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うんちはすごい 「はじめまして」

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、これまでnoteで連載してきた内容が、11月10日(いいトイレの日)に「うんちはすごい」として書籍化されました!!!

あっ、日本ではトイレ活動に取り組む先輩方々が1986年に11月10日をゴロで「いいトイレの日」と宣言したのです。知っていましたか?
こんな記念すべき日に本を出せるなんて、とてもうれしいです!!
ちなみに、2013年7月、国連は世界トイレの日を定めました。それは11月19日です。
そうです、今日は世界トイレの日です!

以下に「うんちはすごい」の冒頭に書いてある内容を公開しますので、よろしければぜひ読んで頂けるとありがたいです。うんちへの熱い思いを綴ってあります!

はじめまして

加藤篤と申します。

私はNPO法人日本トイレ研究所に所属しており、日々、トイレ・排泄をとおして社会がより良い方向へ変わっていくことを目指して活動しています。
いきなりそんなことを言われても???……ですよね(笑)。

もう少し具体的に説明します。

例えば、「子どもたちが元気よく学校生活を送れるようにトイレ環境を改善する」「災害時に被災者の健康を守るためにトイレ・衛生環境を改善する」「誰もが安心して外出できるように街なかのトイレ環境を改善する」など、社会が抱える課題に対して『トイレ・排泄』という切り口で分野や業界を越えて連携しながら取り組んでいます。

『トイレ・排泄』を切り口にすることの良さは、全員が関係者ということです。

しかも『トイレ・排泄』は毎日のことなので、すべての人がある意味専門家です。年代や性別、文化、国籍を越えて様々な人が同じテーブルについたとしても、みんな何かしら発言できるのです。これって、とても素敵なことじゃありませんか。

大学教授と小学生が同じテーマで話し合えるんです!

このような活動を進める中で、私はずっと気になっていることがありました。

それは、子どもたちにうんちのマイナスイメージが脈々と受け継がれてしまっていることです。このマイナスイメージのせいで、うんちをすることを恥ずかしいことだと思ったり、うんちを我慢してしまったりということが起きています。

これはとても不幸なことです。

ここで1つエピソードを紹介します。
東北のある小学校でうんちの大切さを伝える授業をしたときのことです。
いつものように、うんちの大切さ、うんちのできる仕組み、いいうんちに必要な食べものなどを、満面の笑みでムチャクチャ楽しそうに話しまくりました。
期待どおり子どもたちは喜んでくれましたし、うんちのマイナスイメージをいくらか払しょくできたという手応えも感じました。
授業を終えて、さあ帰ろうと思ったそのときです。
2人の児童が駆け寄ってきて、私の体に寄り添うようにそっとしがみつきました。
しかも、何も言わずそのままです。
子どもたちは次の授業もあります。ずっとこうしているわけにはいきません。
担任の先生が無理やり私から彼らを離しました。
不思議に思った私は、彼らのことを先生に聞いてみると、実はあの2人、以前にうんちを漏らしてしまい、パニックになったことがあったようなのです。
そのことを彼ら自身もうまく受け入れることができず、ふさぎ込んでいたそうです。
東京に帰り、しばらくたったある日のこと、担任の先生から連絡をいただきました。
なんと、彼らはうんちを漏らしたことを受け入れることができ、明るく学校生活を送れるようになったそうです。

これって、大人がうんちを肯定し、うんちを魅力的に語り、うんちのすごさを伝えることで、子どもの意識が変わる可能性があるということですよね!

こうなったらやるしかありません。
「うんちはすごいぞ!」「うんちをするのはいいことだ!」という文化をつくればいいのです。
えっ? と思ったかもしれませんが、いたって大マジメです。

私たちのほとんどは、うんちやおしっこ、そしてトイレのことを学ばずに大人になるって知っていましたか?
1日に何度もトイレにお世話になるにもかかわらず、私たちはうんちから何も学んでいません。
うんちは身体の状態を教えてくれる、最もわかりやすいサインなのに、そこから何も読み取らないままスルーしてしまっています。
しかも、トイレって密室ですよね。だから、他人がどのように用を足しているかなんて見る機会もなければ、そのことについて話す機会もなかなかありません。だから、なんとなく、こういうことだろうという思い込みでやっていると思います。
もしかしたら、自分だけ、特殊なやり方をしているかもしれませんよ(笑)。

こんなに大切なことなのにちゃんと学んでいない。
そうであれば、『うんち』の大切さを正しく伝えたい。
できれば魅力的に伝えたい。
うんちを知ることはよりよく生きるうえで最低条件だ!
うんちのことを知れば知るほど、人生が豊かになる!
うんちのことを知らないなんて、人生の半分くらい損している!

こんな意気込みで、うんちに関わるすごい情報をお届けしたいと思います。
うんちそのもの、そしてうんちまわりの様々なことを調べ、「これってすごいんだよ!」と伝えたい。

そうです、驚きです!
うんちのすごさを、学校の朝礼で校長先生から全校児童に伝えてもらいたいし、会社の朝礼で社長にも話してもらいたい、市町村長の所信表明でも触れてもらいたい。
あちこちで伝えてもらい、トイレ・排泄文化をアップデートしたいのです。

今、国際的にはアジアを中心にトイレが注目されています。
なぜかというと、トイレという衛生的な環境が整ってこそ、生産力、観光力、健康力が付くと考えられているからです。また、公共トイレに関しては、街角の小さな存在でありながら、国際イメージに関わる影響力を有します。つまり、大切な文化の1つなのです。
そんな中、日本の清潔なトイレ文化に関心が寄せられています。
モノをつくることはできても、それを維持して改善し続けることは容易ではありません。そのヒントが日本にあると考えられています。
これはとてもありがたいことです。

そうであれば、トイレ・排泄は大切だという世界観と清潔さを維持する仕組みをセットにして輸出したいところです。そのためにも、うんちのすごさ、トイレのすごさに目を向け、必要に応じて文化をアップデートすることが必要なのです。

本書では、うんちの実態、テクノロジー、社会、医療、災害まで、幅広い分野を対象にしています。ですが、どれもトイレやうんちの話ですのでとても身近なことに感じていただけると思います。
本書をとおして、ひとりでも多くの人がうんちやトイレに興味を持ち、さらにうんちのすごさについて気軽に話題にしてくれたら、とてもうれしく思います。
それでは、うんちの話にお付き合いください。

書籍「うんちはすごい」より


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