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バルセロナ近郊マタロのイースターの宗教行列

スペインのイースターはSemana Santa(聖週間)と呼ばれており、復活祭(イースター、2023年は4月9日の日曜日)の一週間前の日曜日から様々な宗教行事が開催されます。

以前住んでいたアメリカでは、多くの州でイースターの日曜日だけが祭日で、しかも振替とならないことから、欧州で一般的なイースター休暇と呼ばれるものもなく、あまり宗教色のある行事はありません。

欧州、特にカソリック教徒の多いスペインに引っ越してきて、聖週間の宗教行列は是非この目で見てみたい行事でした。コロナなどで機会がなく今年になってやっとデビュー♪

聖週間行事の背景

スペインでは1939年から1975年のフランコ政権下ではお祭りや宗教行列などの大半が禁じられていたため、そのまま消えてなくなってしまった聖週間の行事もここカタルーニャ州では多くあるようです。他方で町によっては1980年代頃から復活させるところもあったそうで、特に大量にアンダルシア州から移住してきた人々の影響により、アンダルシア州で祝われる要素も取り入れた町も結構あるとのこと。

現在のバルセロナは元々小さい町や村を併合して成り立っているためか、聖週間の行事はあまりなく、あっても規模が大分小さいようです。

そのため今回は近郊まで足を伸ばしてみることにしました。最大の行事はその町によって日が異なるようですが、今回行ったマタロ(Mataró)の町は復活祭前の金曜日(キリストが処刑された日、スペイン語でViernes Santo)の行列が最大規模ということなので、金曜日に行ってきました。

マタロの宗教行列

マタロはバルセロナの中心から電車で45分ほどのところにある地中海に面したマレスメ地方最大の町です。

Procesión Generalと呼ばれる金曜日の行列は、夜の7時に町の中心にあるサンタ・マリア・バシリカを出発します。

飲食店以外の商店は祭日なので閉まっていますが、バルや中心の通りは地元民でとても賑やか。

開始時間30分ほど前にはもうすでにバシリカの前に観衆が集まっていました。

最初はローマの兵士たちの行進。

考えてみればキリストが生存していた頃のエルサレムはローマの支配下。

衣装も装飾品も良くできています。右に左に独特の歩き方でゆっくり行進します。

そして組合ごとにコーンの形をした帽子を被った参列者と山車が登場。

アメリカなどではコーン(円錐)型の帽子は白人至上主義団体のKu Klux Klan(KKK)で知られていますが、スペインでは16世紀のスペイン異端審問においてカソリックに反する教えを持つ者が「悔い改める者」として被らされたのが起源だそうです。「悔い改める者」は天国に一番近い者と考えられることから、聖週間の行列の参列者が着用するようになったそうです。KKKが正装としてコーン型の帽子を被り始めたのは20世紀になってからのことで、起源はカーニバルやサーカスというのが有力だそうです。

それぞれの組合がバシリカから出てくるたびに司教が何やらスピーチを行い最後にキリストに感謝の意を述べて、バシリカを後にします。出発すると観衆から拍手が起こり、時折楽団の演奏が入ります。

ガラスの棺に収められたキリストの遺体

聖週間の宗教行列の写真は沢山見ていますが、生で見ると臨場感があり感動的です。

参列者は旗や十字架を掲げたり、お香を炊いたりしながら歩きます。

キリストの像

山車は大きいものが多く、何十人かで担いで歩きます。

山車の下から足が見えます。

相当重いのかかなり頻繁にベルの合図で休憩が入り、またベルの合図で担ぎます。

楽団も所々に入り、行列は町の中心をゆっくり練り歩きます。出発地点あたりにいても全て見るのに2時間はかかり、最初はまだ明るかったですがすっかり暗くなってしまいました。

後半のほうが混み合っていて、山車にライトアップもされ雰囲気が出ていました。

行列は町のもう一つの教会で終了。最後まで見届けませんでしたが、厳かな中にも華やかさがあり、とにかく感動でした。宗教自体には興味はないですがそれでもとても興味深いです。

帰りがけに通ったホットドッグ屋は長蛇の列。カソリックは聖週間の金曜日に肉は食べないと聞きましたが、みんなホットドッグを食べていました…

最近はあんまり敬虔な人はいないのでしょう。

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