ある日突然、ある野菜を手に取りながら思った。

あれ、これってなんていう野菜だっけ・・

調べて見ると、それは「ズッキーニ」

え？本当に？全く納得できなかった。スーパーの様子を思い出してみる。レシートを思い出してみる。スマホでみたレシピを思い出してみる。いや、全く思い出せない。その部分だけ、ぼんやりしてしまっているようだった。

すっかり物忘れが始まったのかと慌てて、他の野菜をひっぱりだしては名前をつぶやいた。大丈夫。他のものは忘れていない。なら今度は、キッチンの道具の名前、家具の名称、点検員のように指差し確認をしながら言い回った。大丈夫。大丈夫なのに、この緑の物体だけはなぜかしっくりこない。

変な気分だった。今までそんなことが起きたことがないし、去年も先月も、つい3日前だってこれを手にして主人と会話をした。

ろくでもない日記だが、私にはとんでもない日になった。まだ納得できていないんだもの。

名称は様々で、イタリア語で zucchina（ズッキーナ）、南米ではzapallo italiano（サパージョ　イタリアーノ）、アメリカとオーストラリア英語では zucchini（ズキーニ）、イギリス英語やフランス語では courgette（カージェット、クルジェット）、 またアメリカ合衆国ではズッキーニや近似種をまとめて summer squash と呼んでいる。スカッシュ(squash)とはカボチャ属の実のことで、カボチャのような秋冬が旬のものは winter squash と呼ばれる。また、古くはスニッカーズと呼ばれていたこともある。

へぇ・・・知らない。どれも知らない。どれかといったらズッキーニしか知らない。いったいどうしてこんな気持ちになってこんなことを調べているんだろう。すっかり混乱した。

「また、古くはスニッカーズと呼ばれていたこともある。」

スニッカーズなんてお菓子の名前でしか知らない。なんならもういっそ

スニッカーズの製造元は、M&M’sやミルキーウェイで有名なアメリカのマース社だった。

『スニッカーズ』という商品名は、このマース家が所有していた馬の名前に由来します。

馬かよ。全然関係なくて一瞬で落ち込んでしまった。そういうのって参っちゃうよね、なんだか。

それどころか指差し点検した自分が恥ずかしくなってきて、帰ってきた主人に話をした。すっかり馬鹿にされるかと思いきやこういった。

「最近人と関わってないからだろうね」

はーん、的確だ。それを全く面白がってくれない、それもそれでつまらないなと思った。でもきっとその通りなんだと思う。一人で仕事をするようになってからすっかり会話は主人だけ。連絡だってチャットワークやLINEで全て済んでしまうんだから。

なんにでも意識して、頭を使うことって大切なんだな。外に出ていつもと違う景色を見ることも、刺激になるんだろうな。ちょっと反省して、今日はズッキーニで料理をします。