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人生に抗わない

今年もまた”脚が太いから似合わない”という理由で気に入ったスカートの購入を諦めた。
今までに何度「もう少し脚が細かったら良いのに」と思ったかわからないが、昨年辺りから脚を細くすることを諦めた。
脚の太い人生を生きる。

若い頃は憧れや理想に向かってクラウチングスタートで駆け抜けていた私だったが、体力の衰えを感じるようになった。
私の26歳という年齢を知った方には「20代半ばで馬鹿言ってんじゃねぇ!」と野次られそうだが、今までの生き方が異常すぎたのだ。
自傷をしない代わりに通り魔に刺されそうな夜道を選んで徘徊したり、
ダメ男好きを矯正するために30歳の中卒ニートをヒモにして17万貸したり、
婚約者のふしだらな過去への当てつけとして痴漢に遭おうとして埼京線に乗ったり、
とにかくめちゃくちゃだった。
でもそれはすべて自分なりの努力だったのだ。
実際、それらの一つ一つが今の私を作り、酸いも甘いも嚙み分けたっぽいアラサー看護師が出来上がった。
今の自分に結構満足している。

しかしながら看護師としての伸びしろが頭打ちになり、次は何をすれば望ましい姿になれるのかわからなくなってしまった。
次々と自分の人生にハードルをおっ立て続けて飛ぶなり倒すなり蹴り飛ばすなりしてきた私は、これからどんな走り方をすればいいかわからなくなってしまった。
振り返ると自分が走ってきたレーンが破茶滅茶で少しウケてしまう。
でもこの先も同じような走り方は出来ないな。
冷静になってしまったのだ。
このタイミングで合っているかわからないけど、いつか来るべき日が、今来たのだ。

じゃあもうぬるぬるとやりたいことをやって、いついつまでにどうなるとか、この人より先にああなるとか、そういう競技からはちょっと離れよう。
私がぐちゃぐちゃにしたレーンを一枚写メって競技場を後にした。

ここからは、今の私がどうしたいか。
こうなるための何、じゃなく、瞬間最大幸福を優先させる人生の旅が始まる。

そう思ってとりあえず、辛い時自分を労うために毎日食べていたパフェを食べた。
「辛くないけど食う。美味いから」
脚の太い人生を生きる。それでいい。



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