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中退

古いアルバムを整理していたらこんなものが出てきた。

古ぼけた紙のアルバムである。

”おもいで”と表紙には書かれていて、なぜか猫のイラストがついている。

表紙をめくるといきなりこんな文章が。

アルバムは夏の遠足にいった7月で時が止っていた。

保育園に行きたいと自分で言い出したにもかかわらず、お昼寝が嫌でどうしても保育園を辞めると言い出した4歳のunimam。

母は保育園の制服もかばんも靴も帽子も全て揃えてくれたのにもかかわらず、続けることを拒んだ自分は、変り者のわがままな子どもだったのだろうか。

しかし、このことについてそう怒られた記憶がないのだ。

「しょうがない子やねー。uniちゃん保育園そんなに嫌なん?」

こんな感じで母に聞かれ、

「うん。お昼寝がイヤやし、ハッピーと一緒じゃないから寝られへんねん。」

こんなふうに答えた記憶がうっすらと残っている。

ハッピーというのは、肌身離さずに持ち続けていたピンクの犬のぬいぐるみである。

保育園は規則でぬいぐるみを持って行ってはいけない決まりになっていたのだった。

あっさりと母は保育園を辞めさせてくれたのだった。

明日からはお家にいれるんや!!

ものすごく嬉しかったことは覚えている。


実はこの保育園こそ、数十年のちにドカ弁とちゃっかりがお世話になった保育園なのである。

制服もブラウスも帽子も全く同じデザイン。

ここを立派に卒園した娘たちは、本当に辛抱強く、よく頑張ったのだと思う。

さすがに親が中退した保育園とは言いにくい。

この件については、ひた隠しにしようとしていた自分であった。


しかし、あっけなくそれはバレた。

ある日みんなでご飯を食べていた時のこと。

お酒も飲んで楽しくワイワイ話しているときに母が突然こう言うではないか!

「ドカ弁も、ちゃっかりも偉いわ~!uniママなんかお昼寝が嫌で保育園すぐやめたんやから~!」

幼いドカ弁とちゃっかりの冷たい視線が飛んできたのは言うまでもない。

親の面目丸潰れである。

娘たちに出来て自分には出来なかったこと。

保育園卒園。

娘たちが持っていて自分にはないもの。

「卒園証書」
「完成版”おもいで”アルバム」

そういえば。

この”おもいで”のアルバムも、デザイン、色、形まで自分の中途半端に終わった”おもいで”アルバムと全く変わっていない。

ブランコを立ちこぎしてるのがunimamです。

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