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#6 「ものづくりを伝える」から「Think with(共に考える)」へ。一方的な情報発信から、生活者、生産者と共に考える仕組みへのシフトを図るきっかけとなるイベント「九州ちくごものづくり文化祭」。そして、文化とは何か?


第8回 もんぺ博覧会
八女展 | 八女伝統工芸館 | 5月25日(金)〜6月3日(日)
福岡展 | 松楠居| 7月14日(土)〜7月22日(日)

九州ちくごものづくり文化祭 Year zero
ワークショップ | 5月25日(金)〜5月27日(日)
企画展 | 5月19日(土)〜6月3日(日)

詳しくは:http://unagino-nedoko.net/2018monpe-kyushu-bunkasai/

「伝えたつもり」から「伝わる」へのシフト
もんぺ博覧会」もう8回を迎えるイベントになりました。毎年毎年、もんぺもんぺもんぺもんぺもんぺと、僕は唱え続け、もんぺの呪縛にとり憑かれる日々がこの7年間ほど続きました。久留米絣という福岡県筑後地域の伝統工芸を題材に「もんぺ」という型とコミュニケーションツールをきっかけに、イベントをひたすら開催してきました。久留米絣の歴史の展示をしてみたり、綿の展示をしてみたり、型紙を発行してみたり、バスツアーをしてみたり、毎年様々なチャレンジは細かくはしてきたつもりではありますが、毎年同じ冠のイベントをやることの難しさも4年目くらいから痛感していました。

僕らは、うなぎの寝床というお店を運営し、MONPEのメーカーとしての立ち位置ができました。そして、開業して6年間運営をしているのですが基本的には「一方的に情報を伝える」という内部的なスタンスをとってきました。あくまでも、伝わることが大事というよりも、こちら側の伝えるというスタンスが大事なのだと。そして、生活者の選択肢として、潜在的に知られていないものづくりを知ってもらうきっかけになればいいな。と。

「伝えたつもり」で、伝わってはいない。「情報として知る」から「体感」へ。
しかし、6年間でものづくりに興味がある人には伝わった側面も多少(微々たるもの)ありますが、体感として伝わったより、情報として伝わった(かなー。)くらいでしかなく、まだ生活者の人は、自分ごととしてグッと伝わったぞ!という感覚ではないと思います。

こういうことを踏まえると「伝えるというだけでは、だめなんだ。」と最近強く考えるようになってきて、やはり、自分ごととして体感したり、意見交換したりという、もう一段階生活者、そして生産者にも強く関わりを持ってもらったり、現場に行って体感したりという機会を増やさないといけないなと強く思います。

そして、8年目のもんぺ博覧会。今年は僕はほぼほぼ企画に絡んでいないのですが、うなぎの寝床のなべさんが中心になりながら「九州ちくごものづくり文化祭」というイベントを企画してくれました。

原点に帰り、やはり僕らは、単純に物を売りたくて、物を扱っているというよりも、作り手のこと、ものづくりの背景である土地性などの「文化」、その場の雰囲気なども含めて、自分たちが体感したこと、体感して得た物を伝えたいなという側面があります。ただ、全ての作り手を巡ったり、出会う機会はそうないので、一同に介してもらい、出会う機会をつくってみよう!そして、ワークショップやトークイベントなどで、材料や作り手、技術に触れて体感してもらおう。というイベントだと僕は認識しています。

文化とは何か?
文化という言葉は、かなり多くの事象や現象を包含しますが、僕の中の定義は「人と土地・人と人が関わりあい生まれる現象の総体」として捉えています。文化単体の文献というのは、少なく、辞書やwebや、文献を参考にはしましたが、文化とはそういうものだと認識しております。なので、物も文化であるし、慣習のようなものも文化であるし、人間生活における全てのものは文化だと言えるでしょう。〇〇文化という文化を補助する名詞がついた時に、その文化は少し限定的になってきます。

芸術文化、ものづくり文化、釣り文化、読書文化、コーヒー文化。等

地域文化というのは「ある一定地域における文化」です。僕らは九州筑後地域というある一定の領域をケーススタディにして、その潜在的にあるけど知られていない魅力的な地域文化を顕在化し、伝え直したい。伝え直したいという意味に関しては、ぼんやりしているようにも思うけど、経済的に成り立たせて流通にのせて、広めるという意味合いもあるし、経済的な活動ではない領域に関しては、物や資料をアーカイブしていくのも仕事だと思っているし、今まで可視化されていなかった領域を可視化(例えば動画にしたり、本にしたり)していくのも仕事だと考えています。

地域文化を残して継承したり伝達したりした方がいいかどうかに関しては、残した方が、自分たちが暮らしてきた土地のアイデンティティを知って、他者のアイデンティティや背景も知ることで、よりより生活ができるようになると考えているからです。ここは、また長くなるので、他の記事にします。

八女でもんぺ博覧会をやり続けている理由も、このものづくりが豊かな産地に来てもらって体感してもらう。ということが大きな目的でもありますので、そこを重要視したものに今年は変換したような形態です。

僕ではない、皆で考え実行するイベント。というポイント。
今まで、僕がうなぎの寝床のイベントに関しては企画を行ってきました。もんぺ博覧会もそうです。ただ、僕の視点は一つしかなく、その視点には僕はもう飽きているし、お客さんも飽きていると思っています。地域文化の継承、伝達という視点で、僕ではない誰か、それぞれが自分の頭で考えて実行していくということが重要だと思っています。

今回は、九州ものづくり文化祭に関しては、うなぎのなべさんこと渡邊さんと、田中さんが中心になり、もんぺ博覧会に関しては僕の高校からの友人である富永が担当してくれて進めています。いろんな人が、自分ごととして地域に関わりながら、共に考えていく姿勢が大事かなと考えています。

5月の後半、見どころはたくさんあると思いますので、ぜひお越しください!

詳しくは:http://unagino-nedoko.net/2018monpe-kyushu-bunkasai/

本質的な地域文化の継承を。