいきます。
そして中から漏れてくる、ズルズルと液体を啜る音を聞きながら、あなたたちの意識は途絶えます。

☆気絶したところでエンディングBへ


●エンディング

【エンディングA】
☆儀式「感情を捧げる」をした。両PC共に使命達成。

気づくと、あなたたちは自室の布団の上で横になっていました。
一瞬、先ほどまでのことは夢だったのかと思うかもしれませんが、全身の疲労や傷がそれを否定します。
あなたたちは無事にあの部屋から脱出できた喜びを噛みしめることでしょう。
共に閉じ込められていた友人にはもう、以前まで感じていた好意や親しみはすでに無く……この喜びを分かち合えるかはわかりません。
スマホを確認すると、時間は気を失ってからほんの数十秒ほどしか進んでいません。
先ほど池里へのメールに返信したはずのスマホの、送信エラーの通知を見て、
あなたたちは池里かなえなんて友人はいないことを思い出しました。


【エンディングB】
☆儀式「腕を捧げる」をした。どちらかのPCは使命未達成。

気づくと、(腕を切り落とさなかったPC)さんは自室の布団の上で横になっていました。
一瞬、先ほどまでのことは夢だったのかと思うかもしれませんが、全身の疲労がそれを否定します。
あの部屋で起きたことは現実……つまり、(腕を切り落としたPC)さんの今の状態がどうなっているのか、あなたは簡単に想像できるでしょう。
あなたはの安否の確認に急ぎ部屋を飛び出します。
その際、ちらりと視界に入ったスマホの画面。時間は気を失ってから、ほんの数十秒ほどしか進んでいません。
先ほど池里へのメールに返信したはずのスマホの、送信エラーの通知を見て、
あなたは池里かなえなんて友人はいないことを思い出しました。
……
……
……
(腕を切り落としたPC)さんは痛みで目が覚めます。
痛みと出血に再び意識を飛ばしそうになりながらも確認すると……あの部屋で切り落とした腕は、切り落としたまま。
そこには血を吸った袖しかありませんでした。
(腕を切り落とさなかったPC)さんの無事を祈りながら、あなたはもう一度意識を失います。
あなたが置いてきた腕は同じように、あの腕の山の中で、腐っていくのでしょう。


【エンディングC】
☆何もせずに逃げ出した。ロストEND。

目を覚ましたあなたたちは、最初に目覚めた寝台に横たわっていました。
最初との違いは、今度は手足を寝台に拘束されていることでしょう。
錆びた鎖と枷によって寝台に縛り付けられたあなたたちの回りで、拷問器具たちが自ら動き出します。
……いいえ、自ら動き出したように見えるそれらを動かしていたのは、祭壇の回りに積まれていた、切り落とされた腕たち。
■■様にあなたたちの拷問を命じられたそれらは、腐った汁を滴らせながらも、はりきってあなたたちをいたぶるでしょう。
あなたたちは恐怖を味わされる。
あなたたちの恐怖は味わわれる。
■■様がこの食事に飽きるか、あなたたちが生き絶えるまで、次の犠牲者は出ないでしょう。


●その他
シーン表はありません。
マスターシーンには名前が無いのでいい感じのものをつけてください。
調査ハンドアウト数が6つなので、全てのハンドアウトに調査判定をすると感情判定をする手番がありません。
怪異の誘導に乗らず、[開いたアイアンメイデン]を無視して[腕の山]を調べ、感情を結ぶことを想定しています。
難易度を上げるなら嘆願や幸運早業の禁止、下げるなら導入後手番消費無しで感情を結べることにするなど、好きに改変してもらって構いません。

概要にはPC1、PC2、NPCは「親しい友人である」と書いてありますが家族や恋人その他、代わりに腕を切り落とせるほど親しい間柄であれば、設定は自由に変えてもらってよいです。

情報共有をするか聞くのをめんどくさがって、拡散情報多めになっています。
オンセかつテキセでまわことしか考えずに作ったので、ハンドアウトの裏がくっそ長いです。適宜要約などしてください。
儀式「腕を捧げる」をする場合、自分で自分の腕を切り落とすことになるのがほとんどだと思うので、両腕揃っているPCを推奨します。
PCの足の数は問いません。

逢魔人が腕を切り落とすのを見たい一心で作ったので感想は探します。
何かありましたらTwitterまでご連絡ください。


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