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7.ホンモノの教育無償化を実現する—教える人も学ぶ人も豊かになれる「教育無償化」を

(書きかけの項目です。ご意見などありましたらunitekyoto2020@gmail.comまでお寄せください。)

♧教育は個人も社会も豊かにします

 教育は本人だけでなく、社会全体を豊かにします。日本でも社会が豊かになるとともに、進学率が上昇してきました。それは教育の成果が広く社会にいきわたってきたことを示しており、歓迎すべきです。
 教育費が社会によって負担されているのは、個人の権利を保障することに加えて、豊かで民主的な社会をつくるためです。

♧無償教育は義務教育、学費以外にも広がります

 憲法では「義務教育は、これを無償とする」(第26条②)としています。しかし、義務教育(小・中学校)以外の学校を「無償にしてはならない」と言っているのではありません。
 また、「無償」の範囲は授業料(学費)に限定されることもありません。給食や通学などの費用も教育費に含まれます。いま全国で広がっている小中学校の給食費無償化は積極的なものです。

♧重たい教育費負担は、深刻な問題を引き起こしています

 日本の高学費や不十分な奨学金制度は、若者やその家族を苦しめています。貧困な世帯に生まれた子どもたちの進学は困難なのが実態です。貧困が世代を越えて「再生産」されています。
 世界では大学等の高等教育までも含めて「無償教育の漸進的導入」が謳われ、日本政府もこれを認めています。教育を「自己責任」ではなく、社会全体で支えるように変えていく必要があります。

♧「教育無償化」について考えましょう

 多くの政党が「教育無償化」をアピールしています。しかし、その内容はさまざまです。安倍政権のもとでの「高等教育無償化」は対象を低所得層に限定しており、これまで学費の減免の対象になっていたのが外れてしまった学生が生まれました。消費税増税の口実にもされました。「無償化のために憲法改正が必要」と主張する政党さえもあります。
 私立高校の「完全無償化」を進めながら、公立高校の統廃合を強行している自治体があります。そこでの「無償化」は私立高校の教職員の労働条件を悪化させる可能性も指摘されています。「無償化」という言葉を鵜呑みにするのではなく、「ほんものの」無償化について考えていく必要があります。

♧政府の責任で教育条件の整備を

 日本の教育は、「重たい家計の負担」と「教職員の献身的な努力」によって支えられてきました。少子化と貧困化が深刻化する今こそ大転換が求められています。その柱は、政府の責任で教育予算を増やして教育条件を抜本的に改善することです。
 小中学校では、教職員数の増員・労働条件の改善と行き届いた少人数教育です。そして、高等学校や大学等では、学費負担の軽減、給付制奨学金の拡充です。このような方向にこそ、少子化を克服し、日本社会を再生していく展望が生まれてくるでしょう。
 キーワードは「無償教育の漸進的導入」です。

〔参考リンク――もっとよく知るために〕

  • 外務省「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」2012年9月
    日本政府は「無償教育の漸進的な導入」を世界に約束しています。外務省の「人権外交>国際人権規約」ホームページには、以下のように記されています。「この通告により、日本国は、平成24年9月11日から、これらの規定の適用に当たり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されることとなります。

  • 独立行政法人日本学生支援機構「奨学金に関する情報提供
    独立行政法人学生支援機構の奨学金事業の実績によれば2022年度における「給付奨学金」は、大学(244,705人)、短期大学(17,737人)、専修学校(専門課程)(74,947人)をあわせて337,389人です。これに対して、無利子の「第一種奨学金」は424,315人(うち大学は336,250人)、有利子の「第二種奨学金」は659,496人(うち大学は508,413人。海外を含む)となっています。このように「給付奨学金」の受給者は限られており、給付制の奨学金の拡充と貸与奨学金の無利子化(有利奨学金の廃止)が必要です。また、大学院には「給付奨学金」はありませんので、大学院生を対象にした制度の創設も必要です。なお、上記の「第一種奨学金」「第二種奨学金」の人数には大学院数を除いて記載しています。

  • 私立大学に入学するには初年度に約136万円の学費が必要だということです。ただし、学費は学部によって大きな違いがありますので、注意が必要です。
    国立大学の学費は授業料535,800円、入学料は282,000円です(2004年に法人化されて以降、維持されています。授業料は私立大学と違って、学部による違いはありません)。授業料については標準額であり、いくつかの大学ではこれを上回っています(東京藝術大学では上限の2割増しの642,960円になっています。東京工業大学は635,400円です)。国立大学に対する運営費交付金の削減によってこのような事態が生じています。


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