トイレのビッグデータから見えること

前回は、富士通九州システムズが開発した「トイレ混雑緩和・看守りサービス Internet of toilet」によるオフィスのトイレの混雑緩和について書きました。

このサービスにより、トイレの混雑が緩和され職場環境が改善されたことが成果ではありますが、それだけでなく、大切なことがあるのです。

それは、日々のトイレ利用に関するデータが蓄積されていくことで、トイレのビッグデータが出来上がっているのです。

これまでは、トイレの利用時間や利用回数を把握するためには、従業員一人ひとりに調査用紙を配布し、記入してもらっていたのです。実際、設備に関する学会でもそのような方法をとっていました。

ですが、富士通九州システムズが開発したシステムを運用することで、自動的に、かつ膨大なデータを把握することが出来てしまうのです。もちろん、個人を特定するようなデータではありませんよ。

下表は、富士通九州システムズ・新社屋のトイレの数と在席人数です。

計992人の従業員が毎日、それも何回もトイレに行きますので、かなりのデータになります。

2016年5月9日~9月30日におけるトイレの個室の総利用者数と総利用時間を調べてみると以下のようになります。

男性:利用者数107,880人 利用時間7,565時間33分
女性:利用者数73,767人 利用時間3,638時間46分

つまり、1回あたりのトイレの個室の利用時間は、以下の通りとなります。

男性が個室を利用する場合は、おおかた大便利用になりますが、女性の場合は大小便のいずれの場合も利用するため、結果として男性の方が長くなるという結果になりました。

延べ約18万回のデータを短期間で集めるなんて、これまでは不可能でした。それが、いとも簡単にできてしまうのです。これは、すごいことだと思います。


どの時間帯にどれだけ使われているか、ひと目でわかる

利用時間だけでなく、どの時間帯に最も多く利用されるか、トイレの個室はどの順番で利用されているかも分かります。

まずは、混雑する時間帯について。

下図は、時間ごとの「空いている個室の平均値」です。

最も混雑するのは、午前10時頃と午後14時頃になります(始業は9時)。

とはいえ、ピーク時ですら平均10個室くらいは空いていることになります。

ということは、トイレの数って足りているんじゃないの?という気がしてきます。

ですが、男性に関しては調査期間で全個室満席を記録した回数は144日間で計248回、全個室満席の時間がもっとも長く続いたのは96秒でした。

平均値と利用実態をどのように捉えるかは今後の課題ですが、トイレの個室が空いていないという状況に遭遇する可能性は結構あるということです。

排泄は生きていくための生理的欲求ですし、同じ時間に出勤や昼食をすれば、トイレに行きたくなる時間も似てきます。

そのため、混雑が予想される時間帯のみトイレを増やせれば理想的です。

でも、それは簡単ではありません。

今できることとしては、私たちの行動を無理のない範囲で変えること、つまり、事前に情報を把握することで、満室になっているトイレに行かず、近い場所にある空室のあるトイレに行くことです。

そうすれば、空いていないトイレの前でイライラしたり、あせってトイレを探し回るなんてことも無くせると思います。


個室はどの順番で埋まっていくのか?

次に、トイレの個室がどのような順番で利用されているか、というデータです。

それぞれのトイレの個室にセンサーがついているため、各個室の利用時間を見ることで、どの個室が埋まりやすいか、つまり人気があるかもわかります。

結果は、下図に示す通り(個室の番号は埋まっていく順番)、1番奥の個室がもっとも人気があることが分かりました。そこが空いてなければ1番手前、その次は奥から2番目、という順番で埋まっています。

両端の個室の利用頻度が高そうだということは経験則としては分かっていましたが、実際の利用データでハッキリ示されるとすっきりしますね。

利用頻度が高い個室がわかれば、それにもとづいてトイレ掃除を工夫したり、よく使われる個室にはより汚れにくい床材や便器等を選ぶ、なんてことも効果的かもしれません。

前回と今回で、トイレの効率利用について書きましたが、最後に1つだけ、大切なことを付け加えたいと思います。

「トイレ混雑緩和・看守りサービス」には、名前のとおり「看守り」という機能もあります。

各トイレが管理サーバーとつながったことで、ヘルプコールの受付も可能になったのです。

富士通九州システムズの「Internet of toilet」では、自動ヘルプコールと手動ヘルプコールの2つのパターンがあります。

自動ヘルプコールとは、トイレ利用時間が30分を超過した際に、システムが自動的にアラートを出す仕組みです。

一方、手動ヘルプコールは、利用者がトイレ内に設置してある緊急ボタンを押すことで管理者の元へアラートが行く仕組みです。

富士通九州システムズでも、実際に女性がトイレ内で気分が悪くなったケースがこれまでに2件ありましたが、ヘルプコールのおかげで早期発見することができたため、事なきを得たそうです。

こういうことって、なかなか表に出てこない事例ですが、とても大切なことだと思います。

これからの高齢社会では、働く方の年齢も高くなっていきます。

人の目が届かないトイレで倒れてしまうと、致命的です。それをこのような技術がサポートしてくれるのはありがたいことだと思います。

ただ、あらゆることをデータで把握していくと、管理的な意味も出てきます。

そうではなく、データをみんなで共有することでよりよいトイレ環境づくりに活かしていきたいですね。


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