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Unyte1周年の御礼/DAOメディアはじめます!~そもそも「DAO」ってなんだっけ?~

はじめに

UnyteのUwaizumi.ethです。
ちょうど一年前の10月14日に株式会社Unyteを創業し、これまで「DAOメンバーの貢献度可視化」をテーマに一貫してDAO関連のツール開発を行ってきました。

そして今日、無事に会社設立から1周年を迎えることができました!🎉

1年前の今日、法務局に会社設立のための資料を提出した時の写真です
B Dash CryptoのPitch Arenaに出場し、そこでUnyteを発表させていただきました!

昨年12月にリリースしたDiscordBotは、トライアル利用をしてくださった方を含め、総勢70を超えるコミュニティに導入いただいています。
最近は、弊社ツールを使ってくださっているDAOについて、メディア様に取り上げていただくことも増えてきました。

これもひとえにUnyteのことを知って、応援してくださっている皆様のお陰です。本当にありがとうございます。

また、先月末にリリースさせていただいたDAO構築・管理のための統合プラットフォーム「Unyte」についても、お陰様で企業様やメディアの方から多くのお問い合わせをいただいております。こちらも事前登録いただいた方に少しでも早く利用いただけるよう、チーム一同開発に勤しんでおります。

そしてこの度、「DAOの魅力を伝えたい!」「世の中にDAOをもっと増やしたい!」という思いから、Unyte社の創業1周年のこのタイミングで「DAOの可能性を伝え、広げるためのメディア」の運用を始めます!

DAO構築ツールを開発し、さまざまなDAOの支援を行っているUnyteとして、チームで得られた知見や最近のDAOに関する出来事のまとめを発信していければと考えています。

第一回の記事では、そもそも巷で言われる「DAO」とは何を指しているのかについて、Unyteチームメンバーの目線から改めて整理してみたいと思います。


そもそも「DAO」ってなんだっけ?

というのも、人によって「DAO」という言葉が指し示す範囲や意味合いが全く異なってしまっている場合があり、これが様々な摩擦の原因となってしまっているように感じられるためです。

DAO関連の記事や発表について、「こんなのDAOじゃない!」といった意見を目にすることもありますが、そもそもの「DAO」という言葉が指すものが人によって全く違なることが問題の大元であることが多いように感じられます。この辺りの解釈の齟齬を無くすことで、DAO業界を発展させる一助に少しでもなればと思い、このテーマをまず取り上げさせていただきました。

Unyteチームとして、DAOには大きく分けると主に以下3つの部類に分かれると考えています。

  • 厳密な意味でのDAO

  • 広義のDAO

  • その他のDAO

以下にて、それぞれの定義における「DAO」という言葉が指し示す範囲について解説していきます。

厳密な意味合いのDAO

まずは、最も厳密な意味で解釈した場合の「DAO」です。

この場合のDAOの運用には基本的には人は介在せず、全てがブロックチェーン上に記載されたルール(技術的には「スマートコントラクト」と呼ばれます)で回っている状態を是とします。
ルールの変更、つまりスマートコントラクトのアップデートに際しては必ずシステムに参加する構成員同士でガバナンス投票が行われ、そこで可決されたもののみが適用される、という仕組みです。

厳密な意味でDAOとして運用されているシステムの一例として、DAOの雄である「ビットコイン」が挙げられます。というより、もはやビットコインのみが実運用されている唯一の「DAO」とすら呼べるかもしれません。

ビットコインのシステムは、基本的に全ての送信履歴の記録・検証において人の意思が介在しない設計になっています。あるユーザーが他のユーザーにビットコインを送信したい、と思った時にトランザクションを発生させた後、残高の検証と増減の処理を行うマシン(技術的には「ノード」と呼ばれます)があるルールに基づいた計算を行い、特定の条件を満たした際に先ほどの送信履歴がブロックチェーン上に記録されることになります。

この仕組みは「Proof of Work」と呼ばれます。
詳しい説明は以下の記事などが参考になります。

また、システムのアップデートを行う場合、開発者は「BIP」と呼ばれる実際のコードの変更内容も記録をした上で具体的な提案を作成する必要があります。リジェクトされてしまうものもありますが、コア開発者の投票で賛成多数となるとシステムがアップデートされ、リリース間近になります。

リリース後は、採掘されたブロックのうち一定期間で新しいクライアントに対応したブロックが何割か、という条件を満たした場合のみ新しい仕様がアクティベートされるようになっています。

このように、システムの運用はもちろん、変更においても極力多くのメンバーによる検証と意思表示を経ることになっており、本来の意味での「分散型組織」を目指そうという意思が垣間見えますね。

広義のDAO

これまで、厳密な意味としてのDAOについてご紹介しました。
一方で、これだけのルールを作ってシステムを運営するためには莫大な時間と手間をかける必要があります。この状態を1から作るのはそう簡単ではありません。

また、DAOのA=Autonomous(自律)性の担保を目指すと、ビットコインの送金履歴の処理といったシステマチックに処理できるもののみが対象になってしまいます。
一方で、実際の組織運営にはサービス提供などどうしても人の稼動が必要なものも多く、このような組織はどう頑張ってもDAOになれない(※あくまで厳密な目線において)ということになってしまいます。

そこで、厳密な意味としての「DAO」を理想としつつ、組織運営上はAutonomous要素について譲歩した形で運営しようとする組織を我々は「広義のDAO」と呼んでいます。

このタイプのDAOでは、基本的な組織運営は人力によって行われます。意思決定は投票等の分散型の決定方法により決まるDAOが多いものの、立ち上げ初期についてはこの分散性も一定譲歩をし、中央集権的に進める組織もあります。

広義の意味でDAOとして運営されている組織は、Unyteの支援先をはじめとして日本にもいくつか存在しています。
そしてその代表はやはり「和組DAO」でしょう。

和組DAOではweb3およびDAOに関する情報共有を目的として、多くのメンバーにより日々勉強会や情報交換が行われています。
また技術研究も行われており、Wagumi CatsのNFTや和組SBTの開発やこれらのトークンを活用した経歴保存システムの運用も行われています。
和組DAOにおける重要な意思決定はSnapshotとWagumi Cats・和組SBTを活用したガバナンス投票により行われています。

意思決定はWagumi Catsと和組SBTホルダーの投票で行われています

※その他のDAO

ここまではDAOにおける自律性・分散性をキーに、これらを厳密に適用できるかどうかによりいくつかのDAOの定義が可能という議論をさせていただきましたが、巷で「DAO」と銘打たれた組織の中でも、これらの要素を必ずしも適用されていないDAOも存在しています。

これらは厳密な意味のDAOと広義の文脈でのDAO、どちらにも当てはまらないためDAOと呼ぶことができるかどうかについて疑問も残りますが、一般的にDAOという名前で活動されているためDAOの一種として記載しています。
具体名を挙げることは避けますが、彼らの活動でDAOという組織形態の認知度が高まっていることもあり、個人的にはとても有難いことだと感じます。

Unyteが指す「DAO」とは

これまで、さまざまな定義が入り混じって語られることの多い「DAO」について、いくつかの観点から分類し、具体例とともにご共有させていただきました。

ここで、我々UnyteチームとしてはDAOをどのように捉えているのかについてもご紹介させていただきます。
結論、Unyteとしては「広義のDAO」まで含めてDAOである、という解釈をしており、
・DAOのA=Autonomous(自律)性について、必ずしもシステムで制御されている必要はない
・むしろ各メンバーが誰かからの指示によってではなく、自らすすんでコミュニティに参加・貢献しようとする姿こそ「自律的」である

と考えています。

これは完全にシステムで制御できるものが多くない現在において、「完全にAutonomousでなければDAOでない」としてしまうことが、DAOという組織形態の発展そのものにとってデメリットをもたらす懸念を持っているためです。

将来的には、AIによる「人力の作業」の代替が進むことで、今はあくまで広義のDAOとして運用せざるを得ない人力が介在するシステムも、厳密な意味での「DAO」になることが十分に予測されます。
(突き詰めると、DAOにおける人間のガバナンス投票すら不要になり、AIの判断により「エコシステムにとって利益がある提案」を自動で採択しアップデートがなされる、という未来になるはずです)

あえて現在、技術が未発達の状態で完全にAutonomousなDAO以外を疎外してしまうと、DAOの認知拡大を妨げ、「厳密な定義におけるDAO」の発展すらも閉ざされてしまうリスクがあります。

この意味でも我々は、まずは一定の定義の揺れも許容をした上で、将来的に「メンバーそれぞれが自分の意思で活動し」「ブロックチェーン上に記載されたルールに基づき報酬を受け取ることができる」組織の実現を目指す人々のサポートを行うことこそがDAOの発展に繋がる最善の選択肢である、と判断をしています。

さいごに:

今回の記事では巷で言われる「DAO」の解釈の分類と、それぞれのDAOにおける具体的な仕組みと活動内容についてご紹介させていただきました。

今後もUnyteチームとして、DAO構築プラットフォームのご提供、コミュニティのDAO化支援により「コミュニティに貢献し、対価を得る」という新たな組織モデルの拡大に向け精進していきます!

次回以降も様々なDAOについて、Unyteチームメンバーの目線からの考察をお届けすべく記事を作成してまいります。

次回は、最近の活動内容でさまざまな動きを見せている「Nouns DAO」について、数回にわたり現状と今後のDAOとしての方向性を考察してみようと思います。

引き続きUnyteをどうぞよろしくお願いいたします!


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