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【災害大国日本の知恵】自動販売機が被災者を救援「コカ・コーラ災害支援型自動販売機」

10月も半ばに差し掛かった10/13に関東地方を襲った台風19号、上陸前から非常に勢力が大きい台風として避難勧告が出され鉄道も早々に運航停止を決断。にも拘わらず雨台風は各所に水害を引き起こし大きな爪痕を残していきました。交通網の寸断もあり台風が過ぎても店が再開できなかったり商品の仕入れが難しかったりしてなかなか日常生活も回復しません(現在進行形のところもあります)。

そうしたなか、無人販売の先駆者である自販機は意外な活躍を見せたようです。前日からの買い込みに間に合わなかった人たちがせめて飲料だけでも確保したいと風雨が強まる中自販機で飲料を購入したと言う話がいろいろなところで囁かれているのを見ると、自然災害に対する無人での販売がそれなりの効果を持つことが分かるような気がします。

そこで、今回は「無人販売と自然災害」として、自販機が自然災害時にどのように役に立っているのかご紹介します。

■自販機の利点をフル活用した「震災支援型自動販売機」

実はかなり昔から自販機は災害時を想定していました。日本コカ・コーラさんが提供する「災震災支援型自動販売機』がそれです。

2003年三国コカ・コーラボトリング(現コカ・コーラボトラーズジャパン)が初めて設置、全国で6,000台(2011年12月末時点)展開されている、災害時の稼働を行うことを前提としたネットワーク接続型自販機です。

普段は自販機でニュースなどを表示する電光掲示板が自販機上部に設置されているのですが、災害時には批難情報に関する情報を流したり、遠隔からフリーベンド(お金がなくても飲料が購入できる)を起動して飲料を供給するなどできる優れものです。

■遠隔操作できるメリット

遠隔からの操作にはネットワークが必要であり、どうしても高コスト化してしまうため他のメーカーさんでは見られないシステムですが、この「遠隔から操作できる」ことは災害時に強力な威力を発揮します。

まず最初に、「現地に行かなくても操作ができる」点です。

他のメーカーさんを含めて災害対策機と言うのは存在しており、非常時は自治体やビル管理者に預けてある鍵を使ってフリーベンドにできる機材は多いのですが、この「鍵」を持っている人が出勤できなかったりそもそも鍵があるところと自販機があるところが遠かったりして事実上役に立たないものも少なくなかったりします。かと言って自販機にセーフボックスを付けて鍵を入れておくタイプだと中高生のいたずらで破壊されてしまったりして必要な時に使えなかったりと「災害対策機なのに災害時に役に立たない」ものも少なくありません。

ところがこの機材はネットワークでフリーベンドを指示できるので、鍵もいらず現地に行く必要もありません。被災状況が確認できれば遠隔の安全な場所からフリーベンド化、そのまま飲料提供が可能となるため二次被災もなくスムーズに救援が行えます。これは被災者から見れば非常にありがたい機能ではないでしょうか。

そして次に、「その場所に適した情報を流すことができる」点です。

自販機である以上設置場所は固定なので、どういった場所のどこに設置されているかは管理されている(はず…(^^;)です。なので、例えば自販機の電光掲示板にその場所から最も近い避難場所の情報を流したり交通状況や危険個所などの情報を流したりすることができます。テレビやラジオではピンポイントでその場所の情報を流すことはできませんが、自販機であればその情報を目にする人はその場所にいる人なので、的確で確実な情報を流せることは自治体から見ると大変なメリットではないでしょうか?

■普段からさりげなく活躍してたりします

名前こそ災害対策ですが、実は普段から活躍してたりします。電光掲示板はニュースが普段から流れており、場所によってはその地域の情報も流していたりするようですね。また、防犯情報や注意喚起が流れたりしているところもあるとのことで、自販機ならぬ活躍を見せていると思います。

また、こうした機能を上手く使ってその施設を使う人すべてにメリットがある使い方をされているケースもありますが、その最たるものが銚子電鉄さんでの利用方法ではないでしょうか。

このように運行情報を電光掲示板に表示させることで、無人駅でも適切な情報を利用者にお知らせすることが可能となります。こうした使い方はバス停でも活用できるため、地方の交通網では意外と役に立つのではないかと思います。

■見かけたらぜひ何か1つ購入を!

人々の暮らしを陰から応援するこの震災支援型自動販売機ですが、想像するに設置コストは一般的な自販機と比較するとかなり高価だと思われます。情報を表示する電光掲示板や日々発生するネットワークコストなど、普通に考えれば利益のほとんどあるいは赤字にしてしまうほどのコストを支払ってでもそこに設置されているはずで、普通の事業運営から考えれば「設置するだけ無駄」な自販機でしょう。だからこそ他社は追従してこないし、コカ・コーラさんだってあまりにその負担が重くなればそのうち撤去…と言うこともありうると思います。

なので、この自販機を見つけたらぜひ購入してみてください。その100円ちょっとの金額がいつか誰かの手助けになると思えば、それほど高くはない対価ではないでしょうか…もしかして、そのうち自宅の近くに設置されることもあるかもしれませんし、ね。

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