映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

2016/10/15 ☆3.5
(ネタバレ有ります)

先輩の人生の1本。だそう。

全体的に既視感はあったので、記憶もなくなりかけてる頃に1度見ていたようです。
初めのソ連崩壊はめっちゃ笑った。こういうの好きだな。
初めの万博にいて、"当時は〜"ってセリフが入るとこからだんだん違和感が感じられるのがまた良い。

クレヨンしんちゃんはお約束がたくさんあるのが良い。その流れで間が空いたらこうだよな。ほらやっぱりー!って嬉しくなる。ことが多い。でも大筋は読めない、というより考えさせられないから、はらはらドキドキして、しんのすけたちを応援できる。次の展開がわかって嬉しい作品は数えるほどしかない。ていうか基本的にはそんな映画つまらないと思ってる。

子供が出てくる話は、子供ならではの視点や"わからない"がお話に入っていると面白い。考えさせられるからだろうか。分かりやすいところは最後の「ずるいぞ!」。
例えば自分は、それは死ぬのが?逃げるのが?とかいろいろ考えてしまったけど、しんのすけは彼らが死のうとしていたことすら分かってなくて、お前らだけ楽しいことするなんて!、と純粋にずるいと言っている。それがわかった瞬間、あ、今自分はオトナなんだ、と思った。

多分ケンも私と同じようなことを考えたのではないかと思う。
鳩が出て来なければ、ずるいぞの意味を考えながら死んでいっていた。
ずるいと言われ、助かって、隣でチャコは死にたくないと泣いている。そんなことを考えた後に、2人だけずるい!と言われたら、なんだか馬鹿らしくなるね。やろうとしていたこと全部。やってきたこと全部。
そんなしんのすけに、ケンは21世紀の匂いを感じたのかもしれない。
だから、「もうやめるんだ」。タマヒュンしたからね。

しんのすけ的には、最終的に自分はボタンを押すのを止められなかったと思ったんじゃないかな。だから「オラたち、勝ったみたい」。しんのすけたちが頑張る姿を町の住人が見て、それで匂いがなくなってボタンを押すことができなかったのだから、しんのすけが止めたってことになると思うけどね。
でもその姿を町に流していたのはあのカメラたちで、あのカメラは誰が設置したの?って話になるけど、やっぱり自分にはケンしか考えられないな。あの映像を流す意図で設置してたとしても、止めて欲しいという気持ちがどっかにあったのかもしれない。ケンはあれを見た住人が21世紀を生きたくなってしまうかもしれないと、考えないほど馬鹿じゃないと思う。
そう思うと、もしボタンを押せていたとしても彼は死ぬ気だったんだろうと。ひとりでも。
ケンは、過去が懐かしくて仕方がない寂しがり屋の少年なんじゃないかな。

懐かしいという感情は、なんであんなにも良い気持ちになるんだろうなあ、と考えたけど、
多分、記憶を懐古するとき、人は良い思い出を思い出すのが多いからで、さらには悪い思い出も、今となっては、とポジティブ変換されるからだろうか、と思う。
悪い思い出だって、今自分はそれなりに楽しくやってるし、それがなかったら今自分は自分じゃなかったから、かもしれない。
それともただ単純に、今が辛いから、あの何も考えずただ毎日が楽しかった頃に戻った気分になるのかな。(今思うと何も考えてなかったと思うけど、何歳だろうと当時は当時でいろいろ考えていたとは思う)
考えていることに支配されるのは、その時その時だけで、時間が経てば忘れちゃうんだな。
だから思い出すのは強烈に刻まれていることだけ、大雑把な感情だけで。いつだって"今"はきっとなにかしら複雑に考えてるから、シンプルに落ち着きたいのだと思った。
あの頃には戻れないのにね。オトナって変なの。

ひろしが「未来を生きる」って言ったけど、そのセリフの意味だけ測りかねている。
未来は分からないし、明日は見えない。
今を生きることしかできない気がする。
過去に囚われようが、未来を夢見ようが、生きているのは今なんだと思うけど…
ひろしが言ってるのは、未来へ向かって生きていく。ってことかな…
みんな歩いている場所は同じだけど、お前らとは違って前見て歩くぞ!ってこと?
分からなくなってきたのでこの辺にしておく。

高校生くらいの頃から所謂アニヲタをやっていたのだが、その頃なんとなく知っていたしんのすけが鉄塔を駆け上がるシーンは、この作品か!なんでこのシーンだけ知ってて、調べようとも見ようともしなかったのだろう。
あの駆け上がるシーンの作画は、だんだん劇画調、とは少し違う気もするが、筆のタッチを強調してくる。アニメ表現の好きでもあり、嫌いでもあるところは、作画の感じでキャラクターの心情が表せるところだ。逆に作画で台無しになってしまうとも言える。

直接作品と関係ないかもしれないが、今回はレンタルで見たんだけどトップメニュー画面で5〜10分くらい放っておいたら、しんのすけが「も〜オラ疲れたぞ。オラが決めちゃうからな」って勝手にもう1度本編再生し始めたのに感動した笑

これが15年前の作品だということにとてもびっくりした。ということは公開当時、しんのすけと自分は同い年だった。ぜひ当時の自分にこれを見た感想を聞きたいものだなあ。
多分、面白かったー!としか言ってくれないと思うのだけど笑

長々と書いたけど、面白かったよって話。

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