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日本酒には。

元旦は何もしないと決めていたが、妹夫婦と両親が長女ドカ弁と次女ちゃっかりにお年玉を届けにやってくると連絡が入った。

「まいど!あけましておめでとうございます‼︎」

来た来た。
うるさい一同の勢揃いである。

「ドカ弁、彼氏出来たんか‼︎」

毎度の決め台詞で登場したのは、妹の旦那さんである。

そうや、ドカ弁に彼氏が出来たこと知らんねんなぁ。まぁそのうちわかるやろ。

おせちを重箱に補充しつつ、
「ビール?お酒?焼酎?」と訊ねると、まずは焼酎からだという。

「お姉ちゃん、僕さっきお義母さんの家でも食べてきたから腹一杯なんですけどね、旨そうですわぁ。」

可愛いことを言う義弟である。

夫スナフキンと乾杯し、飲み始めた。

さて。子どもの食べ物はどうするか。

バターロールにシャウエッセンでミニホットドッグを作る。作りながらハッと気づいた。

「なぁ、このバターロール食べれるやつー?」

妹にバターロールの原材料を調べてもらう。

「あかん!ホエイパウダーが入ってるから無理や!」

姪っ子はひどい牛乳アレルギーなのである。ほんの少しでも食べるとアナフィラキシーショックで命に関わるので、いつも万一に備えて、解毒剤の注射をカバンに入れて持っているのである。

「わかった!ポークビッツはオッケーやんね?それとブロッコリー茹でたの作るわ。」

食べれる物が限られているのは可哀想であるが、仕方ない。

ちなみにハム類にカゼインが入ったものも牛乳アレルギーの子にはNGである。

おやつは、ポテチの塩味はオッケー、じゃがりこはアウト。

頭の中で色々考えながらメニューを考えながら急いで作っていく。

冷蔵庫には玉ねぎ、シャウエッセン、焼き豚がある。

ナポリタンを作るか。

パスタを茹で、サッサと作って大皿2つに盛って出すと、わらわらとピラニアのような勢いでみんながテーブルに集まってくる。

父はナポリタンだけでは物足りぬ顔をしている。

「お父さん!日本そば食べる?」

「おお!食べる食べる‼︎」

熱々の日本そばと丼一杯のおかかご飯を出すと、嬉々として食べ始める。

「uniちゃん喉乾いたー!」

小学生組がやってくる。

オレンジジュースを3つ手渡す。

「uniちゃんエビスビールおかわり!」

母に手渡す。

居酒屋の厨房兼ホールスタッフのような有り様である。

一段落したとき、義弟が声を潜めながらナポリタンの皿と日本酒を指差して言った。

「お姉ちゃん、これ意外と日本酒に合いますわ!旨い!」

「えっ!なんて?日本酒にナポリタンが合うって?」

そう聞き返すと、妹の大声が。

「あんたなんでもええんやろ‼︎こないだからずっと‘やっぱり日本酒にはお魚ですなー‼︎’って通気取りしとったやろ!」

「何をゆーてるねん!俺はイタリア人の気持ちを理解してんねん。イタリアでラーメンに日本酒が流行してんねん!ドカ弁、知ってるかー⁉︎」

出た。知ってるかー⁉︎

「こないだテレビでフランス人がラーメンに日本酒合わせるのが流行ってるいうのは見たけどイタリアは知らんわ!」

「イタリアもフランスも似たようなもんやろ‼︎アホやなぁ、お前は‼︎」

「アホはお前や!パスタやからイタリアしか思いつかんかったんやろ‼︎」

あいもかわらずの叔父とJKである。

#エッセイ


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