快速相対線

朝仕事に行くときの電車に乗る時間は
大抵長く感じる
悠久とも錯覚するその時間の中で
いろいろなことを考え、
たまに人生を憂いたりする
あーもうエブリデイ有給休暇だったらいいのに
特に土日ともなればこれから遊びに
遠出するであろう私服の子供たち
さぞかし至福のひと時なんだろうなあ

夜仕事帰りの電車は項垂れている人が目立つ
仕事終わりの一杯で上機嫌な喧騒の最中で
今にも燃え尽きそうに肩を下ろす
景気のいいジャパニーズドリームなんて
幻想だ、技能実習生は現実を知る
それぞれがそれぞれに思いを抱く
1日のエンドロール

ライブイベントに出かける道中の電車は
全神経が研ぎ澄まされる
ある日は準備、ある日は詮索、
神経の伝達が加速する
いらつくことばかりの日常から解放された
シナプスは自由奔放に駆け回り、
異種混合の享楽に溺れる

ライブ帰りの友との電車は多幸感に包まれる
刹那の悦に浸かりつつも、
過ぎゆく時に淡く縋る
不覚にもこの時間が続けばいいなどと
思ってしまったら、その瞬間にも
その時は崩れ始める
弾けるポップコーンのように
不可逆性の反応で起こるそれは
なおも時間に哀愁を添える

これは僕の日々の一例で
世の中には相対的に時が流れる
アルベルトアインシュタインの発見した概念も案外身近なものに思えてくる
こうして考えに耽るこの時も
小田急線は走り続ける
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、
思い思いの気持ちを乗せて

#詩形詩吹
#自作詩
#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?