手戻り最小限のディレクション術 その4…「制作側が困惑すること No.3」

ターゲットとペルソナ。この二つは、人によって理解や認識にブレがある単語ナンバーワン。特にペルソナはバラバラ過ぎて、毎回困ります。

ターゲットについては前回の記事にも書きましたが、割と幅の広い「客層」とでも言いましょうか。つまり実在する人たちの集合体です。

ターゲットは、ガチで狙いたい客層や、能動的に狙ってないけどある程度買ってくれるターゲット(セールスターゲット)など、狙い方によって細かく分類できます。

もう少し詳しく言うと、ガチで狙いたいターゲットは、広告などのコミュニケーションで狙い撃ちするコミュニケーションターゲット(例えば缶コーヒーのCMはオッサン向け)。一方で、セールスターゲットは、缶コーヒーをドラッグストアの安売りで大量購入してくれるヨメはん、といった感じでしょうか。

まず、「ペルソナ」を作ってマーケティング施策を考える場合は、そもそも何のために「理想の顧客=ペルソナ」を設定するのかを、関わるメンバーと共有し、理解を促す必要があります。

次に、「ペルソナ」とは、自社商品を買ってほしい層の中でも「もっともの理想的な顧客のイメージ」なので、実在する一人の人というわけじゃないということを確認します。なぜならば、この「ペルソナ」を、「ターゲット」と混同している人がめちゃ多いことで、お互いの意見が噛み合わなくなることが多々あるからです。

そんな悪夢の例として、ペルソナを「20代の独身女性で、○○という価値観を持つ人です」という風に規定した場合、調査も実施して、そういう価値観の層が存在することが判明していても、自分の周囲にそういう人が一人もいない場合「そんな人、どこにいるの?ほとんどいないのに狙い撃ちして売れるわけがない!」と言い出されることがあります。

あるいは逆に、ペルソナを設定しているのに「ターゲットはすべからく、全員、20代独身女性で、○○という価値観を持つ人み」と思い込んでしまって、セールスターゲット向けの施策などを柔軟に考えられなくなってしまったり。

クライアントさんの社内にも、さまざまな理解度と立場の方がいらっしゃるので仕方がないことですが、認識が食い違う場合でも敵対せず、必要なことに関しては根気強く説明することが大事です(諦めても結果に影響がなさそうな部分はバッサリ諦める!)

また、制作会社の人とペルソナやターゲットについて会話をする際には、相手側にマーケティング知識があまりない場合もあるので、以下のポイントをクリアにすると有意義です。

・実際に存在するターゲット層はこういう人ら
・中でも理想の顧客像(ペルソナ)はこういう人
・その人に、どう感じて、どんな行動をしてほしいかはコレ

すなわちペルソナを設定すれば、コミュニケーションを取りたい相手に関する共通のイメージを、プロジェクトの関係者同士で描きやすくなることで、方針がブレなくなります。プロモーションの打ち手も、デザインやコピーの方向性も、よりクリアになります。

ところで、ペルソナを作ること自体が仕事!みたいな状況に陥りがちですが、なんでもかんでも細かく設定するのが良いとは限りません。学歴や職業、家族の有無など、必然性がないのに全部考えて決めないといけないと思い込んで、不必要な属性を、想像だけで書き加えて作り上げる方がいらっしゃいます。が、ペルソナが代表するターゲット層の価値観や行動パターンが見えてこないのであれば、決めても意味がありません

ペルソナを作って進めるマーケティングは、あくまで手法の一つでしかないので、必要がないときはやらなくていいと思いますが、これも行動観察や調査の結果、設定することでうまくマーケティングできそうな場合には、とても有意義な方法です。根拠がないのにやたら詳しいペルソナが誕生し、一人歩きしそうな場合は、あなたがどんな立場でお仕事をしているかはさておき、全力で阻止しましょう!!

次は、4. メーカー都合の非現実的な販促ストーリーについて書きます。

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手戻り最小限のディレクション術

企業で広告代理店やデザイン会社などに仕事を発注する立場の方向けのコラムです。「発注される側」として、こういう情報の出し方をしてくれると制作の質と速度がアップする!という生の声をお届けします。
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