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Nouns DAOのフォークとは? 1. Nouns DAOの概要

Unyte Internの田伏です。

第2回となる今回から3回にわたって、「最もDAOらしいDAO」と呼び声高いNouns DAOについて、第2回 : Nouns DAOの概要、第3回 : フォークのまとめ
第4回 : 課題と解決策と解説していきます。

読んでいただければNouns DAOについてかなり詳しくなれるよう一生懸命書いたので、ぜひチェックしてください!

初回となる今回は、Nouns DAOがどういったものかを説明していきます。


0. DAOのおさらい

 Decentralized Autonomous Organization の頭文字をとったもので、
日本語では自律分散型組織と訳されます。株式会社などのリーダーがいる
中央集権型組織の対比として用いられることが多いですが、弊社では2種類のDAOを定義しています。(詳しくは第1回のNoteをぜひご覧ください !!)

今回のNouns DAO厳密なDAOに分類されるものです。

投票により可決された提案はどのようなものでも実行されてしまう(※)
という部分が美しくもあり、次の記事で紹介する「フォーク」に繋がる困難な要素を残す部分でもあります。

※Founderのみが呼び出すことができるキャンセル専用の関数が設定されているため、提案の実行をキャンセルすることも不可能ではないですが、DAOとして想定する動きとは異なるためこのような記載をしています。

1. Nouns DAOとは

 Nouns DAOとは、NounというNFTを持つ人で構成されたDAOの名称です。Nounとは、メガネをかけたキャラクターがドット絵で描かれたNFTで、1日1体が生成されオークションにかけられています。背景(2)、体(30)、付属品(140)、頭(242)、メガネ(23)の要素からランダムに生成されます。

                                                 

Nounsのデザインの中でも一際目を引くメガネは、Nounsの代名詞になっています。またSamsungとのコラボ企画(2022)ではメタバースとリアルの両方でイベントを開催したり、オリンピックのブレイクダンスプロモーションビデオ(2023)にも登場するなど、その認知が広がってきています。

  

Nounは2つの側面から捉えることができます。

1-1. コレクションとしてのNoun

  1.  ジェネラティブアート
    (アルゴリズムなどから自動生成されるもの)

  2. フルオンチェーン
    画像のみオフチェーンでサーバーに保存する手法が用いられがちですが、Nounsでは画像も含めて全てイーサリアムブロックチェーン上に保存されています。

  3.  Nounのキャラクターは誰でも使用可能 
    (Creative Commonsというライセンス)

1-2. DAOでの投票権としてのNoun

 NounsDAOでは、DAOの運営や活動について参加者がさまざまな提案を行い、それに対して投票を行うことで運営を行なっており、1 Noun = 1票として機能します。では提案や投票とはどのようなものか。Nouns DAOの構造とともに解説します。

Nouns DAOには大きく分けて3つの特徴があります。

  1. NFTの売上は全てDAOの資金プールへ

  2. Founderの報酬は10体に1体のNoun

  3. Founderに対して自動で報酬が支払われる

それぞれ詳しく見ていきます。

1. NFT(Noun)の売上は全てDAOの資金プール(トレジャリー)へ

 従来のモデルでは、売上の数%を運営の収益として計上しますが、Nounの売上は100%トレジャリーにプールされます。このトレジャリーは、DAOの活動に充てられます。では、Nouns DAOの運営はどこから収益を上げているのか。これが特徴の2つ目に繋がります。

2. Founderの報酬は10体に1体のNoun(最初の5年間のみ)

 1日に1体が生成されオークションにかけられるNounsですが、10体に1体(番号が#…0)のNounはFounderが共同管理するウォレットに送られます。Founder(Nouns DAOのFounderでNounderと呼ばれる)は10人いるので、100日に1体のNounがNounder1人あたりの報酬となります。他のプロジェクトでは、保有しているトークンを運営が高値で売り抜けて利確を行うことも少なくないですが、そのようなことをNounderがやるとすぐにわかります(番号の末尾が0だから)。このように、Nounderは自身の報酬のためにも、Nounの値段が上がるよう長期的なコミットメントが求められます。とても上手にインセンティブが設計されていますよね。

3. 2が全てスマートコントラクトで記述されている

 2の「10体に1体が運営のウォレットに送られる」というのは、自動で履行されます。ここが最大の特徴で、Founderに対するインセンティブが100%スマートコントラクトによって記述されており、人の手を介さずにNounderに報酬が支払われるという点が、厳密なDAOに分類される理由の1つです。

 そして先ほど登場した、Nounの売上から成るトレジャリーをどのように使用するかを、提案&投票によって決めていきます。

1-3. 投票システム

 Nouns DAOにおいて、メンバーは他のメンバーに対して、提案を行い、投票を募ります。この提案には、行いたい活動の詳しい内容や予算などが含まれ、可決されると、提案に対して予算配分が行われ、メンバーにより実行されます。どのような提案であっても、一旦可決された提案は自動で実行されてしまう(例外あり)と言う部分が、報酬の支払い方法に続いて厳密なDAOに分類される理由の2つ目です。
それではどのような流れで投票が行われるか、そして投票の基本ルールについて見ていきます。

1. 提案から実行まで

 提案から投票までの流れは、
提案の作成(2日) → 投票(3日) → 投票終了 → queueに追加(2日)→ 終了&実行と1週間で1サイクルが終わるようになっており、積極的な提案と投票を促す仕組みになっています。

2. 投票の基本ルール

  • 1Noun = 1 票

  • 提案には2票必要 (委任することも可能)

  • 可決には10%の賛成票が必要(反対票が多い場合、15%の賛成票が必要)

 提案には、予算とその使い道に関する詳細、そして予算が分配される際に使用するアドレスが含まれます。また投票に際してかかってしまったガス代は返金されるため(一定の金額まで)、ガス代を気にせず投票できるようになっています!

#317のNouns Movieの続編を作成しようという案を例に見ていきます。エピソード2のシナリオや、制作に参加するメンバーに関する情報などが含まれています。この提案には、アカデミー賞やグラミー賞に相当する最も権威ある文化賞の一つであるEmmy賞を受賞した音響ディレクターも参加しており、375,000 USDの予算を求めています。このような部分からもNounsのブランド力を感じます。

投票の結果可決されましたが、通常10%の賛成票で可決のところ、反対が106票入っているため、この時点での母数776に対しての15%付近にしきい値が設定されています。

  

投票で可決されたため、投票と一緒に提出されたアドレスに対して、トレジャリー(DAOの資金プール)から、提案に書いてある分の予算が分配されています。

 

Nouns DAO発足(2021/8/8)から現在(2023/10/18)まで、メンバーにより413個の提案がされています。このように、Nouns DAOのミッションである「One Noun, every day, forever」を実現するべく、メンバーで提案と投票を繰り返すことで運営されています。

まとめ

 Nouns DAOの概要について、Nounが投票権として機能すること、Nouns DAOの特徴、投票の流れや可決の基準などを解説しました。また、Founderへの報酬と可決提案への予算分配が、スマートコントラクトにより自動実行されるという部分も注目ポイントでした。ここまでお読みいただきありがとうございました!

次の記事では、フォークとはなにか、Nouns DAOでフォークが起こった背景を見ていきます。次回も是非チェックしてください!

( 不正確な部分のご指摘やご質問があれば、Unyte Intern 田伏にご連絡いただけると嬉しいです!)

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