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大人になって、好きを見つけること

中学生の頃に好きだった曲を聴くことが増えた。

最近の音楽からは遠ざって、過去の慣れ親しんだ曲しか聴かなくなるのは40歳前後からだと思っていた。まさか26歳でそうなるとは…

高校時代はCDショップに足を運ぶのが楽しみだった。ラジオから流れる気になった曲はどんなアーティストが作っているのか頻繁に調べていた。

そういう時間が大人になってめっきり減った。生活の中でゆっくり音楽に浸る時間は少なくなる一方。音楽を聴くシーンは外出時は移動時間、家の中では専ら何か作業をするときに限られていた。

僕の場合、本当に集中したいときには無音状態にする。リラックスしながらできる作業は落ち着いた音楽をBGMにしながら。そのため、インストの楽曲を聴くことが多くなっていた。ボーカルが入っている曲だと歌詞に耳が奪われてしまい、作業に集中できなくなる。

なかなか作業用の音楽をセレクトするのは難しい。インスト曲なら何でもいい訳ではなく、なるべく刺激的ではない、控えめな脇役に徹してくれる音楽が適している。最近はYoutubeでJazzやClassicのプレイリストを流すことも増えた。


とある休日の夕方。夜の予定まで少し時間があり喫茶店でリラックスしていた。そういえば、前にAppleMusicで気になったバンドのアルバムをライブラリに追加していたのをそこで思い出した。

それらのアルバムを上から順に聴いてみた。こうした未開拓の音楽を探索する経験は実に数年ぶりかもしれない。そこで彼らの音楽に出逢った。

バンド名は「Spangle call Lilli line」という。

スパングル・コール・リリ・ライン。

繊細なリズムの不思議な音楽、というのが最初の印象。透き通るキレイな声。聴いていて心地がいい。日本語の歌詞ではあるが、独特な言葉の連なりなので作業中も気にならない。何と言ってもバンド名が素敵だ。大いなるセンスを感じる。

素晴らしい音楽に出逢えた。中学生に戻った気分で高揚した。今は過去のアルバムを遡って聴いている。どれもカッコよくてお洒落で名盤揃いだ。

彼らのインタビュー記事を読むと20年のキャリアがあるバンドで、一般の人々の認知度はそこまで高くないものの同業者から多くの支持を集めているとのことだった。

音楽好きを自負していたが、恥ずかしくなった。


大人になって以降、新しいものに触れる時間が極端に減っている。映画や本、そして音楽に出逢う機会を自分から意識的に作っていきたいなと改めて感じた。

好きになれる作品を見つける過程は、本来とても楽しい体験なのだから。


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