移り変わることこそ自然 / 九州ちくごの作り手たち⑫宝島染工

長持ちするもの、丈夫なもの、買ったときと変わらない状態で使い続けられるもの。現代において、モノを買うときの基準として考える方も多いのではないでしょうか?

実際に技術の発展とともに、商品は日々改良され、耐久性にすぐれた均一的な商品がたくさん生み出されました。

たとえば瓦などでも、かつては登り窯で焼いていたため色や強度が不均一だったのが、ガス窯が導入されたことで同じ形の同じ品質の瓦を大量生産できるようになりました。

これは「色」も同じです。化学染料が開発されたことで、これまで天然染料では出せなかったありとあらゆる色を安価に染めることができ、しかも洗っても色落ちしないようになったのです。

この進歩はやっぱりすごいことで、いまの生活はこれらの技術なくしては成り立ちません。ただそれと同時に、失われた味わいもあるような気がしています。瓦でも、戦前の瓦葺きの建築は揃っていない中に不均一な美しさがあり、苔むしたり色褪せたりしたムラが、新品には出せない奥行きを生み出します。

これはお金を出しても買えないもので、ものと時間がかけ合わさって、生まれるものなんだと思います。それを古臭いと思うか、素敵と思うかはもちろん人それぞれですが、日本のものづくりの根底にはこうした自然の経年変化の美しさという要素があるように感じます。

今回はそんな自然の色の移ろいや美しさを、現代の文脈に落とし込みながら伝えている宝島染工さんをご紹介したいと思います。

天然染料に特化した染め工房。現代への再提案。

福岡県三潴郡大木町にある宝島染工は、天然染料に特化した染め工房として、代表の大籠千春さんによって2001年に立ち上げられました。

藍染・墨染・草木染めなどの天然染料と、絞り・折り・板締めなどの模様を生み出す染め技法を掛け合わせて、様々な染めの提案を行っています。

天然染料の色は決して派手ではありません。地味、と思う方もいるかもしれません。でも不思議と天然染料の色に囲まれていると、目が疲れない、落ち着く、という方も多いです。

たとえば藍染めは、タデ藍・琉球藍・インド藍など様々な品種があり、宝島染工さんではインド藍を使っていますが、いずれの植物も「インジカン」と呼ばれる物質が含まれておりこれが酸素に触れることで「インジゴ」という色素に変化するのです。

19世紀に入るとドイツの化学者が化学合成によってこの「インディゴ成分」を作り出すことに成功します。これにより、世界的に天然の藍の需要は減っていったのですが、インディゴ以外の余分な成分も含まれる天然藍には独特の風合いと味わいが存在するのです。

代表の大籠さんは、天然染料の経年変化や味わいは、現代において希少価値が高まっていると感じています。確かに取り扱いは面倒かもしれない、色も変わっていくかもしれない。でもその変化こそが、自然の形なのではないでしょうか?

大籠さんは、小さい頃からデザインやものづくりの道に進みたいと思っていたといいます。高校でグラフィックデザインを学び、短大では染織のクラフトコースへ進みます。

「染め」の世界に魅了された大籠さんは、20歳のとき、福岡秋月の本藍染・草木染めの工房へ入り基礎を学びます。その後24歳のとき、違う世界もみてみたいと、今度は化学染料を使って横断幕や幟(のぼり)などを染める型染めの工場に入り、天然染料から化学染料まで経験します。

そうした経験を経てたどり着いたのが、天然染料を現代に合わせた形で提案するということでした。高級品としてではなく、生活に寄り添える天然染料の服。様々なアパレルブランドの染めのOEMを引き受けながら、進化を続けます。

そして2015年に生まれたのが、宝島染工のオリジナルブランドです。まるで染め見本帳のようなラインアップは、シャツやワンピース、スカーフなど日々の生活に取り入れられそうなものばかり。

自然の色がそのまま閉じ込められたような天然染料の味わいは、化学染料も存在する現代だからこそ認識できる贅沢なのかもしれません。

今回はそんな天然染料の奥深き世界の入り口として、藍染ワークショップを開催します。終了後も、実際に宝島染工で使われる藍染液を持ち帰り、自宅で発酵させながら染めることができる、珍しい特典付きです。

「宝島染工のお持ち帰り用ミニ藍染セット付き!藍染め講座」
天然染料に特化した染め工房「宝島染工」。アパレルブランド向けの天然染めもOEMで手がけながら、自社ブランドの洋服作りも行なっています。今回は代表の大籠千春さんから宝島染工の立ち上げや今に至るまでのストーリーをお聞きしながら、実際に宝島染工さんで仕込んでもらった藍の染料を使ったハンカチ・手ぬぐいなどの藍染め体験、そしてその染料を持ち帰って自宅でも藍染めができるように、藍のこと、染まる原理のこと、絞り・板締めなどの染め技法など、天然染めに関するレクチャーをしていただきます!天然染料の奥深き世界にあなたも是非染まってみてはいかがでしょうか。
① 5月25日(金) 10:00-12:00 @旧八女郡役所
② 5月25日(金) 14:00-16:00 @旧八女郡役所
-内容  天然染料と染め技法レクチャー+藍染体験(ハンカチ等)+お持ち帰り用藍染料付
-参加費 7,000円(材料費込み) / 募集人数 最大6名

お申込み方法:
WEBフォーム
② メール / u-info@unagino-nedoko.net
③ TEL / 0943-24-8021(旧寺崎邸)
企画:株式会社うなぎの寝床

Photo credit: 藤本幸一郎 / http://www.koichirofujimoto.com

Design: 米村知倫 / http://yone.in


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九州ちくごの作り手特集

5月25日-27日に開催する、九州ちくごものづくり文化祭の「深掘り系ワークショップ&レクチャー」に登場する、個性豊かな12の作り手を紹介します。
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