大学1回の前期が終わったころ、そこらじゅうで話題になっている人物がいた。その人物の名は「みやび」（仮名）。彼女は当時の私と同じ大学1回生だったのだが、入学半年とは思えないほどとんでもないエピソードを持っていた。

まずはそのアタマの悪さ(?)。私の通っていた大学では半期で最大24単位、年間最大48単位が取得でき、1回生から2回生にあがるには確か年間最低でも22単位が必要になるのだが、半期を終えて彼女の取得単位はなんとわずか2単位なのだという。しかも必修となる超基礎科目（出席さえしてれば落とす理由がわからない）も落としているのだとか。これが2回生の後期とかだったらわかるよ？でも入学したての1回生前期で授業に行かない、危機感がないというのは何とも恐ろしすぎる。貧乏人で留年だけは絶対にできないと思っていたこまち氏からすると怒りさえこみあげてくる状況なのだ。

しかしそこまでともなると授業に、いや大学にすら顔を出していないと考えるのが普通である。誰とも顔を合わせていなければ話題にもならない存在だと思うのだが、ではいったいなぜ彼女の噂はこんなに広がってしまったのだろうか。
それがもう一つの伝説「ツイ廃」である。いまとなってはもう死語かもしれないが、みやびはそう「ツイ廃」だったのだ。彼女のアカウントをみると下ネタ、ゲーム、アニメ、マンガなどツイ廃の要素をすべて含んでいる。
え、どんなのかって？実際に当時のツイートを引用してみましょう。

過激すぎましたので一部伏字でお届けしました。なにに怒ってるんでしょうか。さっぱりわかりませんけれども。
当時は毎日こんな調子だったので、当然単位のことも自分で発信しちゃってたんだね。そりゃ広まるわ。

彼女は私と同じ学部・専攻に所属しているとのことだったのだが、実はこの噂を耳にしたときには彼女に会ったことはおろか、存在すら把握していなかった。しかもまわりでみやびに会ったという友人はひとりもおらず、こいつは虚偽のプロフィールを語ったネカマなんじゃないかと睨んでいた。
だって女子がこんなことする意味がないもん。ネット上で下ネタ言ってるやつはだいたい売名かネカマなの！だから彼女のことは話半分で聴いて、一種のフィクションだと思い込んでいたのだ。ご苦労ですねオジサン。

そんな噂も廃れてきた夏休み明け最初の授業。前期の超基礎科目の続きの授業みたいなやつがあった。この授業は前期とはまた違うクラス分けで実施される授業で、ランダムで他専攻の学生と混ざったクラス編成にされるため、顔合わせの時に知った顔は一つもなかった。これから人間関係つくるのだるーいと思っていたら自己紹介の際に誤ってそれを口にしてしまった。私が新しく人間関係をつくる道は閉ざされたのだ。
しかし周りを見てみろ。なんかどいつもこいつもつまんなそうなヤツばっかじゃねえか。人生楽しいかおまいら？声ちっちゃいチー牛陰キャ、ブス、陽キャになり損ねたヤンキーもどきみたいなやつとキャバ嬢崩れみたいなやつ。これどうすんの。あと半年こんなつまらない授業毎週あるの？はあ…。

口を滑らせたことを棚に上げて絶望しつつほかのやつの自己紹介を聞き流していると、キャバ嬢崩れみたいなヤツが言ったんだ。
「みやびでｓ…」
！？！？！？！？！？
ちっせえ声だったが私は聞き逃さなかった。

つつく