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映画で振り返る「平成」

こんにちは!U-NEXT映画部の飯村です。

先日、新元号「令和」が発表され、残された「平成」の期間もわずかとなりました。

新しい時代を迎える高揚感もあり、一方ですこし寂しくもあり…。最近はネットやテレビの特集をみながら「あぁ…そんなこともあったなあ。」とノスタルジックな気持ちにひたっております。

そして、映画の軸でもいろんな思い出が。たとえばはじめて映画館で観た映画。お小遣いで買ったDVDや、夢中になったハリウッド俳優。初参戦した試写会…。

いろんな映画との出会いがあった30年。せっかくなので、その年を大いに盛り上げた映画を、象徴的なエピソードとともに振り返ってみました。

映画部の大人チーム(昭和生まれ)と若手チーム(平成生まれ)の知識と思い出を結集し、1年1本、計30本を選出。熱~い議論を戦わせた末に惜しくも落選したタイトルたちも是非ご覧頂きたいので、候補たちへのリンクもぺたりと貼り付けました。

皆さんの映画の思い出に、じっくりひたってみてください。


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平成1年(1989)

肉体派スターばかりのアクション映画界を変えた!
天皇崩御による自粛ムードが続くなかで放たれたのが『ダイ・ハード』。ボヤきながらもテロ集団と戦う人間味満点な主人公、伏線を張り巡らせた緻密な脚本は、マッチョ系スターが暴れる従来のアクションとは一線も二線も画していた。それでいてド派手な見せ場もタップリでヒット!ブルース・ウィリスも本作で一躍スターに。
平成1年代表作一覧


平成2年(1990)

カップルは絶対に真似した“ろくろ回し”の名場面
この年、女子はティラミス、子供は『ちびまる子ちゃん』、そして映画ファンは本作に飛びついた!恐ろしい存在であった幽霊を、愛する者を見守る存在にした斬新な視点、とことんキュンとさせてジ~ンとさせる物語が受けに受けた。D・ムーアとP・スウェイジが二人羽織状態でろくろを回すシーンは、カップルならば絶対に真似したはず!
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平成3年(1991)

ジュリア・ロバーツの出世作でもある傑作ロマンス
映画界はコールガールと実業家の超格差恋に湧いた。展開はありえないほどロマンチック、主演ジュリア・ロバーツにリチャード・ギアという美男美女、ハイブランドの服やアクセサリーが次々と登場と、まさに夢物語。その一方、現実世界では湾岸戦争勃発、ソ連解体、バブル崩壊となかなかの大事件が連続しておりました!
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平成4年(1992)

無精ヒゲに丸眼鏡…。ジャン・レノを真似る男が続出
バブルは崩壊したが、映画界はミニシアターブーム真っ只中。そして大ヒットしたのが、フリーダイビングに情熱を傾ける男たちの姿を描いたコチラ。熱くて爽やかな物語、ギリシャやシチリアの美しい海を捉えた映像が人々の心を鷲掴み。丸メガネ、無精ヒゲ、超短髪というジャン・レノの格好を真似する男が続々と現れた。
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平成5年(1993)

エンダァ〜イァ〜♪の主題歌も大ヒット
皇太子徳仁親王と小和田雅子様が結婚の儀。おふたり並みではないが『ボディガード』のK・コスナーとW・ヒューストンのカップルもフィーバーを巻き起こした。大スターの共演、とびっきりの恋とスリルが詰まった物語、そして心の琴線に触れる旋律の主題歌にみんなメロメロ。エンダァ〜♪と主題歌を熱唱する者続出!
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平成6年(1994)

ギターが唸るディック・デイルの主題曲も最高!
ビートたけしのバイク事故や大江健三郎のノーベル文学賞受賞にも驚いたが、クエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』にもブッ飛んだ。次々と飛び出すクセありのキャラクター、時間軸を解体しまくった緻密な構成、与太話なのに引き込まれる台詞…すべてが衝撃的だった。ギターがギンギンの主題曲も最高!
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平成7年(1995)

リュック・ベッソンの名を轟かせた名作
家族を殺された少女と暗殺者が育む父娘とも師弟ともつかぬ温かい絆、孤独でストイックな暗殺者のキャラ、迫力のアクションと涙を誘うラスト。阪神大震災と地下鉄サリン事件で沈痛な空気に包まれるなか、老若男女が本作にハートをかっさらわれた。少女を演じたN・ポートマンは一躍売れっ子に、L・ベッソンはヒットメイカーに。
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平成8年(1996)

D・フィンチャーの名を知らしめたサスペンス
消費税5%引き上げ決定やらダイアナ妃とチャールズ皇太子の電撃離婚にも騒然となったが、この作品にもザワついた。キリスト教“七つの大罪”をもとに凶行が続く不気味で厳かな展開、ダークにしてスタイリッシュな映像、待ち受ける衝撃のラストに本気で息を飲んだもの。本作のヒットでサイコサスペンスのブームも到来!
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平成9年(1997)

不況がさらに進むなかで花開いた不倫愛ブーム
前年の石田純一による「不倫は文化」発言も手伝ったのか、妻子ある男女の不倫を描いた『失楽園』が大ヒット。オッサンもマダムも、許されぬ運命の恋に落ちる役所広司と黒木瞳に自分を重ねて身悶え!さらに同年放送のTV版までも大当たり。そんなフィーバーの一方で、山一證券倒産などで景気はさらに悪化。
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平成10年(1998)

誰もがディカプリオにメロメロ“だっちゅーの”
この年の映画といえば、興収260億円の超ヒットを記録した『タイタニック』!沈没する運命にある豪華客船で出会った男女が織りなす一世一代の恋に泣かされ、スペクタクルを極めた沈没シーンにド肝を抜かれた。ジャックとローズが船首で取るあのポーズを真似るカップルをあちこちで見掛けたのも懐かしい。
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平成11年(1999)

ノストラダムスは当たらなかったがコチラは大当たり
1999年、人類滅亡。ノストラダムスの予言が当たるかと身構えたが何も起きず。でも、地球と小惑星激突の危機を描いた『アルマゲドン』は大当たり。科学考証は完全無視だがテンション重視の語り口、とにかく派手な見せ場の数々、そして泣きのクライマックスに日本中が夢中に。“泣きパニ”ブームの立役者にもなった。
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平成12年(2000)

国会議員が不謹慎だと激怒。そんなの知るかと大ヒット
「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」。そんなビートたけしの宣告を機に始まる、中学生たちの殺人バトル。けしからん映画だと国会で非難されるも、かえって話題となり大ブームに。本作は『仁義なき戦い』で知られる深作欣二監督の実質的な遺作となり、“不条理ホラー”を人気ジャンルとして確立させた記念碑的映画となった。
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平成13年(2001)

この映画でクレームブリュレを知った人も多いはず
9月11日に起きた全米同時多発テロ“9.11”。その報復となる米軍のアフガン攻撃で世界は混沌へ。そんななか、人々の心をホッとさせたのが『アメリ』だった。変わり者だけど純粋なアメリの人柄、愛らしい物語、雑貨テイスト全開なインテリアをはじめとする美術が女子のハートを鷲掴み。彼女の好物クレームブリュレにも注目が!
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平成14年(2002)

香港映画の新スター、チャウ・シンチーにシビれた
W杯が日韓同時開催、街では日本チームのユニフォームを着たファンが試合のたびに大狂乱。そして映画館では『少林サッカー』に大興奮!ワイヤーアクションを駆使したサッカーの域を超えるトンデモ技の数々、イカれたキャラたち、ギャグの応酬にヤラれた!本作でチャウ・シンチーは香港映画ファン以外にも愛される存在に。
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平成15年(2003)

トム・クルーズが話す日本語のセリフに湧きまくり
親日家で知られるトム・クルーズが、それを極めるあまり元騎兵隊のサムライを演じた『ラストサムライ』が興収137億円の大ヒット。武士文化を徹底リスペクトした姿勢、トムと渡り合う日本人俳優たち、そして怒涛の合戦場面に日本人の誰もが感涙。本作で渡辺謙が世界的な注目を集め、ハリウッドでも活躍することに。
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平成16年(2004)

この年、ドラマは冬ソナ、映画はセカチューだった
映画界の話題の中心になったのが、“セカチュー”こと『世界の中心で、愛をさけぶ』。どこまでも純愛な物語、過去と現在、日本とオーストラリアをまたぐスケールもさることながら、ヒロインに扮した長澤まさみの可憐ぶりが観る者の胸を撃ち抜いた。本作の影響か、テロ連発による厭世の反動か、純愛映画ブームが巻き起こった。
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平成17年(2005)

ティム・バートン、老若男女に愛される監督に大変身
史上最大のハリケーン“カトリーナ”発生やら福知山線の脱線事故やら。せめて映画くらいはドリーミーでスイートなものを!…というワケではないが、“チャリチョコ”が大当たり!ティム・バートンの持ち味である毒々しさが摩訶不思議な物語とナイスマッチ。映画ファンだけでなくファミリー層にも支持される監督へ。
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平成18年(2006)

モナ・リザ程度しか知らずとも楽しめたミステリー
美術や宗教をめぐる史実と、創作のミステリー要素を融合させた原作小説が世界中でバカ売れ。その数年後に満を持して公開された実写映画は、緩急を利かせまくった名匠ロン・ハワードの演出がどハマリ。この年トリノ五輪で金メダルを受賞した荒川静香に負けず劣らず健闘し、興収90億超えの大ヒットを記録した。
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平成19年(2007)

ヤンキーやツッパリとは違う不良たちにヤラれた!
沢尻エリカの「別に…」発言で炎上したのは『クローズド・ノート』、不良高校生のバトルに観客の魂が炎上したのは『クローズZERO』。小栗旬、山田孝之、桐谷健太ら実力派イケメンに憧れる男子が各地で続出!学ラン&柄シャツにシルバーアクセというファッションは、80〜90年代のヤンキー映画とは隔世の感があった。
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平成20年(2008)

衝撃的ニュースが続くなか、心に染みた名作
小室哲哉が詐欺で逮捕、ゲリラ豪雨が続発、リーマンショックによる不況到来などバッドニュース多し。だが、映画界からは『おくりびと』のアカデミー外国語映画賞受賞の朗報が。死者を棺に収める納棺師という仕事の内幕に前のめりになり、生と死を真摯に見つめた物語に世界中が泣かされた。もちろん大ヒットで興収64億円超え!
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平成21年(2009)

政界も映画界も新時代到来のムードに胸アツ!
自民党から民主党へ政権交代、アフリカ系初の米大統領オバマが就任、映画界に革命を起こした『アバター』も放たれ、新時代到来の雰囲気に胸が躍った。3DとCGを融合した驚異的映像は、従来の飛び出す3D映像にはない”奥行き”も体感できる代物でブッ飛んだ。舞台の惑星パンドラの桃源郷ぶりにハマり、公開終了後にロスに陥る輩も。
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平成22年(2010)

“イヤミス”映画ブームの先駆けといえばコレ!
小惑星探査機“はやぶさ”の地球帰還に湧くも、日本航空の経営破綻に宮崎県の家畜伝染病拡大と、国中がせわしないムードに。そんな空気を反映したかのような“イヤミス”こと、嫌なミステリー『告白』が大きな話題に。女教師が進める復讐を軸に10代を取り巻く闇をあぶり出す内容、中島哲也監督のカオスでポップな語り口に絶句!
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平成23年(2011)

未曾有の震災で沈んだ気持ちをアゲてくれた快作
3月11日、東日本大震災と福島第二原発事故が発生。沈んだ人々をパッとさせたのが『モテキ』だった。サブカルへの大量オマージュ、SNSなどのITメディアを盛り込んだ世俗性、リアルかつコミカルに描かれる文化系男子のイジイジした“恋愛あるある”が観る者のツボにドンズバ。豪華な女優陣の顔触れにもアガった!
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平成24年(2012)

あの頃を思い出し、ヒリヒリ。だけど目が離せなかった!
東京スカイツリーに明かりが灯り、わずかに震災の衝撃も和らいだ頃、本作のスクールカーストを軸にした青春群像に“あの頃の自分”を思い出してヒリヒリとした気分に。物語の中心人物“桐島”が不在のまま、彼を取り巻く登場人物それぞれの視点で進むストーリーと、その斬新な語り口に映画ファンは大きな衝撃を受けた。
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平成25年(2013)

インド映画の新しい風が日本に吹き込んできた
滝川クリステルの「お・も・て・な・し」が効いて東京五輪誘致成功。五輪に向けて世が慌ただしくなるなかで染みたのが『きっと、うまくいく』。エリート至上主義である教育現場のあり方を問うテーマにハッとし、笑いと涙が詰まった物語にグッときた。主演を努めたアーミル・カーンの存在を含め、インド映画の今を教えてくれた。
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平成26年(2014)

ナッツ姫とエルサ女王、ふたりのプリンセスに世は騒然
大韓航空副社長チョ・ヒナによるナッツリターンに世界がヒヤリ。凍りつくならナッツ姫よりもエルサでしょ!というわけで『アナと雪の女王』が興収255億円の特大ヒット。男に頼らぬ彼女の姿が現代を生きる観客の共感を得たのもあるが、キャッチーな主題歌「レット・イット・ゴー」にハートを掴まれたのも大きかった。
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平成27年(2015)

再び宇宙を飛ぶミレニアム・ファルコンの勇姿に涙
エンブレム盗作疑惑が浮上した東京五輪と共に『スター・トレック』を撮ったJ.J.エイブラムズによる『スター・ウォーズ』にも不安の声…でも大成功でありました!主人公に女性を迎えた新鮮さ、ルーク、レイア、ハン・ソロ、チューバッカの再登場、カイロ・レンの中二病ぶりに往年のファンも新しいファンも身悶え!
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平成28年(2016)

舞台のモデルになった場所への巡礼者も後を絶たず
ベッキーとゲス極・川谷絵音の不倫、乙武洋匡の複数不倫に興味津々。だけど、映画で観たいのは純愛!と言わんばかりに『君の名は。』が興収243億円のメガヒット。ある日突然入れ替わった男女の運命と、ふたりを取り巻く世界の美しさに熱狂。作品の世界観に沿ったRADWINPSの音楽と主題歌「前前前世」が刺さった!
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平成29年(2017)

キャッチ―な楽曲で、近年の音楽映画ブームのキッカケに
高速道路で歌って踊るOPからヤラれるミュージカルシーンの数々、夢と愛の間で揺れる物語、愛し合うふたりが宇宙で舞う美麗な映像。それらに酔って、泣いて、ときめいた!アカデミー賞授賞式での作品賞発表ミスは、映画ファンにとってトランプ米大統領就任、白昼の空港での金正男暗殺と並ぶほどの衝撃事件でありました。
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平成30年(2018)

制作費300万円で興収30億円超の大快挙!
ワンカット撮影のゾンビ映画かと思っていると、まさかの笑って泣けるドラマが待ち受ける。そんな二段構えのサプライズ、渾身の長回し、何かを創造することの喜びを謳ったテーマに観る者すべてが拍手喝采。SNSでの口コミにより、公開は2館から375館に拡大、興収30億円超のヒットとなったのは映画界平成最後の事件!
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皆さんの琴線を震わせた思い出深い映画はありましたか?

数々の名作を生んだ「平成」。これから始まる「令和」でどんな映画と出会うのか、期待に胸が膨らみます!


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