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ねえ、私楽しんでいたよね

3年前の私

私って
写真が好きだった

子供がうまれて
カメラを持つ時間が無くなった

カメラじゃなくて
大切な息子を抱っこしなければならないから

いつの間にか
隙間時間にSNSで誰かの写真ばかり眺めては

羨んだ

カメラを持たせてもらえる貴重な時間には
素敵な写真を撮らなきゃいけないって
思ってしまって

時間もない
余裕もない

撮りたいのはこれじゃないって
思うようになっていたはずなのに

他に考えることやしなければならないことが多すぎて
わからなくなってた

パートナーの体調不良が続き
経済面の制限をかけなくてはいけなくなった

半径10キロ圏内で生活するようになって
私の頭の中はぼんやりした景色でいっぱいだった
そんな中

子供がカメラに興味を示したので
富士フイルムの写ルンですを買ってみた

値上がりしてすっかり高くなったカメラを持ってレジへ向かう
なんて言われてもいい
こんなに心が躍る瞬間を
初めての経験をさせてあげられるなら

幼い子供には早いと思われようが
迷いはなかった

楽しそうにシャッターを切る様子は
大好きな写真に残せなかったけど
目に焼きつけた
きっと一生忘れない

その感動を理解してもらえなくてもいい
完璧な写真も期待していない
とにかく出来上がりが楽しみだった

そして届いた写真を見て
嗚咽を抑えるのが難しくなるくらい泣けてしまった

私が撮りたいものそのものだった

私に、撮りたい!と言ってシャッターを切った写真
画角にうまく収まってなかったよ

こんなところで撮るのか〜と思いながら見守った駅のホームは
なんでこんなに切なく見えるのかな

無邪気に笑うおじいちゃん
不意に撮られて真顔のおばあちゃん
機嫌の悪そうなパートナーの顔

誰の目も気にしない
子供の彼が見たままの写真だった

こんな素直な写真を目の当たりにして
涙せずにいられなかった

心が動く瞬間を残したい
日常に幸せが溢れているから

私は
だから写真が好きだった
たった数年前だけど

私、楽しんでいたよね

このまま腐ってしまってはいけない

そう思わせてくれた息子に感謝を
ありがとう

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