BEE
このフィールドが私は大好きだ。
久しぶりに来たが、いつもと同じく、とても程度の良い花粉がそろっている。
丸めていても、イヤなピリピリする感じの花粉ばかりのフィールドもあるが、
このフィールドにはそれがない。
たぶん、いや、まちがいなく、毒を使っていないのだろう。
柔らかい花弁に包まれた花粉、花粉、花粉
あぁ、なんと良質な花粉なのだろうか
どのフィールドにもたいてい主というものがいる。
このフィールドの主は二体だ。
私たちはお互い、ジャマはしない。
二体の主はいつもなにごとか話しながら、花に水をやったり、赤くなったトマトをつんだり、きゅうりのツルを整えたり、球根を一緒になって掘り返したり、ナスの大きさに笑ったり、する。
私は花粉を丸める。
主の一体がテッセンという極上の花粉のそばにいる
主がこのテッセンなるものをことのほか大事にしているのは、その極めて上質な花粉からうかがえる。
もう一体はどこにいるのだろうか、一体だけというのは珍しい
陽が落ちてきた。たくさん花粉も丸めた。私は戻るべきだろう。
主はまだテッセンのそばにいる。
一体きりだ。
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