クウキョランド

期限切れのチケットを一枚
ギリギリと悲鳴をあげるゲートを通る
傾いた人型のオブジェに一礼
雨水の溜まった噴水に映る曇天
ふわふわり白く浮かんだ
虚ろな夢の国を歩く

ああ
コーヒーカップに潰されて
零れた無垢が香る
メリーゴーラウンドで輪になって
白けた骨が踊る

継ぎ接ぎの千円札を一枚
カタカタと恐怖しているドアをくぐる
苔むした四人席のテーブルに着席
セピアのぼやけた地図に群がる幻影
じわじわり黒く広がる
空ろな筆の先を辿る

ああ
ジェットコースターが振り回して
はだけた夢が落ちる
ゴーカートは3・2・1で
寂れたベルを鳴らす

フルカラーの写真を一枚
煌々と主張しはじめた月を望む
錆びついた低速のゴンドラに乗車
頭蓋の霞んだ記憶に飲み込む呼吸
ぐらぐらり淡く儚く
移ろう胸の内

ああ
コーヒーカップに潰されて
零れた無垢が香る
メリーゴーラウンドで輪になって
白けた骨が踊る

ああ
ジェットコースターが振り回して
はだけた夢が落ちる
ゴーカートは3・2・1で
寂れたベルを鳴らす

ああ
観覧車が12時を指す

ああ
観覧車が0時を指して
ゆらり空虚へ眠る

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