物語は終わらない
めでたし、めでたし。ハッピーエンドで終わる物語の締めの一文です。
子どもの頃、この言葉で終わる物語に、一体どんな感情を抱いていたのかは、あまり憶えていません。ほっとしていたのかなあ。それとも、物語が終わってしまうことを残念に思っていたのかな。
大人になって思うことは、ハッピーエンドなんて、死ぬそのときまでない、ということ。
当たり前だけれど、白雪姫だって、シンデレラだって、「めでたし、めでたし」のあとにもそれぞれの人生は続くのです。物語の一幕があの場面でエンドを迎えただけで、決して本当の意味で「ハッピーエンド」に決まったわけではないのですよね。
それでも、大団円を迎えて、ああ良かったと思うのが、自然な感情だといえるのだと思うのだけれど。でも、そんな感情をぶった切って、残酷なまでに「人生はその後も続く」をまざまざと見せられたなあ、と思うのが、スターウォーズでした。
父が4からリアルタイムでファンだったこともあり、わたしは1シリーズはビデオで、2シリーズからは映画館ですべて観ています。
最初の1シリーズを観たときは子どもだったこともあり、「めでたし、めでたし」で良かったなあ、と思っていました。ハラハラしたけれど、良かった、と。
2シリーズは1シリーズの前の時代を描いているから、結末はわかっていたため、苦しくなりながら観ていました。それでも、この後に続く1シリーズで「めでたし、めでたし」になるのだから、良かったね、と思っていたのです。
そこにきた、3シリーズのエピソード7。間に起こった出来事は、あっさりオープニングで宇宙に文字で飛ばされてしまうのだけれど、まあ、その時点で「苦悩に満ちた人生だったのか……」ということを知らされたわけです。そして、その後の展開も、人生のうまくいかなさを感じるものが多々。「めでたし、めでたし」だったエピソード6のラストを思い出して、切なくなってしまいました。
人生が、ずっと晴れ模様だなんてことはあり得ない。山あり谷ありの言葉通り、いろいろな辛いことや悲しいことを乗り越えながら、生きていくのがリアル世界の人生です。
もちろん、そのことはわかっているし、実際に自分の人生も、現時点で相当アップダウンを経てきています。けれども、あらためて「ね。人生って山あり谷ありが続くんだよね」と見せられてしまうと、なんとも言いがたい苦しさを感じてしまうのでした。
人生は、終わりのその瞬間まで続く。物語は、終わらない。
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