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ペットライフを無香料にする7つの理由

香り好きな方にちょっとだけ考えてほしいこと

香りを趣味、あるいは仕事にしている方は多いですね。その中でペットと暮らしている方もかなりの数だと思います。
日々香りの恩恵を受けている方からすると、なぜ動物のために香りを諦めなくてはならないのか・・・と、このジャーナルの主張に不満を覚える方もおられるでしょう。
筆者は香りの恩恵、楽しさ、心地よさも経験した上で、あえて動物側に立つ人間として本記事を書いてみたいと思います。

※テレビ視聴のお願い※

2023年8月2日、午前8時15分~ NHK総合テレビ「あさイチ」にて、化学物質過敏症の特集が組まれます。1時間ほど放送されるようです。
主に人間がどんな状態になり、どんなことで困るか…という内容かと思いますが、動物との暮らしに活かせる情報が盛りだくさんですので、是非皆様ご覧下さいね!(見逃し配信などもあるはず!)

無香料ライフがもたらす7つの恩恵

①犬のしつけが楽になる

香りの成分は、それが天然であれ人工であれ必ず脳に働きかけます。そのシステムは人間も動物も同じです。但し人間より動物のほうが「大脳旧皮質」の割合が多いので、香りの影響を受ける度合いは人間より大きくなりそうです。

香りは大脳辺縁系に働きかけます。ここは脳の中で記憶(海馬)や情動(扁桃体)をつかさどる場所なので、強い香りをずっと嗅ぎ続けていると興奮したり、エモーショナルになったりします。動物たちは人間よりも嗅覚が優れていますので、人間が思う以上に影響を受けています。
嗅覚が発達した動物は、狩をしたり食物を探して生存してきた種です。人間は単体では弱いので、集団で集まって暮らし、武器や火を使うことで生き延び、強くなりました。獲物を追わない人間にとって嗅覚はあまり優先順位が高くなかったので、鈍ってしまったんですね。強い香りにもすぐ鼻が慣れて「嗅覚鈍麻」の状態になりやすいのです。
それはそれでいいのですが、まず「人間はあらゆる動物の中でも特に嗅覚が鈍りやすい」ということを意識しておきましょう。愛犬は大切な家族ですが、「別の種」です。別の種には、別の種に必要な配慮をするべきなのです。人間の希望や都合で、一緒に暮らしてもらっているのですから。

もし、香りの好きなおうちで暮らしている愛犬が「吠えやすい」「落ち着きがない」「ちょっとしたことでキレる」などの問題を抱えているなら、まず香りの使用をやめてみてください。もちろんトレーニングは必要ですが、良いトレーナーさんについてお金と時間をかけたとしても、着ている服や犬の毛にべったり香りがついていたら台無しです。犬の行動を乱しているかもしれない要素を取り除いてあげて、やっとしつけのスタートラインに立てるということです。

②難治性疾患の予防

いつも皮膚が真っ赤だったり、お腹を下したり、咳がすぐ出たり、息が苦しそうだったり。動物たちのそんな様子はとても心配ですよね。
検査をしても原因がわからず、お薬を飲んでも改善しない場合、お家の中に強い香りがあるなら、それをやめてみましょう。上に書いたような症状は、「化学物質過敏症」を発症した人がよく呈する症状です。香りものだけでなく消毒液やお掃除用洗剤にも反応する可能性がありますから、そういうものも見直して「ナチュラルクリーニング」を試してみましょう。コロナ禍でみんなバシャバシャアルコールを使うようになりましたから、動物にとっては既に日常生活がきついはずです。(ペットショップで来店者に抱っこされる子猫が、手指の消毒液で皮膚や目に炎症を起こすそうです)

もちろん皮膚だけでなく、内臓疾患や呼吸器、循環器疾患に至る可能性もあります。猫は体内で香料を分解できないので、肝臓や腎臓を痛めて命に関わる状態になることがあります。

③ペットの体調不良に気付きやすくなる

人間は嗅覚が鈍いですが、それでも何かあった時には「くんくん」と匂いを確かめますよね。子育て経験のある方なら排泄物や汗、呼気のにおいで病気に気づくことをご理解いただけるはずです。ペットもまったく同じです。
家じゅうに強い香りが漂っていると、吐いた・下した・皮膚がただれている、など異常に気付いた時「何を吐いたのか」「下痢はどんな臭いか」「皮膚からどんな臭いがしているか」がわかりません。そこまで劇的な症状が出ていなくても、ちょっと猫さんのオシッコのニオイが変?なんていうことはありますよね。青いペットシーツや猫砂トイレでは色の異常がわかりづらいのですが、せめてニオイの異常には気づいてあげたいもの。最近はペットシーツや猫砂にも「お花のニオイ」がつけてあったりしますが、あれは本当に声を大にして言いたい「余計なお世話」です(# ゚Д゚)

④蜂や熊に狙われにくくなる

これを書いているのは2023年8月です。夏山や海などで楽しむ季節ですね!
愛犬と一緒に、大自然の中で夏休みを楽しむ方も多いでしょう。
自然の中に入るには色々とリスクもあるものですが、その中のひとつに
「危険な生物が人工香料に反応する」ことが挙げられます。

スズメバチは柔軟剤や香り長持ち洗剤、シャンプー、香水などの香りに反応し、攻撃的になることがわかっています。
これらの製品に使われている化学物質の中には、「内分泌かく乱物質」いわゆる「環境ホルモン」が含まれています。現時点でこれらの製品に「全成分開示」の義務がないため、具体的に何がどれくらい入っているかはブラックボックスなのですが、森や山の生き物たちはこれに反応します。人間でいえば「アドレナリン大放出でガチギレする」ような状態でしょうか(汗)。

山歩きをしていてスズメバチに襲われた時、集中的に刺されるのは香りをまとった人たちです。そういう人のおうちにいる犬も、毛や首輪などに香りがしみこんでいますので、狙われます。
熊も1km先のニオイを嗅ぎつけるといいますから、甘い香りの元を辿って「コンニチハ」なんてことがあるかもしれません。できればコンニチハしたくないので、山には無香料で行きましょう。

筆者は標高1800mの山の上に住んだ経験から、「自然の中で一番邪魔をしているのは人間」という認識を持っています。山には山、森には森のルールがあります。「いつものやつを使って何が悪いんだ」は通用しません。命がかかってくることですから、自然の調和を乱すことは慎みましょう。

⑤寿命が伸びる

②や③と深く関係することですが、日々の健康管理ができること、ちょっとした変化や異常を早期発見できること、余分な化学物質を体内に入れないことは病気のリスクを下げ、健康寿命を延ばしてくれます。
化学物質にとても弱い小鳥たちは、テフロン加工のフライパンを空焚きしただけで落鳥します(死んでしまいます)。炭鉱の毒ガスを感知するために必ずカナリヤを連れて行くというのがありますが、本当に微量の毒で亡くなってしまいます。その他にも「えっ?たったこれだけで」と思うような、ありふれた日用品や嗜好品で命を奪われてしまうため、小鳥を迎える方はかなりストイックな生活をすることになります。(その分、人間も化学物質に曝露する機会が減るので、私たちにとってもメリットしかないのですけどね)

そして人間もそうですが、動物たちも長生きするために過剰なストレスは大敵です。①で述べたように、香りは脳を刺激します。強すぎる刺激はストレスになります。動物の健康のためにストレスケアを頑張っている方は、是非その視野を香りにも向けていただきたいなと思います。
(ドッグアロマという分野もありますが、筆者は経験上避けています。どうしてもやりたいという方は、本当に専門的にしっかり学んだ専門家に指示を仰いで、自己責任でおこなって下さい)

⑥家計にやさしい

ドラッグストアに行くと、店内は鼻がもげそうな激臭が漂っています。化学物質過敏症の人にとっては、卒倒しそうに感じます。
だいたい毎日何かしらの合成洗剤や柔軟剤がセールされています。セール=安くてお得、って思っていませんか?そして、石けん洗剤やナチュラル系の洗剤って高い!と思っていませんか?

実は全然そんなことなくて、石けん洗剤と合成洗剤の一回当たりの使用金額はほとんど差がないのです。高いと思われるのは「普通にその辺で買えない」「デパート等の意識高い系コーナーでしか見たことない」「通販で買うと送料がかかるので割高」といったことが原因でしょう。案外、「意識高い系」に対する心的アレルギー反応もあるかもしれません。
なじみのないものには警戒心が出て当然なのですが、価格的に同じでペットたちの健康を損なわず環境に負荷をかけないものがあるなら、そちらを選びませんか。

環境というと対象が大きすぎて想像がつかないかもしれませんが、地球環境の入り口に立っているのは、あなたの大切なペットたちです。彼らの皮膚につくもの、被毛を洗うもの、口に入るものを、「安いから」「流行してるから」というだけで選ぶのでしょうか?もし「安いから」で選ぶのであれば、100円ショップで買える「セスキ炭酸ソーダ」でのお洗濯は安全で、しかも断トツお安いです。

実は一番ネックになるのは、価格じゃないんです。
「今までのやり方を変えたくない」という人間の脳の働きが最大のネックなので、それを知ることも大事です。

⑦人間の頭がよくなり、イライラしなくなる

①でお話したとおり、香りは脳にはたらきかけ「情動」に深く関わります。
どんなに好きな香りであっても、四六時中強い香りを嗅いでいれば頭がクラクラしてきませんか?いろんなことを考えるのが面倒になり、ちょっとしたことでイラっとして、挙句ペットたちに八つ当たり・・・。
こういう時は、肌断食ならぬ「香り断食」がいいですね。

常に香りがある状態は、常にラジオが大音量で流れているのと同じです。人間は嗅覚鈍麻が起きやすいので慣れるとわからなくなりますが、香り断食をしてみると「あれ、ニオイが静かだ」ということに気づきます。
自分が香料依存を起こしていないかどうかも、断食してみることでチェックできますね。

ニオイが静か=大脳辺縁系への刺激が減ると、脳の「前頭前野」が働き始めます。
前頭前野と扁桃体は、どちらか片方しか働くことができません。両立ができないのです。
前頭前野は理性や知的活動をつかさどるため、こちらが働きだすとIQが上がります。平たく言えば頭がよくなります(笑)。
もし受験期のお子様がいたり、ご自身が資格試験に挑戦したい時は、是非無香料の環境で勉強しましょう!成績と香りの強さは「反比例」します。
学校や塾で成績の良い子はみんな無香料です。成績が良かった子でも、おうちの洗剤が変わって匂いがきつくなるとガタガタと成績が下がっていきます。
ニオイ・香りが人生に与える影響、侮れないのです。

いちばん弱いものに合わせるとうまくいく

ペットは単体で生きていくことができず、必ず人間と同居しなければなりません。一番小さい単位で「ひとりと一匹」なわけですが、その小さな家族のライフスタイルを決める時には「一番弱いものに合わせる」のが一番うまくいくコツです。
いきなり地球環境とかSDGsとか、大きなことを考えなくてもいいんです。ただ目の前のひとつの命だけを見て、その子ファーストで考えてみてください。この子にもっとも負担がなく、やさしく、長生きできるのに最適な日用品は何か?そこに「当たり前に売っている」「みんなが使ってる」「流行してる」などの外的要素は必要ありません。かっこいい、映える、オシャレなんて動物たちは求めていません。彼らにとって必要なのは「安心して暮らせる安全な家」「普通に呼吸できる空気」そして「保護者さんの智慧とあたたかい配慮」なのです。


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