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続、コムローイ祭り2023

19時からメインステージでダンスやムエタイのショーが催された。
最前列はVIP席になっていて、彼らのためにあるようなショーだ。ずっと後方にいるわたしたちからは小さすぎてその様子をうかがえない。
わたしたちの席は後ろから4.5列目だった。一斉にコムローイを空に放つことを考えるとこのくらいの席でちょうどいいような気がしていた。
カメラマンたちは三脚を一番後ろの座席のさらに後ろに構えている。わたしはそこまで下がらなくても大丈夫だろうと、自席の前に三脚を伸ばして立てた。

いよいよ20時になり、MCから一斉上げにについての注意事項が説明された。タイ語、日本語、英語だったが、この場にはほとんど日本人しかいない。欧米人はごく少数見かけたが、タイ人は多分スタッフだけだろう。日本人MCが嚙み噛みで、隣で彼女は「何であの人にしたんだろう」と不満そうだった。
注意事項の中では火の点けかた、持ちかた、上げるタイミングなどを説明していた。別にそんなに難しいことではない。ただ、大きさがあるのでひとりでは不可能。ふたり以上で上げる必要がある。わたしはカメラのシャッターを切るタイミングがあるので自分で上げはしないが、彼女にランタンを持ってもらい火を灯した。

あれだけ注意事項で一斉に上げると説明しているのに、やはりと言うか、ここでも集団の法則どおり、言うことを聞かない輩によりカウントダウンの前からいくつかのランタンが宙を舞った。
前のほうで燃えているランタンも目にはいった。ランタン自体は紙なのだから、よほど注意しなければそうなるだろうとわたしは思った。

「5,4,3,2,1……」
火が入ったオレンジ色のランタンの数々が空に放たれた。わたしたちのランタンも上手く空へと上がっていった。その光景は想像していたよりずっと幻想的だった。
困ったことにシャッターも切らなくてはならない。空を見るかモニターを見るか、迷っている間にシャッターチャンスは去っていく。と、そんなことをしていると彼女から「危ない!」と声がかかり、見るとカメラにランタンがフワッとぶつかってきた。「おいおいおい!」と思ってわたしはフワッとランタンの位置を変え空に上げる。どっからやってきたのかと思えば後ろの女性たちだ。点灯する時点で戸惑っていたので想像に難くなかった。

一斉上げは全部で4回ある。各自ランタンをふたつずつもらっているの最低4回は必要になる計算だ。
思ったより上げるタイミングの間隔が狭くて、写真も撮りながらでは間に合わない。2回目の一斉上げは見送った。すると今度はその間にまた後ろからランタンがわたしにぶつかってきた。フワッと向きを変えて上げなおしているから何事もないが、一歩間違えれば大惨事だ。
このイベントのワイルドさはタイレベルだが、イベント参加者のほとんどは日本人でこういうことに慣れていない。日本の常識で考えれば危なくて即禁止レベルのイベントだ。タイだから成り立つイベントだと改めて思う。と同時に、いつまでも世界のどこかではこういうワイルドさが残るイベントを続けてほしいと願う。日本の物差しでは世の中の面白いことが消える。

4回の一斉上げが終わってもまだランタンが残っていて、その後も各自なくなるまでランタンを上げた。わたしたちも全然追いつかなくて4個目などは「まだあるの?」という感じだった。

と、ここまでがコムローイ祭りの話で、今日は前回から書いている想定外の話まで進めるつもりであったが、長くなりそうなのでそれはまた明日になりそう。



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