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マスタリングお茶会の参加記録

マスタリングお茶会の参加記録

マスタリング執事さん主催のTwitter企画『第1回マスタリングお茶会』。

参加してきましたので、その記録と感想を纏めます…!!


『マスタリング執事』さん及び

『マスタリングお茶会』とは?


マスタリング執事さんについて

Twitterで一時期、音楽制作関連の『○○お嬢様』というのが流行って出現しました。

知ってる方は知ってるかもですね。一部界隈では話題になりましたw

例えばCubaseお嬢様とかDTMお嬢様みたいな感じの。

恐らく、その中の一つの流れとして『マスタリング執事』さんはTwitterを開設されたのかと思います。名前の通り、主にマスタリングについて発信されている方です。

マスタリング執事さんのTwitter


マスタリングお茶会 とは

今回の企画『マスタリングお茶会』とは、執事さんがTwitterにて企画したイベントになります。

簡単に説明すると、とある楽曲の未マスタリング音源を各々自由にマスタリングを期限内に行って提出。その後に匿名でみんなのマスタリング音源を聞き比べてディスカッションする、半ばマスタリングの実戦勉強ができる企画ですね!

より詳細は下記リンクをご参照ください!!

マスタリングお茶会 詳細ツイート


ちなみに、今回の課題曲はこちら『"What Have You Done To Me?"』。

ぶっちゃけ、選曲良すぎるし、初めて聞いたけどカッコよすぎるし、マスタリング云々関係なくふっつうに楽曲がストライクすぎました。これだけで参加した甲斐があった。

こちらの楽曲の未マスタリング音源がサイトに上がっていて、今回はそちらを使用させて頂いた感じですね。

ヒロのマスタリング

今回、僕がマスタリングした音源と、その内容について記載します。


↓マスタリングした音源↓



是非、原曲と聞き比べてみてください…!!





↓DAW内の様子↓


マスタリング内容

★使用DAW
→Cubase Pro11

★今回の使用プラグイン

・音源トラック
【インサート】
→CenterStereo(音の拡がり調整)
 Ozone9 DynamicEQ(bridgeのキック削る用)
 
【センド】
→REVerence(キックの拡がり、深み、ぼやかし)
 →StudioEQ(キックのみに適応したいので帯域絞り込み用)
  (REVerence)
  StudioEQ(リバーブで余分に出てしまった帯域の削り込み)
  H-Comp(キック感と厚み、まとまり)
 Vinyl(bridgeの歪み用)
 →Ozone9Equalizer(適応したい帯域の絞り込みとボーカルに重点的に掛かる様に調整)
  (Vinyl)
  VEQ3(より歪み感を出すため)

・マスタートラック
→L3-LL MultiStereo(音圧稼ぎ)
 Ozone9 DynamicEQ(キック削る用)
 Ozobe9 LowEndFocus (キック、低音域の強調と丸み感)
 MultibandCompressor(抜け感、シャープ感用)
 Vcomp(まとまり)
 Ozone9Equalizer(高音域がキンキン痛いので削る)
 Vitamin(倍音を足して抜け感)

・分析用
→Insight2/TonalBalanceControl2/VU Meter


★こだわりポイント

・自動マスタリングを使わない
マスタリングする時は一番盛り上がるラスサビ辺りを基本目安にいつも始めます。
僕もOzone9の自動マスタリング機能を使ったりするのですが、今回はやってみてもあまり好きな感じにはならなかったのと、
折角のマスタリング勉強会なので参考程度にして採用しませんでした。

・キックの存在感
ラスサビ辺りでマスタリングを調整していこうと聞きこむと、今回の楽曲はキックが中々の存在感でキーになってる感じがしました。
ロックな曲調で、鳴り方的にも『心臓の音で迫る』様な雰囲気があるキックだったのですが、その割にちょっとタイト目なのが気になってました。
なので、如何にサビではキックの音に絞って深みとタイト過ぎるキックの輪郭をぼやかせれるかが僕なりの好きなマスタリング結果になるかなと思いました。
そこで、まずはマスタートラックでダイナミックEQ等を使ってキックの帯域辺りを削って、そしてLowEndFocusを使って気持ちのいい低域が強調されつつ音が丸くなってくれないか試しました。
でもまだ思う様にいかなかったので、音源トラック自体にセンドからリバーブを掛けるという荒業を使ってみました。我ながら独学ならではの思いつきだなと思いますw
深めのリバーブをセンドトラックで、更にEQでキックのみに適応される様にして、且つ邪魔になりすぎない様にコンプ等も使用しました。

・音の抜け感、シャープ感
キック及び低域がある曲でカッコ良いのですが、キックに対して調整したのもあって全体的な音の輪郭/シャープ/抜け感が損なわれるのは痛いなと思いました。
ギターのバッキングも歪んでて、カッコいいですしね。そこで、マルチバンドコンプをまず採用。僕はCubaseのマルチバンドコンプを音の輪郭をハッキリしたい時なんかによく使います。
またVcompも。Vシリーズはロックにあう尖る音にしてくれる気がします。そして少し高域が出過ぎて痛い所をEQで削り、その後更にVitaminを使って音の倍音成分を調整。
Vitaminはこういうときいいですね。Vitaminで音の抜け感を出しつつ、低域や他の域も調整しバランス調整。という感じです。

※ちなみに今回は、LUFS等はあまり気にしない様にして、単純に聞いてて気持ちいいという目安でやってみました。

・音の拡がり
Insight2で楽曲の分析をしながらマスタリングをどうしようかなって考えていくのですが。
今回、見て聞いてて分かったのが、パート毎での音の拡がりが極端って所でした。
Amero等は楽器数が少ないのもありほぼ真ん中に集まり、サビで一気に音が拡がります。
この差を更に利用して、サビへのテンション差/盛り上がり感を演出できないかと思い、CenterStereoを使って実験的にやってみました。
例えばAmero等は更に音をセンターに絞り込んで、サビに行くに連れて更に爆発的に広がる様に…など。

感想

『マスタリング』って簡単に済ませようと思えば今の時代はOzoneとかもあるので、あまり知識とか無くてもできちゃうんですけど、いざ目を向けて真剣にやると難しく、奥深い工程だと実感する事ができます。


今回のお茶会では、執事さんが『初学者の方も是非』という事でしたが、本当に吸収できるモノが予想以上に多く、おまけに実践もしてるので手応えや次への感触なんかも感じ取れる時間を得られました。


まず、別に依頼とかそういうモノでもないので、楽曲のマスタリングにやりたい挑戦したい事や実験的な試み、自分のやっている事の確認や楽曲分析への改めての向き合いとかがとことんできました。

マスタリングは楽曲を仕上げる最終工程なので、編曲やミックス程の大きな変化は客観的には少ないと思います。というか元々無理に大きく変化させる工程でもないですしね。

しかし、楽曲作品の最終出口なので、マスタリングをなめると痛い目を見るというのは経験済みですし、逆に言うとそれだけ奥深い世界である。という事を改めて実感できました。


そして、この企画の一番面白い所が、参加者のマスタリング音源を匿名で聞き比べて、且つ各々の拘ったポイント等を確認しながら分析できる。そして質問もできるという所です。

今回は約15名以上のマスタリング音源を聞き比べできたのですが、本当にこれが発見ばかりで面白いんですね。

さっきも言ったようにマスタリングって個人的にはあくまで最終調整な工程なのでメチャクチャ大きい変化をしまくるって感じではないんですが、それでも個性が出るんですよね。

例えば、『音圧』。これをある一定のラインに揃えたいと言っても違いが出てました。使ってるプラグインや環境の違いも勿論あると思うんですが、その上でどう調整しようかっていう感覚的な所に違いと味が生まれてると思いました。

今回の課題曲で多かったのが、キックとかへの拘りですね。僕もですけど。

でもこれもどう仕上げようかとか捉え方が違い、面白味が生まれてました。


他の方の音源や名前はあまり出さない方がいいと思うのですが、ちなみにマスタリング執事さんもナチュラルに参加されていて、音源を聞いた時に個人的にマジでやべえって思いました…好きなマスタリングでした…


こうしてみんなのマスタリングを聞き比べたり、質問したりしたことによって、

自分のしてる事の確認や、『一般的感覚の良いマスタリングとは』等を学ぶ事ができました。

正直これは学びもある上に面白い!これは次回もやりたい位良い企画だと思います。

今回はこんな企画を開いて頂いた執事さん、

そして参加した皆さん、本当にありがとうございました!!

この企画を作品制作にバンバン活かしていきたいと思います!

そしてこの企画を通じてお知り合いになった

皆様もこれからも何卒よろしくお願いいたします。

もし余裕があり、もっと市川の記事や活動を応援したいという方がいましたら…是非『サポート』のご検討を何卒よろしくお願いいたします!!…本っっっ当にそのお気持ちだけでも有難い限りです。ありがとうございます。