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メルストというゲームで知り合った台湾人とDMのやり取りをした

昨日、DMが届いていた。「hi」という短いものだった。

メルクストーリア、というゲームがある。通称はメルスト。私はこのゲームを幼馴染にすすめられて始めた。もう二年になる。

メルクストーリア(通称メルスト)はソロゲームではなく、ギルドに所属して協力して遊ぶチームプレイのゲームである。ソロプレイも可能ではあるが、自分は毎日定時にあるギルドバトルがこのゲームの一番の面白さだと思っている。

そのゲームでは、中華圏の方々も遊んでいた。
半年前だっただろうか。香港で、中国が発布する法律が騒がれる少し前に、その人はギルドにやってきた。

日本語は少ししかわからない、台湾人です、と自己紹介をされたことを覚えている。人手不足だった私たちはその人を歓迎した。ゲームにおいて国籍なんて関係ないのだ。

その人は、ギルドバトルにそこそこ参加しながら、話をほとんどすることなく、所属していた。

しばらくして、香港で外国人が理由もわからずに捕まる可能性がある法律ができる、と騒がれ始めた。

私は日本の政治を眺めている、いわゆる変人なので、軽くだが国際ニュースもチェックしていた。

そして、この台湾の方には、どう受け止められているのだろう、と気が気ではなかった。

そして、この人は唐突にギルドを抜けた。説明もなかったので、理由はわからなかった。

すぐに私はTwitterでこの人のアカウントをフォローしてリプライを送った。あまり活動的なアカウントではなかったので、フォローが返ってくるのも長くかかっていた。

それから、半年だろうか。長いこと、音沙汰はなかった。

そして、冒頭に戻る。昨日、唐突にDMが入っていたのだった。

すっかり忘れていたようだったし、日本語ではやり取りが流暢にはいかなかった。英語が混じるようになり、別のタブレットで翻訳を使いながら、やっとのやり取りだった。真面目に英語を勉強しておくのだったと、後悔している。

そして、「telling」と言われた。

「伝えて」

なんてことだ。なんてことだ!!!!

なぜこんなに私が衝撃を受けたのかというと、私には社会のつながりがほぼない、ただの引きこもりの専業主婦(子なし)だからである。

日本社会に適合できず、引きこもっている自分が、この話を伝える?どうやって?

この国では、政治の話自体、高度なコミュニケーション能力が必要なのだ。社会と適合できず、人間嫌いになっている私が、この話を伝えることなんて可能なのだろうか?

とりあえず、プレミア12の野球観戦をしている夫に、話かけてみた。

「ねぇ、台湾のことって興味ある?」
「おーーーー!!!!!!いけーーーー!!!!」

練習試合に夢中である。
彼はタイミングが合わない話は耳に入らない。
どこかのタイミングでこの話をしよう。

というわけで、とりあえずnoteで、この話を書いている。

訳して載せるには、私の英語力はあまりにも拙いので、伝えてほしいと受け取った原文を転載する。

Taiwanese all supported Hong Kong
our college set up the Lennon Wall
to support Hong Kong
but Chinese were broken it
taiwan reported this all day before
China no news
all banning

They let a people disappear
and let the fake family tall the reporter he was kill himself

「台湾では香港を応援しており、香港のためにジョン・レノンの壁を作ったが、中国にそれを壊されたことが報道された。中国では報道されず、すべてBANされる、彼らは消えた、彼らの偽物の家族が彼は自殺したと報道されている」と受け取ったのだけど、合っているだろうか?

私はこの事実を真剣に受け取れないであろう、同じゲームをやっている大人たちを思って恥ずかしくてたまらない。

この人は学生なのだ。
今、日本でも英語入試で戦う高校生、大学生がいることは知ってるけれど。
安保法案の時に、日本人がSEALDsに取った態度を今でも私は忘れられない。

日本人は台湾に比べれば、人が多い。1%でも100万人になる。しかし、香港に興味を持ってくれるような人が100万人もいるだろうか。

昨日は法務大臣がやめたせいで国会の委員会が流会した。そのことを知っている日本人が100万人もいるとは思えない。

自国の政治のニュースですら語れない国の人間が、私には心底恥ずかしくてたまらなくなった。

私たちの人権を取り返さない限り、私たちは、この人たちを救えない気がしてならない。

人権って、楽しく毎日を過ごすことだと、生活していくことだと、私は思う。

ゲームをしていても、この人は社会問題を無視していない。ちゃんと話をする、しかも、この人にとっては外国人の私に。しかも何者かわからない私に「伝えて」と。

この人の勇気が私にはまぶしく思えて仕方ないのだった。

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