ヨロ企の映画イベントの話と、「映画の楽しみ」が広がっていることが嬉しいという話。

U-NEXT映画部の宮嶋です。

映画ファンの皆さんはカンヌ国際映画祭のコンペティションの行方が気になる今日この頃(個人的にはP・アルモドバルに期待)、私は先週、まったく趣の異なる、でもとっても楽しい映画祭を楽しんできました。

伺ったのは、京都の人気劇団・ヨーロッパ企画が主宰する「ショートショートムービーフェスティバル」の東京大会。劇団メンバーやスタッフが5分間の自主短編映画で競い合う、というイベントです。

ご存知ですか、ヨーロッパ企画!京都に拠点を置く、ちょっぴりギークで理系っぽい、愛すべきSFコメディを得意とする劇団です。

チケットは毎度即完売、演劇界の芥川賞と称される「岸田國士戯曲賞」も受賞している、演劇ファンにはおなじみの劇団なのですが、映画ファンの方にはもしかしたら、本広克行監督の『サマータイムマシン・ブルース』『曲がれ!スプーン』の原作戯曲となった劇団、そして出演もしているあの人たち、と言ったらピンと来るかもしれません。私も、そこからヨーロッパ企画のことを知りました。

あるいは、お子さんをお持ちの方ならNHKの「ことばドリル」のあの人たち、として。園芸ファンのかたには「京も一日 陽だまり屋」のあの人たちとして。TVドラマファンの方なら、いろいろな作品のナイスなポジションの役でメンバーの顔を見ているはずです。

でも彼らって、いわゆる「劇団」「舞台役者」からイメージする姿とはちょっと違っていて、何というか、おもろいことなら何でも自分たちでやっちゃうし、できちゃう人たちなんです。劇団の本公演のほかに、先述のようなドラマやテレビ番組への出演、ラジオパーソナリティなど、いわゆる演者さんとしてのお仕事は当然されているんですが、それに加えてメンバーそれぞれにドラマ脚本を書いたり、ドラマや舞台の演出をしたり、イラストを描いたり、アニメーションを作ったり、はたまたフラッシュゲームを作ったり。

とにかく「モノ作り」全般に多才な方たちなのです。

そんな中でもヨーロッパ企画、特に短編自主映画の制作に力を入れていて、毎年開催しているのが「ショートショートムービーフェスティバル(SSMF)」。劇団メンバー、スタッフが各自制作した映画をコンペティション形式で競うイベントです。U-NEXTでも、過去のこのイベント向けに作られた作品から、厳選して15本ほど配信しています。(代表の上田誠さんに短編映画製作についてインタビューしましたので、ご興味があればぜひこちらをご覧ください!)

尺は5分間で、毎回お題が与えられるのですが、今年は劇団21周年にちなんで「21」を作品のどこかに忍ばせた作品18タイトルがグランプリを競いました。

これがめちゃくちゃ面白かった!

テーマと尺だけが条件で、ジャンルも方向性もバラバラ、脚本の洗練度も、映像クオリティもバラバラ。なにせ、劇団所属の映像ディレクターも演者さんも、プロとして脚本を書いている人も書かない人も、演出経験がある人もない人も、みんな同じ条件で、5分間の短編を作るんです。職人技のこなれた作品もあれば、エッジの立ちまくった作品も。それらをまるっと観られるのが、とっても面白かったです。

「何だろう、この感じは…」と考えると、やっぱり、作りたいというモチベーション、作らずにいられないというエモーション、つまりは自由に作品作りが出来る喜びの炸裂、なんだよなぁ、と思いました。

イベント終了後に打ち上げにも参加させていただいたのですが、とにかくみんな作品の話ばっかりしてて(笑)「あそこはこうしたほうが良かった~」「次に撮る時はこうしたい!」とひたすら。本当にモノ作りが好きで、そのことを考えずにいられなくて…の方たちなのだなぁ、と思わされましたし、「この人たちの作ったものを、しっかり世の中にお届けしなければ!」という気持ちを新たにしました。

最近、私もU-NEXTオリジナルドラマ『すじぼり』の製作にも携わっていたり、自主映画の世界に興味があっていろいろな方にお会いしたりしていて、規模は小さくても情熱を持って自由に映画作りに取り組んでいるクリエイターの方にお会いする機会が多くあります。刺激を受けるし、とても嬉しいです。

撮影機材や視聴デバイスの進化によって、以前に比べると断然手軽に映像作品づくりにチャレンジ出来るようになりました。私たちが小さい頃は「映画を作る」なんてとってもハードルが高くて勇気がいることでしたが、今は、なんならiPhoneで映画を撮ることだって可能。手軽になった分、たくさんの情熱が世に出やすくなりました。

現に、今年のミニシアターの状況を見ていると、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)やMoosic Lab.などの自主映画祭のコンペを賑わせた作品が、きちんと劇場公開されるケースが、とても増えている印象です。小規模作品のクオリティがあがっているということではないでしょうか。

もちろん、その次の段階に行くにはもうひとつ大きなステップを登らなければならないわけですが、それでも、モノ作りにチャレンジしやすい土壌が育っている。これって、映画やエンタメを「観る」ことを喜びにしている人たちにとっても、本当にハッピーな状況ですよね!

私は配信プラットフォームの人間で、クリエイティビティは持ち合わせていないものの、映画というエンタメを愛する人間のひとり。たくさんの作り手たちの熱によって生まれた映画たちを世の中にお届けするお手伝いができるのは、なんとも幸せな仕事です。



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