脱社畜

あえて言おう!「脱社畜」の前に経験者、年長者の意見に耳を傾けるべきだと

働き方改革が叫ばれ、働き方の多様化が進む昨今において、最近の謎のフリーランスや独立推奨の風潮には、中々に違和感を感じています。

「好きなことで生きていこう」といった耳障りのいい言葉を多用し、サラリーマンを揶揄するような、「脱社畜」なんて言葉も登場してきました。

大前提として、私は独立をして法人化しており、ある側面ではフリーランス的働き方もしている立場でもあるという上で、話を進めたいと思います。

それってただのポジショントークじゃないですか?

キャリアの構築の仕方というのは、本当に千差万別です。

サラリーマンを揶揄し、独立を煽るような論調は多々みかけますが、疑問なのは、それってどの程度再現性あるんですか?っていう話。

単純に、

「こんな稼いでるぜ」「こんな自由な生き方いいでしょ?」って言いたいだけじゃないの?

って思うことは多々あります。

自分の立場を自慢したり、武勇伝を語りたいだけなら、まだかわいいもんだけど、それをきっかけに、広告収入を得たり、謎のセミナーや情報商材に誘導して、利益を得ようとするものも散見されます。

「終わってるオジサンたちの言うことなんて聞くな!自分の信じる道をいけ!」

といった標語でもって、「その裏にあるものって何なの?」っていうことまで、まだ見抜けない、判断できない若者たちが煽動されるのは本当に見ていられません。。

キャリアに対するアドバイスはその人ごとに異なる

私も後輩や業界で知り合った人に「独立」について相談をもらうことはすごく増えてきました。

「サラリーマン時代より圧倒的に稼げるようになったし、時間も自由だし、最高ですよ!早く独立したほうがいいですよ!」

って言うのは簡単です。なんだか気持ちがいい気もしますしね(爆

ただ、仮にそれを伝えるとしたら、が私に近くて、かつキャリアやスキル含め再現性が高いと想定でき、かつそれがその人にとって幸せであろう、と思う時のみです。

なので、基本的には

・あなたの場合は、こうした方がもっと強みが生きるんじゃないですか?
・あなたは私より全然優秀だから、私の真似なんてせずに、もっとこういう独立の仕方のほうがいいと思います。
・独立するにしても、今の会社でここまで経験しておいた方が、長い目でみたら、その後に生きるとおもいます。

といった風に、人それぞれ伝えることはバラバラです。

って、偉そうに語ったものの、こんなことって、キャリアのアドバイスにおいては、至極当たり前のことです。にもかかわらず、ただただ独立やフリーランスを煽る風潮の中では、そんな当然のことが、欠けていませんか?ってこと。

「対象が誰なのか?」を明示しないで極端な意見を言うことのタチの悪さ

そういった風潮の中で、特に気になるのが

「自分が思ったことをやればいい」
「自分の今の気持ちに正直に進もう」
「行動あるのみ、挑戦あるのみ」
「過去の時代をいきたオジサンの意見なんて無駄」
「アドバイスをしてくる人は、貴方が遠くにいくのが寂しいだけ」
「本当に想ってくれている人は応援してくれる」

といった、一見すると「正しく思える」ような意見。

はい、確かに、わかるよと。ある程度経験と実績を積んだビジネスマンだったり、若くても超絶優秀な人だったらこれでも全然問題ないでしょう。

でも、これがまだまだ、スキルもマインドも未熟な若い人達をも

誰の言うことも聞かなくていいんだ

という発想にさせてしまう、リスクがあるということ。

「誰に対して、書いている」
「誰にとっては有効な意見だとおもう」

ということを明示しないで、正論っぽい極端なことを言うのは本当にタチが悪いとおもっています。当然その裏には、過激なほうがバズるからという意図もあるでしょう。

何歳になっても人の意見は大事

私は20代にメガベンチャーの管理職をやらせてもらって、その後、スタートアップ企業の役員を4年、若いころから決断をする機会は多かったですし、独立した今は自分自身の判断がすべて最終決断になります。

が、「何か新しいことをやりたい」とか「重要な決断だ」と思うときは、今だって、いろんな人の意見を必ず聞きます。

なぜなら、自分より経験がある年長者や、別の経験をしている同世代や後輩は、自分にない視点や意見をくれるから。

もちろん、最後は自分の経験だけでなく、直感も信じて、自分の意志で決断はしますが、初めは「これは絶対やろう」と思ってたことを「やっぱりやめた」とすることも全然あります。

実際に直近、自分ではほぼほぼ「もうやりたい!」と決めていた「新しいこと」について、ちょっとだけ不安に思っている点がある、、といったことがありました。

そこで、信頼できる人達に相談して「それいいじゃん!」って言ってもらって、不安を払拭したい、いわゆる「背中を押してもらうための相談」をしたのですが、信頼できる人達が指摘してくれた不安ポイントが、自分の不安ポイントと見事に一致したため、やめることにしました。

こういうことに対して

「挑戦しないなんてもったいない!」

と一律に言い放ってしまうのが、脱社畜的な風潮に潜むリスクだと思っています。

キャリアの問題に関わらず、自分では「もうこれしかない!」って、強く思ってしまってる時ほど、敢えて色々な人の考えに触れることは、大事な気がしています

私自身が逆に周りの、経営者仲間などから相談を受けることも多々ありますが、自分自身で当たり前のように日々重要な決断をしている人ほど、人の意見に耳を傾け、柔軟に取り入れられる人だという風にも感じます。

自由な働き方が選択できるようになってきた今だからこそあえて言いたい

「最後に決断するのは自分」

もちろんその通りです。

行動することは重要であり、挑戦することはかっこいいです。

そして、どんなことにも例外があり、誰になんて言われようと、確率が低くたって成功することだってあります。

でも、自由な働き方が選択できるようになってきた今だからこそあえて、若い人たちに対しては、

年長者や経験者の意見には、真摯に耳を傾けて、大胆かつ慎重にキャリアの選択をして欲しい

と心から願うばかりです。

追伸

今回の話題に関連したnote

アドバイスを受ける時の心構えについて思うこと。

▼ キャリアアドバイスを「再現性」という視点で捉える。
https://note.com/uniquestory/n/n63a8089557a4

若い頃の副業についてはこんな風に考えています。

▼企業は管理職にこそ副業をさせるべきではないか?
https://note.mu/uniquestory/n/nf6073db7e5a6

若い頃の年収に対しての考え方は、こんな感じです。

▼20代は機会にこだわり、30代でお金に換える(ベンチャー20代の年収論)https://note.mu/uniquestory/n/n400b1e8517b1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?