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「文喫」で人生を考える本に出逢えた話

本好きとしては一度は訪れたい「文喫」。入場料を払って楽しむ本屋さん兼、喫茶店。噂には聞いていたが、六本木で時間が空いたので行ってみることにした。


先週の日曜日。この日は予定がなかったので、「塩田千春展:魂がふるえる」を観に六本木へ。

午前中に森美術館に着いたものの、入場口には「70分待ち」の表示…。

個展はなるべく混み合ってないときに観たいので、今日のところは引き返すことに。ちなみに、係りの人に訊くと平日21時頃が空いてるらしい。

混雑の理由は、魂がふるえる展と同じチケットで入場できる「PIXARのひみつ展」だった。子ども連れに人気が高く、そのまま塩田さんの展示に流れてくるのだ。そういえば、この日は夏休み最後の日曜日でもあった。

休日にこうやって朝からイベントごとに出かけるのは僕にとって珍しい出来事だ。時間的にも精神的にも余裕がないと外に出ないのは悪い癖だ。


展示が見れなくなってしまい、予定のない時間が生まれた。

「さて、どうしよう。」

Macと数冊の本を持って家を出ていたので、近くのカフェにでも入ろうかなと思った。

ただ、それではいつものありふれた1日になってしまう。せっかく六本木まで来たのだから、新しい体験をしに「文喫」に寄ることにした。

オープン当初は大人気で入場規制が続いていたみたいだが、その日の昼時には難なく入れた。

入場料が1,500円なので、すぐ帰るのはもったいないなと思い、店内を探索することに。

席を確保する前に、まず全体の構造を把握する。3階建てのイメージがあったが、実際には5つのエリアがあるコンパクトな間取り。席数は100席もないようだ。

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席につき、お腹が空いたのでハヤシライスを注文した。食べ終えてから、本棚を見て回る。

図書館のような圧倒的な冊数はないものの、厳選された本たちが本棚から顔をのぞかせる。僕がその日、目に留まったのは「ライフスタイル」と「日本文学」のエリアだった。

特に気になったのは、一田憲子さんの暮らしのエッセイ本。失礼ながら著者の名前は知らなかったのだけど、生活に役に立つ実用的な内容が載っていてとても興味を引かれた。しばらく彼女の著作を何冊か読んで時間を過ごす。

そして、再びライフスタイルの棚を眺めていると『心地よさのありか』という小川奈緒さんの本と目が合った。

挿絵のイラストもさることながら、本文が良すぎて鳥肌が立った。無駄な文章が一つもない。「これは、毎日寝る前に読むため枕元に置いておきたい!」と衝動的に思った。

普段、あまり意識して来なかったが、どうやら僕は「ライフスタイル」や「丁寧な暮らし」に関心があるようだ。

「それを実現するには何が必要だろう?」と己に問うてみたら、これからの生き方の方向性が定まった気がした。いらないものはどんどん手離す、穏やかな暮らしを目指そうと思う。


午後3時になると、店内が混み合ってきた。よい本も見つかって元は取れたかなと満足したので、先程の本を買って文喫を出た。

結局、滞在時間は4時間に及ぶ。それくらい居心地がよかった。店を出るときに店員さんの声が耳に入り、「10人待ち」になっていることを知る。恐るべし文喫。


ここは本を読む場所というより、本に出逢いに来る場所だなと思った。

書店員さんの本のセレクトが素晴らしいので、入場料を払ってでもまた自分に合った本と出逢いに文喫を訪れたい。

※ヘッダー画像は文喫とは無関係です。誤解のないようにお願いします。写真撮るの忘れました…


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