夢見りあむは神様になる女の子です

今、アイドルマスターシンデレラガールズに一大炎上…じゃなくて、一大旋風を巻き起こしている少女、夢見りあむ
年に一回のあまりにも熾烈な戦い、シンデレラガールズ総選挙の開始直前にデレステに実装された彼女は、その強烈なビジュアルとキャラクターでジャンルの枠を超えて色んな意味で大注目されている。

彼女について簡単に説明すると、専門学校を挫折しにっちもさっちもいかなくなり、アイドル活動でワンチャン狙うけど努力したくはないザコメンタル(公式)、髪がピンクと水色の19歳である。売れるためには炎上も厭わないが、炎上の怖さは誰よりも知っている。一人称は「ぼく」。
『夢見りあむが許せない』 https://anond.hatelabo.jp/20190417172059
こんな感じの強火な文章も投稿され、ますます総選挙が楽しくなってきたなーという所で、私も彼女の応援演説をしたくなったのでツイッターに上げていたものを加筆修正して、noteに投稿してみた次第である。

私はアイドルマスターというジャンルに加えて美少女アイドルジャンルをもう一つ履修している。
それが「プリパラ」。いきなり別ジャンルの話を始めるが、私はこの作品からアイドルはかくあるべきという一つの指標を得た。

アイドルは神様であり、世界を救わなければならない。

自身の命を削った輝きが、誰かに届いて世界が救われたときにアイドルはその役目を果たす。プリパラではトップアイドルは「神アイドル」と呼ばれるのだ。
天海春香が不器用な足取りで、すっ転びながらも仲間と共に輝きの向こう側を目指したように、島村卯月が心折れかけながらも自らの努力を信じてたった一つの星を掴んだように、天道輝が大人になればなるほど難しくなっていく「まっすぐ生きる」を貫き、過去を乗り越え未来へ走り出したように、そして私たちがその輝きに目を奪われ、涙を流したように。
アイドルは世界を救い、そしてりあむもスカウト前は地下アイドルに入れ込んでおり、アイドルに救われた一人だ。

話はまた少し逸れるけれど、アイドルは変わらないことで物語となる人物(安部菜々とか)と、変わってゆくことで物語となる人物(森久保乃々とか)がいる。
そして、りあむは前者だと私は思う。彼女は彼女なりにお城への道を歩むけれど、彼女の根元は「こんにちはクズだよ」のままでいてほしい。
それはクズの夢見りあむがクズのまま輝くことで、救われる世界があるからだ。実際彼女が今後どんなシンデレラストーリーを進んでいくのかは誰も知らないけれど、私個人としては「クズな自分からの脱却」ではなく、「クズのまま、それでも輝く」をやってほしいと願っている。

デレマスのキャラクターは世相を反映している子が多い。
夢見りあむもまた、最近よく聞くワードである「生きづらさ」と優秀な家族への劣等感を抱えて、やむやむ言いながらもギリギリ生きている。そのやむやむギリギリのままで、
「しんどかったら逃げていい」「弱い自分のままでいい」
りあむには、ステージの上からそんなメッセージを歌にして届けてほしい。
「変わらなくていいよ、弱くてもクズでもキラキラ輝く星になれるよ、だって見ればわかるでしょ、ぼくがそうだから」
これは決して良い希望の与え方じゃない。良い世界の救い方じゃない。
生きていれば逃げてはいけない場面があるし、クズがはびこっても全員健やかに生きていけるほどこの世界は優しくない。でも、夢見りあむはクズのまま、クズの歌を歌い続ける。
みんなみんなが彼女のピンクの劇薬を飲まされて、彼女の作り出す優しい世界に救われていく。クズの神様、救済のモルヒネ、りあむにはそんなアイドルを目指してほしいのだ。
奇しくもりあむは特訓後の衣装でナースのモチーフを与えられた。彼女のセリフに「着れなかった白衣が衣装に…」というものがあるので、彼女はもともと看護師を目指していたのかもしれない。
今は自分の事で精一杯なりあむが、いつか声と曲を掴みとって、ファンを「治療」する日が来てほしい。

どうですかみなさん、りあむが歌う世界、見てみたくありませんか?
多額の課金はできないけれど、私も頑張ってりあむを応援する。
いつか誰かがツイッターで言っていた「俺たちは夢見りあむだが、夢見りあむは俺たちではない」という言葉。
りあむの弱さ、ゆがんだ自己肯定感、先行きの不透明さ、不安定さ。すべて私たちにも覚えのあるもので、しかしりあむは私たちにはない、誰にも負けないひとつの星を抱いて生まれてきた。
夢見りあむになれなかった私たちは、それでも「夢を見てみたい」と願った彼女に救済を求めて、ガラスの靴を送り続けるのだ。

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