シナリオスペック

PC人数：4名
プレイヤーレベル：3
ターゲット：桜秋彦(さくら・あきひこ)
DP：150〜200

歌詞シート

　ヒーローものの主題歌なら何でも合うはずです。弊卓のセッションではMitsuru Matsuoka EARNEST DRIVEの『SURPRISE-DRIVE』を使用しました。仮面ライダードライブの主題歌ですね。

NPC

桜秋彦(さくら・あきひこ)　27歳　男性
　2代目モラルビルダーです。行方不明の初代モラルビルダーに代わり、孤独に悪と戦い続けるヒーローです。
　モラルドライバーの力を十分に引き出すことができず、怪人との戦いではいつも苦戦を強いられています。そしてとうとう今回怪人に敗北してしまい、自信を喪失しかけています。初代のようにモラルドライバーの力をスペック以上に引き出すには、後一歩の勇気が足りないのです。

紅大(くれない・まさる)　28歳　男性
　初代モラルビルダーであり、桜秋彦の親友です。院多本研究所が怪人に襲撃された際、桜を守るために怪人を道連れに自爆し、現在行方不明となっています。
　必要とあらばルールを破る覚悟を持つ、厄介かつ情熱的な性格の人物です。この性格のお陰でモラルドライバーからスペック以上の力を引き出せていました。

院多本扶郎(いんたぼん・ふろう)　享年57　男性
　故人。倫理学者、ロボット工学者。道徳観醸成パワードスーツ「モラルビルダー」および、そのベルト型起動デバイス「モラルドライバー」を開発した人物です。
　院多本研究所が怪人に襲撃された際、怪人に殺害されました。一番弟子の桜にモラルドライバーの隠し仕様(使用者の"覚悟"を検知すると、使用者に合わせて有機的に変形する。変形時のスペックは予想不能)を伝える前に死亡してしまいました。

爆裂産卵怪人ギガデスタガメス(ばくれつさんらんかいじん・〜)　年齢不詳　性別なし
　秘密結社インビカタストロフが生み出した改造人間。長いものを見つけると爆裂卵を産み付け爆破する。上級強化怪人の一人であり、非常に強い。細長いオブジェクトが多数存在する青ヶ音増楽園遊園地での大規模産卵を計画している。

電撃托卵怪人ボルトデスカッコウ(でんげきたくらんかいじん・〜)　年齢不詳　性別なし
　故人。秘密結社インビカタストロフが生み出した改造人間。潜入工作を得意とする上級強化怪人。院多本博士を殺害した後、初代モラルビルダーと共に爆死した。

暴発遍在胞子怪人コケティッシュデスモス(ぼうはつへんざいほうしかいじん・〜)　年齢不詳　性別なし
　秘密結社インビカタストロフの幹部。妖艶な容姿。モラルビルダーを殺害するためにギガデスタガメスを放った。

インモラルデストロイヤー　年齢不詳　男性
　モラルビルダーに酷似した漆黒の怪人。普段は虚無的な態度だが、突然激昂することがある。インビカタストロフには最近加入したようだ。

首領(しゅりょう)　年齢不詳　性別不明
　インビカタストロフの首領。正体や能力は一切の謎に包まれている。壮年男性を思わせる低く渋い声である。

軽音楽部の顧問
　PCたちが所属する軽音楽部の顧問。名前や年齢等はPLと一緒に決めよう。
　このシナリオにおいては非常にお人好しな性格である。音楽関係者に顔が広く、生徒のために様々なライブイベントの出演枠を貰ってきてくれる。高校生の姪がいる。

軽音楽部の副顧問
　PCたちが所属する軽音楽部の顧問。名前や年齢等はPLと一緒に決めよう。
　ノイズミュージックばかり聞いているので、他の音楽ジャンルがまったくわからない。そもそもノイズミュージックを音楽として鑑賞しているかも怪しい。真面目で生徒思い。

副校長
　PCたちが通う学校の副校長。名前や年齢等はPLと一緒に決めよう。
　基本的に生徒の味方。かなりの"やり手"であり、校長や教育委員会も手を焼いている。

梅衣(めい)　16歳　女性
　顧問の姪。苗字は紅。紅大は年の離れた兄。兄が行方不明になってから両親との仲は冷え切っている。

イントロフェイズ

マスターシーン「顧問の疑惑」

　PCたちが所属する軽音楽部で緊急部会が開かれました。部長や副部長など、部の運営に関わっている部員は沈痛な面持ちをしています。そこへ副校長と軽音楽部の副顧問が現れます。副顧問は真剣な表情で静かに話し始めます。

副顧問「みなさん、残念なお話があります。軽音楽部の顧問の〇〇先生に不祥事の疑惑がかかっています。他校の女子学生と繁華街を歩いている姿が複数回目撃されているのです。彼ならやりかね……いえ、そんなことをするような方ではないと信じているのですが、本人が何も言わないものでね。ええ、安心してください。皆さんには何の非もありませんよ。しかしながら、軽音楽部という、言っては何ですが一般に素行が良いとはされないジャンルの活動ですから、その顧問に風俗の乱れがあったとなれば、その真偽に関わらず世間の冷たい視線を浴びることは必定。真面目に活動しているみ皆さんには大変申し訳無いのですが、当分の間活動を自粛してもらいたいのです。わたしたちが不甲斐ないばかりに本当にごめんなさい」

副校長「そういうことですので、軽音楽部は当分の間、停止とします。部活は停止です。大事なことなのでもう一度いいますが、停止するのは部活です。わかりましたね？　では解散！」

　ここで、サブシナリオを公開します。

マスターシーン「謎のヒーロー」

　部会が終わった後の帰り道。長めの楽器を持つPCの前に怪人が現れる。

「俺様は爆裂産卵怪人ギガデスタガメスだ！　お前、なかなか良い長さの竿を持っているなぁ！　俺様は細長い物を見ると産卵せずにはいられんのだ！　あああ！！　辛抱たまらん！」

　当然PCはただのミュージシャンなので怪人に抗う術はありません。ああ、一つの才能が変態怪人の魔の手により失われようとしているのか！　その時です！

「待て待てい！」

　どこからともなく力強く割り込む声！

「何奴！」

　さしもの怪人も驚かざるを得ない想定外の乱入者であります！

「秘密結社インビカタストロフの怪人め！　罪なき一般人を産卵爆死せしめようとは捨ておけん！　そこになおれい！　さあ、そこの善良な市民よ、ここは私に任せてお逃げなさい！」

　近未来的な鎧を纏った謎の乱入者はPCに避難を促すとタガメ怪人に向かって行きました。逃げるPCの後方から大きな力がぶつかり合う音、そして仕舞いには市中を轟かす爆発音が聞こえるのでした。

　数十分後、別の場所を歩いていたPCは、道端の川に何者かが流れついているのを見つけます。その者は意識がなく、服は焦げ、至る所に火傷を負っています。先ほどの怪人と怪人の戦いが引き起こした大爆発との関連を想起せずにはいられないでしょう。その者は自発的に意識を取り戻し、そして唇を噛みしめて握り拳を地面に叩きつけ、こう呟きました。

「俺は……無力だ……」

　ここで、この人物が「桜秋彦」という名前であり、今回のターゲットであることを説明します。また、シガラミ「①ギガデスタガメス」を出現状態にします。

ドラマフェイズ

マスターシーン「その女、誰？ - 姪だが？」

　「A.顧問の疑惑」をクリアすると発生します。顧問、梅衣、PC(希望者のみ)が登場します。顧問の姪の梅衣が家出をして、顧問の家に居候していることがわかります。数ヶ月前に梅衣の兄が行方不明になって以来、梅衣の両親は塞ぎ込んでしまたことが家出の原因です。家出の理由はPCから問われれば答えますが、自発的には語りません。顧問はお人好しなので姪の両親から姪を匿っていたのです。

マスターシーン「幹部会議」

　1サイクル目終了時に発生します。コケティッシュデスモス、インモラルデストロイヤー、首領が登場します。PCは登場できません。

郊外の廃工場。怪しい人影が三つ。なにやら不穏な会議をしているようです。

首領「モラルビルダー殺害計画の首尾はどうだね」

コケティッシュデスモス「順調ですわ。ギガデスタガメスは着実にモラルビルダーを追い詰めておりますの」

インモラルデストロイヤー「フッ、どうだか。ギガデスタガメス如き三流怪人ではモラルビルダーを倒すことはできん」

コケティッシュデスモス「やけにモラルビルダーの肩を持ちますのね！　新参者の癖に生意気ですわ！」

首領「ハッハッハッ。その辺にしておけ。インモラルデストロイヤーはモラルビルダーの恐ろしさを身を持って知っておるからの。慎重にもなろうというもの。コケティッシュデスモスよ、最後まで気を抜くではないぞ」

コケティッシュデスモス「はっ、承知致しましたわ」

※ちなみに廃工場はインビカタストロフのアジトという訳ではなく、単なる待ち合わせ場所です。

ライブフェイズ

　青ヶ音増楽園遊園地(通称：アオゾラ)では年に一度、一般参加のライブ「アオゾラ・ミュージック・コンサート(通称：アオゾラコン)」が開催されます。アマチュア参加者が多い割にはハイレベルなライブであり、高校生程度のバンドではなかなか参加することができません。PCたちは練習と顧問のコネでアオゾラコンに参加することができたのです。

　いよいよPCたちの出番というところで、会場近くの電柱が突然爆ぜ、ギガデスタガメスが現れます。ああ、このままコンサートは滅茶苦茶にされてしまうのでしょうか！　いいや！　御覧なさい！　審査員席から不敵に立ち上がったパワードスーツを！　あれは我等がヒーロー、モラルビルダーだ！
さあ！　PCたちは安心して演奏を始めてください！

アウトロフェイズ

DPが0になった場合
　桜は自身の殻を破ることに成功し、新フォームであるモラルビルダー・エクスフォームに変身します。そして必殺技「エクス・モラル・セルフ・リフレクション・キック」によってギガデスタガメスを爆発四散せしめます。青ヶ音市の平和は守られたのです。

DPが0にならなかった場合
　桜は新フォームに変身することができずギガデスタガメスに敗北します。ギガデスタガメスは喜々として破壊活動を始めます。青ヶ音市は退廃的都市に作り変えられてしまうのでしょうか。その時です。漆黒の戦士インモラルデストロイヤーが現れギガデスタガメスを真っ二つに切り裂きます。

ギガデスタガメス「何故……だ……」

インモラルデストロイヤー「首領のご命令だ。お前はやりすぎたのだ。お前に下された命令はモラルビルダー殺害のみ。この街を作り変えるのは首領のお役目。お前如き三流怪人が手を出して良い領域ではない」

シガラミ

シガラミ①ギガデスタガメス

「指定特技」《獣／モチーフ6》《死／逆境2》
「正体」メメントモリ：常時
「支配力」公開時：9、非公開時：12
　ギガデスタガメスは秘密結社インビカタストロフ(退廃的で猥雑な世界の実現のため、文明の崩壊とモラルの低下を目論む悪の集団)の改造人間である。正義と秩序の味方モラルビルダー(桜秋彦)は単身ギガデスタガメスに挑んだものの、全く歯が立たずモラルセイバーに爆裂卵を産み付けられ敗北した。

シガラミ②初代モラルビルダー

「指定特技」《仲間／主義4》《実力／逆境7》
「正体」プレッシャー：ラウンド終了時
「支配力」公開時：10、非公開時：14
　倫理学者・ロボット工学者の院多本扶郎(いんたぼん・ふろう)博士は、低下し続ける現代人のモラルを向上するために道徳観醸成パワードスーツ『モラルビルダー』及び、そのベルト型起動デバイスの『モラルドライバー』を開発し、才ある若者の紅大(くれない・まさる)に託した。桜は紅の親友であり、院多本博士の一番弟子であった。紅はインビカタストロフの怪人を次々と倒して行った。しかしあるとき電撃托卵怪人ボルトデスカッコウが院多本研究所を襲撃し、院多本博士を殺害。紅は桜を逃れさせ、ボルトカッコウを道連れに研究所ごと爆発した。しばらく後、桜は研究所跡地からモラルドライバーを発掘し、2代目モラルビルダーとして活動することを決心したのだった。

シガラミ③モラルビルダー・エクスフォーム

「指定特技」《情熱／エモーション8》
「正体」束縛：常時
「支配力」公開時：11、非公開時：15
　桜は天才であったので、ブラックボックスだったモラルドライバーの仕様をほぼ完全に解き明かすことができた。しかしそれでもモラルドライバーを十全に使いこなすことはできなかった。何かが欠けている。大(まさる)にはあって、桜には無い何かが！　大(まさる)！　院多本博士！　俺には後一つ何が足りないんだ！
　桜は真面目過ぎる。だからモラルドライバーに適合しすぎている。従ってモラルドライバーの仕様以上の能力が出せないのだ！　ルールを、枠を破る勇気さえあれば！

サブシナリオ：顧問の疑惑

A. ライブ参加の手配(顧問の伝手がなくなった)
A. 練習場所の確保
A. 顧問の疑惑を晴らす
EX. 和解

「EX. 和解」は、梅衣と梅衣の両親の和解です。あんまり重くならないようにしましょう。

あとがき

　2号ライダーを勇気付けるシナリオがやりたいな〜と思って作ったらこうなりました。最近日曜朝に起きれないし、録画機器がないのでニチアサは視聴できていません。

　インモラルデストロイヤーの正体は言わずともわかると思います。キャンペーンのシナリオフックとしてどうぞ。

　PCたちが学生でない場合、サブシナリオは適当なものに差し替えて結構です。

怪人の命名規則
<特徴を端的に表す二字熟語>＋<生殖に関わる二字熟語>＋"怪人"＋<特徴を端的に表す英単語>＋"デス"＋<モチーフの生物名(多少のもじりは可)>
幹部級の怪人は頭に更に二字熟語が付く。

以上