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携帯トイレがあなたの安心を守ってくれる

前回、大きな地震が起こった際に、トイレ問題は命と尊厳に関わるというお話をしました。

今回から何回かにわたって、どのようにトイレを備えておくとよいかを説明していきます。

国や都道府県、市町村がやるべきことはいろいろあるのですが、自分のため、家族のために一人ひとりができることもあります。ということで、まずは、個人でもできるトイレの備えについて説明します。



「携帯トイレ」を知っていますか?

携帯電話ではなく、携帯ラジオでもなく、携帯トイレです。

携帯トイレというのは、その名の通り持ち運べるトイレです(参考:災害用トイレガイド〜災害用トイレ・衛生製品の選び方〜)。

もしかしたら、カーショップやホームセンターで見たことがある方もいるかもしれませんね。

簡単に言うと、うんちとおしっこを入れる袋で、水が流れなくなった便器にとりつけて、その中に排泄します。

袋の中には吸収シートが入っているタイプと使用前や後に凝固剤を入れるタイプがあります。うんちは80%が水分で、おしっこは100%が水分。つまり、うんちとおしっこはほとんどが水分なので、それを吸収もしくは凝固して安定化することが目的です。

液体というのは保管することを考えた場合、とても不安定な状態なのです。袋が破れて、液体が漏れたら大変ですからね……。

袋の中で固めたうんちとおしっこの処分方法は、市区町村の指示に従ってください。おそらく可燃ごみとして回収するのが多いと思います。

ということは、回収されるまで、自宅で保管しておくことも考えておいてください。においが漏れない箱に入れたり、消臭剤を用意したりすることも必要だと思います。1つのごみ袋に使用済みの携帯トイレをたくさん入れすぎると、持てないくらい重くなるので注意してくださいね。

うんちとおしっこは大部分が水分なのでとても重いです。

断水や給排水管が壊れて水洗トイレが使えなくなると、屋外に設置された仮設トイレなどを使うことになります。夜間は怖くて行きたくないでしょうし、中高層階に住んでいるとしたらトイレのたびに階段を上り下りするのは大変ですよね。

だからこそ、携帯トイレがあれば、外のトイレに行かなくて済むので安心ですよね。日頃、座り慣れた室内の便器、鍵がかかる個室を有効活用できるのです。

大きな地震が起きたときは、真っ先に自宅のトイレに携帯トイレをとりつけてください

水洗トイレが使えるかどうかは、あとで考えればよいです。

もし、水洗トイレが使えることが分かったら、携帯トイレを外せばいいのです。

逆はできません。水が出ないところに 1度でも排泄してしまったら、それを取り除くのは大変です。

水や食料があったとしても、トイレの備えがなければ、そこで生活することができないのです。


備えておく携帯トイレの量の目安は?

では、どのくらいの量を備えればよいのでしょうか?

それを知るには、自分がトイレに行く回数を数えることが必要です。

トイレに行く回数は、個人差だけでなく体調によっても異なりますが平均は1日6〜7回くらいです。みなさんも自分のトイレの回数を把握しておくと良いでしょう。

ここでは、私の場合で携帯トイレの必要数を紹介します。

私のトイレ回数は、以前にご紹介したとおり7回です。

でも、災害時は今と同じように飲んだり食べたりは出来ないでしょうから、仮に5回に設定するとします。

私は4人家族なので、次のようになります。

4人(家族の人数)×5回/日(トイレに行く回数)×7日間(備蓄日数)=140回

これを参考に、ぜひみなさんも計算してみてください。

トイレに行く回数は、家族全員で記録することをお勧めします。

また、備蓄日数については最低限備えてほしい日数を示しました。これだけ備えれば安心という日数はありませんが、すくなくとも1週間は備えてほしいです。

東日本大震災のとき、千葉県浦安市では水洗トイレが使えるようになるまでに長いところで35日ほどかかりました。1週間の備えは、決して大げさではないと思います。

携帯トイレの値段はさまざまですが、1回分でおおよそ100円~200円ぐらいです。ホームセンターやネットで購入することができます。具体的な商品の内容は、災害用トイレガイドを参考にしてください。

ただ、使用済みの携帯トイレは、一般的には可燃ごみになりますので、効率的に使用することも必要だと思います。携帯トイレには、吸収量や凝固量の目安があるので、おしっこ1回あたりの量が分かれば、吸収できる範囲内で複数回、使用することも考えられます

うんちの場合は、臭いのこともあるので、できれば毎回交換するのがよいと思います。

また、携帯トイレを使うのは夜間や早朝などにして、昼間は屋外の仮設トイレ等を使うという方法もありですね。

災害時は、日常をできるだけ早く取り戻すことが安心につながります。

そんなとき、いつもと同じトイレを使えることが大切なのです。

お隣さんにトイレを借りる、なんてことはなかなかできませんからね。

携帯トイレ、ぜひ備えてください!

もしできることなら、一度、自宅で使ってみることをおすすめします。

そうすると、自分にとって使いやすい携帯トイレがどれなのかを正しく知ることができますし、一度使ったことがあるという経験が、いざというときにきっと役立ちます。


参考情報

日本トイレ研究所では、携帯トイレの使い方をイラストで紹介した小冊子を販売していますので、よろしければ参考にしてください。

『災害トイレエチケットBOOK』

また、災害用トイレガイドに公開されている「携帯トイレの使い方(動画)」をご紹介します。ぜひご覧になってみてください。


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