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羊羹との弛まぬ格闘の日々。甘さを喰らふ日々。

佐賀県のニューノーマルというプロジェクトを進めていて、小城羊羹というローカルフードを軸に1つ研究会を進めている。あなたにとって羊羹とはなんですか?答えれる人はいないだろう。なぜなら、羊羹をそんなに多く食べてきてないから。

しかし「おれは小城生まれ、小城育ち、羊羹屋に関わる人はだいたい知り合いの知り合い♪」と、東京生まれ、東京育ち、悪そなやつはだいたい友達と同じように、小城に住んでいたらだいたい、友達の母ちゃんが羊羹屋で働いていたり、両親の知り合いに絶対何人かは羊羹屋の知り合いがいる。町内に絶対羊羹屋がある。そのくらい羊羹は身近であった。

そして、僕らは小学校の調理実習で羊羹づくりがあった。僕は今でもそれを覚えている。「なぜ羊羹をつくらなければならないのか?」と嫌々ながらやっていた記憶があるが、しかし!羊羹を固める前のドロドロのあんこの状態をパンに塗って食べたのがとても美味しかったのを覚えている。固くなった羊羹は、小さいころから、いろんな人にもらったりして、死ぬほど食べてたので、もう若干の拒否反応を起こしていたといっても過言ではない。

そんな幼少期を過ごした私が、今仕事で羊羹と向き合っているという奇跡。これは巡り会わせといってもいいだろう。有田のbowl高塚さんと一緒に取り組んでいる。先月には、羊羹屋をひたすらめぐり羊羹を買ってみた。羊羹やにはいると、試食とお茶がひたすらどこも出てきて、もうこれは「羊羹修行」といわんばかりに、羊羹とお茶を口に入れ続けた。その後も、羊羹との他の食材との組み合わせ、そして、切り方による食感の違い、適正な大きさなどを調べるために、ひたすらその日は、羊羹を食べまくった。正直、体がブルブルと震えて、拒否反応をおこしはじめた。なんでも過剰というのはよくないものだ。

しかしながら、修行は続く。それは昼の羊羹修行。次の月には夜の部がはじまる。お酒とあう羊羹の食べ方を研究するのである。羊羹羊羹羊羹羊羹。もう羊羹妖怪が僕の夢の中に出てくるんじゃないか。というくらい、羊羹という言葉にいやけがさしていた。

「しかし」を多用しすぎているが、しかし、今日はその集大成となる撮影を行う日だった。この苦行、修行がいきてきたのか、バケットと組み合わせたり、粒胡椒、マスカルポーネ、そして、羊羹と他食材の素晴らしいボリュームバランスを実現することに成功し、撮影は長時間にわたったものの、順調に終わった。僕の現場でのディレクションのできなさには、自分でも落胆する日々で、ヴィジョンのなさに対しても落胆する日々であるが、毎日、一生懸命すごし、多分、毎日少しずつ前に進んでいる。いや、進んでいると信じたい。そう考えている。うん、いや、進んでいる。進んでいると仮定して過ごそう。そう思い込んですごそう。そう決めた。

これで、羊羹からは少し離れれるのか?いや、離れることはできない。まだまだ続くよ羊羹ロード。チームのメンバーまだまだがんばりましょう。では、今日はこのへんで。ドロン。

本質的な地域文化の継承を。