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『組織内における"それぞれの役割と価値"の見出し方』~うださん×キャリ捨て人さん対談~

8ヵ月で辞職のうださん×8年で辞職のキャリ捨て人さん。おふたりとも会社を辞めて“起業した”という共通点がありますが、起業されて10年目のうださんと、2018年4月に起業したばかりのキャリ捨て人さんに『組織内における“それぞれの役割と価値”の見出し方』を教えていただきました。起業を目指す方も出世を目指すビジネスパーソンの方も必見です!


【対談の登場人物】
うださん 
WEBコンサル会社代表取締役。WEBメディア運営で月1000万円達成。3サイト売却済み。TwitterではWEBを活用したビジネスについて発信。WEB講師としても活躍中。

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キャリ捨て人さん
業界世界1位外資系日本法人にて最短キャリアで出世。年収1000万円越え→楽しくない→2019年3月辞職。キャリアを捨てて、SNSコンサル会社SCULPTOR.inc取締役に。

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組織内における"それぞれの役割と価値"の見出し方

はるな
本日はよろしくお願いします!

うださん
サラリーマン歴8ヵ月です。起業して10年目になります。WEBコンサル会社を経営、WEBに関する講師業などもしております。起業家としての経験に関してはお任せください!

キャリ捨てさん
起業したのは2019年4月です。起業家としての経験はうださんの足元にも及びませんが、サラリーマン経験に関しては私の方が長いので、お話できます(笑)

今回は「対お客様」の話より「社内での話」を中心に、と伺っております。私が“社内営業の鬼”みたいに頑張った……と見えないか心配です(笑)

はるな
そのあたりも是非、詳しくお聞かせください!(笑)まずは簡単に自己紹介として、現在にいたるまでの話をサラッとをお願いします。

うださん
私は大学生まではいわゆる「レールに乗った人生」を歩んでいました。両親の希望もあり、良い大学に入って、有名企業に入って……みたいなコースを歩もうとしていたのですが、それって「思考停止」だなと思ったのです。

はるな
思考停止ですか? そう思ったきっかけは?

うださん
大学時代にジャーナリスト田原総一朗さんが毎回、経済界や政界の方々をゲストに呼び教鞭をとる講義があったのですが、そこで「成功している人は意外にも“レール”から外れた経験をしている」と分かりました。

例えば「28歳までニートでした」というように。僕の場合は大学時代に「このまま卒業してサラリーマン人生を送るのはつまらない」と感じたのです。

キャリ捨て人さん
それはちょっと分かります。私が凄いかどうかはさておき、実は私もレールから外れた経験あります。高校卒業後に1年間フリーターをしていました。別に大学に行く意味なくない? と思って周りに逆らって「なんで良い大学に行かなくちゃ行けないの?」という流れでしたね。謎の反抗期中でした(笑)

はるな
そこからなぜ、大学に入って就職しようと思ったのですか?

キャリ捨て人さん
そうですね……生きるのってお金が必要だな、お金はある程度欲しいなって、単純に感じました。じゃあ大手?に就職しなければいけないのかな?と「四季報」など高い年収ランキングが分かる本を読み漁って。そういう会社に就職するためには、大学を出なければいけないのかな、とステレオタイプで考えてしまいました。

うださん
僕の場合は大学までレールに乗っていて、そこで「起業したい」という思いが芽生えたので、就職は「ビジネスの全体像」が学べる小さい会社、ベンチャー、と決めていました。

はるな
お二人とも就職の目的は違いますが、ゴールから逆算して「どうすべきか」は明確に見えていたわけですね!

キャリ捨て人さん
私の方はそんな大した話ではありませんが、そのような考え方をもって就職先を選定されたうださんは、素晴らしいと思います。

うださん
僕が入社したITベンチャー企業は「ビジネスの全体を見るため」の就職のはずが、内定後に業績が急上昇。会社の規模も一気に拡大してしまったんです。内定を頂いてから入社まで一年近くありましたが、業務がかなり細分化されてしまったので「見たいものがみられない」と、入社後にギャップを感じてしまい。8ヵ月後に退社して起業の道を選びました。

起業した理由のひとつでもありますが、僕は組織内での競争がものすごく苦手で、みんなが競争していると“違うフィールド”で一番をとりたいと思うタイプなのですが……キャリ捨てさんは「大きな組織のなかで競争して1歩1歩出世を歩んでいくタイプ」ですよね?

キャリ捨て人さん
出世をするのは、もちろん好きでした。競争が好きかというと、そうでもないかもしれません。どちらかというと〝評価されたい〟というか想いが強かったタイプです。その結果、競争になっていたというか。人と〝違う目線〟を持てるかどうかは大事にしていましたね。

はるな
違う目線で競争というと……キャリさんはどのように社内で最短出世していったのですか?

キャリ捨て人さん
まず入社2年くらいは自分に与えられたタスクを早めに回すことに没頭しました。やらなければいけないことを“圧倒的にやる”という感じです。

それだけでは、まだ差別化として足りないので……他の人が気づかない部分のアイデアへ取り込み、何かを生み出す意識をするようになりました。

部署やチームに必要だけど、皆が“気づかない盲点”を探り、改善するためのアイデア創出に目線を向けていました。

うださん
やるべきタスクの他にも自発的に与えられていない仕事もこなすとなると……どういうスケジュールでしたか? 経営者目線で気になりますね。

キャリ捨て人さん
上司が思いつかない部分のアイデアに付随する必要タスクを、自発的に考えて、ガッツリ作りこむ、的な。かなりハードスケジュールで、やらなくてはいけないタスクが平日は22時くらいまで普通にあったので。それとは別にアイデアを創出する時間は土日を丸々潰して、平日は遅い時は翌2~3時くらいまで仕事していましたね。

はるな
上司含め、他の人が考えつかないアイデアは、どのように生み出したのですか?

キャリ捨て人さん
「問題点」を意識していました。
人って基本的に自分のことに一生懸命じゃないですか。私もですけれど(笑)他人のことや環境などの問題は、なかなか見られないものかなって。つまり、上司が自分では“手が回らない部分”に私が気づくようにしたのです。

私の経験の場合、ですが、意外に気づかないのはチームの問題点。可視化されている数字、チームの〇〇さんが言っていたことなど、現状のデータをしっかりと集めて提案の土台を作り「これは問題ですよね?」と上司にご提案。その上で「こうしたらどうでしょうか」と確実性のあるアイデアを提案していました。

あとは、チームに対して働きかける上で『そもそものやる意義』『やった上でどのような未来が得られるか』の説明にはかなりこだわっていました。

実際にやってみよう、となった時に備えて、若手用の完全マニュアルみたいなものもよく作っていました。そのマニュアルを見たら、目的の為に1~10までどういう風にアクションをすればよいか解説したマニュアルです。モチベから実行まで、リードするイメージです。

うださん
先読み力がすごいですね!経営者目線で見ても、それは間違いなく出世するなという感じがします。そこで上司に嫉妬されたりとかは、なかったのですか?

キャリ捨て人さん
優秀な部下が輩出できれば上司は出世できるので。まぁ何より普通に私は上司に恵まれていました。良い方々ばかりでしたし。上司5人いましたが、当然潰されることはなかったですよ(笑) 

うださん
恵まれていた部分もあるのかもしれませんが、抜け漏れや手が回らない部分を先読みしてカバーしてくれる優秀な存在がいたら、チームにとってもありがたい。それは潰せませんよね。

はるな
上司の抜け漏れとかミスがあると、責めたくなったりするケースもありませんか?

キャリ捨て人さん
喧嘩はよくしていました…というか、生意気だとよく怒られていました。私も人間が今より更に出来ていなかったので…💦(笑)

でも、先輩や上司ができない部分をただ責める部下や後輩にはなりたくないな、とは思っていました。責めないにしても、裏で愚痴大会をして終わる事が多いというか。でも、そういう材料だけにするのはもったいない。

私も、先輩も同僚も後輩も人間なので、そりゃあ当然、抜け漏れも出てきますよね。

ミスや抜け漏れをただただ責める、嘆くというよりも「〇〇さんに連絡しましたか?」「その為の資料できましたか?」からの「既に僕がやっておきました」など。

場合によっては「その資料に、○○みたいなアイデア盛り込んだら作りやすくなりませんか?」などというこちらの行動を、相手のサポート材料にする。

アピールとか言う人がいますが、ベクトルがチームに向いていて、かつ、自分自身が労力を投下しているならば、それが上司や先輩だけではなく、チーム全体のメリットになるならば、アリだと考えます。

うださん
キャリさんみたいに、先回りした提案や現状を共有してくれると、一気に信頼感がアップして仕事を任せたくなりますね。

先回りといえば、僕が会社を経営していて思うのは「ホウレンソウ」が細かい人は信頼できる。今こういう状態ですよって、逐一報告を入れてくれると、安心感があります。まぁうちは大企業ではないので、ある意味では経営側と社員の距離が近い。そんな私からしても情報を共有してくれるって、ものすごくありがたいです。ゴミみたいな小さな情報も流してくれると、本当に助かる(笑)

会議のときにゼロベースではなく、ある程度の情報が共有されていて、レベル3くらいから話せるというのは、大きいですよね。

キャリ捨て人さん
あとは、私は行きたい部署があったのですが「自分の仕事ぶり」を見てもらうために、その部署の上長のアドレスもメールの「CC」に入れて報告していました。

その段階では直接関係ない部署なのですが、結果「いい仕事している」という評価に後々つながり、志望部署に行く際の助けになりました。

もちろん「○○という理由でccをつけさせて頂きたいのですが」と、先方の上長には事前に確認をしてからです。いきなり来ても困ると思うので(笑)。

うださん
そこまで徹底して共有してくれると、アピールどころかありがたいですね(笑)実力ありきで、先回り力もあるとしたら、たとえ歯に衣着せぬことを言っても「手放したくない存在」ですよね。経営側や上司からしたら、頼るしかない!

キャリ捨て人さん
でも、生意気だったと思いますよ、色々と……。今は反省しています、ほんとに。

はるな
お二人の話を聞いていると、成果を出すビジネスにおいての立ち振る舞いとしては「先回り力」が鍵になるなと感じます。

うださん
そうですね。先回り力と「俯瞰力」がある人は出世しますよね。客観的に人や物事、状況を見て「足りていない部分」を改善、穴埋めできるということは「ビジネスの総合力」が高いというわけなので……。出世して当然だなと。足りないパズルのピースを理解する能力ですよね。

キャリ捨て人さん
確かに。実際に「そこまで提案してこないよね」というレベルまで、意識するようにしていました。

例えば「後輩Bさんが〇〇できるようになったら助かりますよね。そのためにこういうことをすべきです」と難しいスキルの伝達をマニュアル化した手引書(20ページほど)を作って、後輩を伸ばすために合わせた内容のものを渡して育成を促すとか。

本来は上司の仕事なのかもしれませんが、そこまでやると“違い”が明確になるかなって。

うださん
僕は「EQ」(Emotional Inteligence・心の知的指数)が大事だなと思っています。仕事はどう回るべきか、世の中はどう回るべきか……みたいに「ビジネスとは何か」が考えられていないと「優秀だけど気が回らない人」になってしまい、使えるんだけど実は使えない人になってしまう。

EQ(心の知能指数)とは……自己や他者の感情を知覚、コントロールし、成功を収める能力を指すもの。分かりやすく言うと「その場に適した対応ができる能力」といえる。IQ(知能指数)と違い訓練や習得によって高めていくことが可能。

はるな
使えるけれど、使えない人……? 具体的にどのような人ですか?

うださん
例えば「今日はみんなでワイワイするためにコンビニでアイスを見繕ってきてください」とお願いします。

みんなはモナ王みたいな価格帯のアイスを買ってきて欲しいのに、歩いていける距離の駐車場がないコンビニにフェラーリで行って、路上に邪魔な状態で駐車して、しかも場違いなハーゲンダッツを買ってくるみたいな(笑)。

空気が読めないというか……相手の気持ちに寄り添えない。相手が求めているものを「最適解」できない人です。

はるな
ものすごくわかりやすい例えです(笑)。でも「最適解」を出すのは実はものすごく難しいですよね。うださんはどのように「俯瞰力」を鍛えましたか?

うださん
僕は「観察力」だと思います。例えば、お店に入ってインテリアをみて「どうしてこういうインテリアなのかな?」と考えたり、そのお店の店長やマーケの責任者だったら「何をどう変えようかな」と勝手に考えたりします。

集客、商品提供、ユーザー体験を観察しながら「どういうものがあったら喜ばれるか」をビジネス全体像でとらえる習慣を意識する。

例えば、テラスのカフェなら「この近くにゴミ箱もあったらいいのに」「でも景観的にオシャレじゃないから、某テーマパークみたいなオシャレなやつを」とユーザー目線と経営者目線を行ったり来たりで考えたりしますね。

キャリ捨て人さん
勉強になります。
僕の場合は、「人」に特化したアプローチを意識していました。誰にどうしたら喜ぶのか、誰がどう助かるのか、チームの誰のメリットになるのか…という軸で考えているケースが多かったです。

はるな
うださんはビジネスとしての「全体図」の観察、キャリさんの場合は「人」を観察したということですか?

キャリ捨て人さん
観察というか、対話が好きでしたので、問題の確認を個別に行うのは好きでしたね。

出世アプローチにも通じますが「自分の昇格のパワーを握っている人物に明確なメリット」を打ち出すことも必要ですよね。

その人が困っていることをよく見て、先回りしてどんどん仕事をこなして評価を上げていく。

うださん
それは僕も意識していますね。もともと何でもやる「何でも屋」をしていたので、全体で見るクセがあって。ウェブ担当なのにお客様のオペレーションまで話をしたり、クライアントさまが持っていないリソースを提供したりしているうちに、社外CMOになっていたことも。

PL(損益計算書)やBS(貸借対処表)など決算書まで見てしまうとか、あります(笑)。全体像で俯瞰すると色々な仕事を頂くことができますよね。これからの時代のニーズにも必要かと。

キャリ捨て人さん
やっぱり俯瞰力ですね。ただ、4月に起業してからは「俯瞰的視点」が持てなくなってしまったんですよね……。

はるな
それはお忙しいからですか?

キャリ捨て人さん
私の場合は、かもしれませんが、サラリーマンの時と比べて、明らかに余裕がありません。
当たり前と言えば当たり前なのでしょうが。サラリーマン時代は責任範囲が明確に見えていたので、決められた円の枠の中で物事を俯瞰していれば、それで事は済んだというイメージです。起業すると、自分で色々とやると、接する人の範囲も、責任範囲も、やっていいことも無限大というか莫大すぎて……。

うださん
本当にその通りですよね。見なければいけないものがあまりにも多いのは事実です。経営側になると責任範囲の枠が無制限になるので、共感です。

キャリ捨て人さん
ものや人、空間が広がりすぎて……それで最近、死にました。

はるな
え?! キャリさんも死ぬことあるんですね(笑)。

キャリ捨て人さん
完全に死にました。もう私には……俯瞰できることがない……って。ダメだ……って。

うださん
ものすごくわかる(笑)。僕は細かい部分を入れたら100回くらい死んでいます。立ち直れないくらい大きく死んだのは10回くらい。その繰り返しです(笑)。

はるな
何度死んでも蘇生することは、ビジネスで成果を出す重要な鍵になるわけですね(笑)。日頃から「観察力」や「俯瞰力」を鍛えることは、経営者目線から見ても出世間違いなしで「手放しがたい貴重な存在」になるために必要だと分かりましたので、意識していこうと思います!


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