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超便利! 羽田空港の最新トイレ混雑対策

前回は、羽田空港国際線旅客ターミナルのトイレ掃除について書きました。

汚れ発見から対応までに要する時間は“平均9分”という話でしたね。

今回は混雑対策について解説していきます。

羽田空港国際線旅客ターミナルは、2010年に供用開始されたのですが、その当時は年間600~700万人の旅客数を想定していました。

その後、都心に近いという地の利もありビジネス利用を中心に利用客は伸び続け2017年度には1700万人と、当初の倍以上の数にまで達しました。

利用者が増えるのは空港としてはよいことだと思いますが、トイレ的にはプレッシャーがかかります。なぜかというと、利用者が増えるほどトイレは混雑し、混雑するほど利用者のイライラが募ります。イライラしているとトイレを汚しやすくなりますし、混雑していると掃除もしづらいので、さらに汚れていきます。

トイレサービスを向上させるにも、待たせず気持ちよく使ってもらうにも、混雑の緩和が必要になります。

増え続ける利用者に対して、空港はどのように対応しているのでしょうか?

羽田空港国際線旅客ターミナルを管理している東京国際空港ターミナル株式会社と、トイレ清掃の実務を担っている日本空港テクノ株式会社の方々に話を伺ってきました。


すべてのトイレが混雑しているわけではない

まず、トイレがどのように配置されているかを説明します。

国際線旅客ターミナル内では、どこからでもほぼ90秒以内にアクセスできるようにトイレが配置されているとのことです。人の歩く速度を60m/分(青信号の時間設定の基準)として計算すると、およそ90mごとにトイレが配置されていることになります。

ちなみに「生活者の視点に立ったトイレ整備の指針(東京都)」では、半径400~500mを目安とした圏内にトイレ整備を進めることが望ましいとなっています。街なかの整備目安なので、そのまま比較するわけにはいきませんが、羽田空港旅客ターミナルはトイレがかなり充実していることが分かります。

また、それぞれのトイレの便器の数も、大型機が発着するスポットの近くは多くするなど、できるだけ混雑が生じないように配慮されています。

それでも動線が集中する場所、特に空港の出国審査を終えた場所、荷物を受け取るターンテーブルのある場所、荷物を受け取った後にロビーに出た場所の3個所は、トイレが混雑してしまうこともあります。

集中する利用者に気持ちよくトイレを使ってもらうために、国際線旅客ターミナルでは2018年4月から、混雑する一部のトイレに、近くのトイレも含めた空室・満室状況がわかるサインを設置しました。

もともと、空港は左右に長い構造をしていて、端に行けば行くほどトイレは空いています。

出典:ターミナル概要| 東京国際空港ターミナル株式会社

つまり、中央付近が満室になっていたとしても、ちょっとだけ我慢して先に進めば、空室があることがほとんどなのです。


どこのトイレに行けば良いかがひと目でわかる!

この構造を利用して開発された装置が「トイレの満空&誘導サイン」です。

通路を歩きながらサインを見れば、そのトイレが空いているのか満室なのかが一目瞭然です。

さらに、満室の場合でも次のトイレにスムーズに移動できるように、近くのトイレの位置と距離が示されています。これを見れば、利用者は自然に空いているトイレに移動できるのです。

おまけですが、満空の表示は、懐かしい反転フラップ式案内表示のデザインを取り入れていて、パタパタと回転しながら表示が変わります。

このように、羽田空港国際線旅客ターミナルは、スムーズなトイレ利用を実現し、利用者の時間の有効活用を目指しています。

今後は、多機能トイレにも満空表示を備えることや、タッチパネル方式で利用者がトイレの評価をできる仕組みも検討しているとのこと。

焦らずゆったりとトイレを使ってもらい、かつ混雑させないことで清掃時間を確保することは、清潔さにもつながっているのです。

羽田空港国際線旅客ターミナルに行ったら、ぜひ、世界一清潔な空港のトイレをチェックしてみてください。


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