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みやび(仮名)2

あらすじ
大学1回の夏に前期取得単位数2、Twitterで下ネタを連発しているやばい女「みやび(仮名)」が同じ専攻にいると話題になっていたが、架空の人物として扱っていたこまち氏。後期のある授業での自己紹介の際、キャバ嬢崩れみたいな女が「みやび」と名乗りだして…。


み、みやびってあのみやびなのか…??
周囲がざわつき始めた。それもそうだろう。と思ったらざわついていたのは私だけだった。こいつが…まさか…。

頭を抱えているとペアに別れグループワークをすることになった。こともあろうか、渦中の女と同じペアになってしまった。
もう何を言われても話が入ってこない。彼女の質問もすべて「んああ?」と適当な返事を返していた。
授業も終わり、グループワークはまた次週へ。もし違ったらどうしようと思ったが、このまま一週間もやもやした日々を過ごすのはもっと嫌だ。思い切って尋ねてみた。
「もしかして君はTwitterの…」
そう言い終わる前に彼女はかぶせるようにして答えた。
「ちょ、その話どこまで広がってるのww」
うわさは…噂は本当だったんずら!!

そして翌週。普段は人と交流を持ちたくないがために、グループワークですら積極的に参加しないことで有名なこまち氏だが、相手が2単位ともなれば話は別だ。
プレゼンテーションの方向性を決めることはおろか、基本的な調べものとかパワポ制作をお願いしてもほとんどできやしない。普段なら「無能が!小学校からやり直してこい!ボケ!」と言いたくなってしまうが、なんせ相手は2単位。バカはもうわかっていることだ。それよか「全然何もできなくてごめんなさい…」とネガ発言ばかりしているものだから逆に彼女がかわいく思えてきてしまった。

プレゼンテーション準備は授業内では終わらず。持ち帰ってやることになった。
彼女もなにかやろうと声をかけてくれたのだが、まあ信用できないっすよね。発表の当日はとにかく授業にだけは来いと言ってあとはひとりでやることにした。

そしてまた翌週。愛しい彼女のために徹夜をし、パワポはこれでもか!という完成度に仕上げた。さらに彼女が発表に参加できるよう原稿まで作った。たかだか5分ですよ??大学生の。それに原稿までつくるばかばかしさ。しかしそうでもしないと彼女はできない。だって2単位なんだもん。

その成果もあり、我々は無事に発表を終えることができた。しかも最上のA判定を得た。みやびにとってはそれが大学生活で初めてのA判定だったようで相当な喜びようだった。かわいいやつめ。
「こまちちゃんありがとお」と何度も言われた。なんかもうここまでくると妹みたいですよね。すっげえニヤニヤしてたよ私も。
ほれみろできただろ。日本の大学なんて授業さえ出てれば単位を落とすことはまずないんだ。褒めてのばす方針のこまち氏はそう彼女に言い聞かせてこう続けた
「毎回授業だけ出てればこの授業はオレが単位とらしたるわ」
抱きつかれた。

づつく


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