欠陥住宅の床の上にいる日
唐突に“ズレ”を感じることがある。
無自覚でいられる間であれば問題ないのだけれど、一旦自覚してしまったが最後、そのズレはだんだんとわたしに浸食してきて、気持ち悪さを引き起こす。それは、平衡感覚がおかしくなるような気持ち悪さです。
ズレるものは、そのほとんどがテンポ。基本的に、外の世界のテンポはわたしのそれよりも速い。速い上に突然リズムを変えることだってある、気がする。
ずっと一定の四拍子でいってくれればいいのに、世の中というものは(“社会”かもしれない)そんなに単純にはできていないらしい。
レールに乗ってただ無心に進めていられる間はいいのだけれど、わたしは突然「ああ、違う」と我に返ってしまうことがある。
そうなると、たとえ進むべき先がわかっていてもうまく進めなくなるし、場合によっては脱線したり身動きが取れなくなったりする。
時には、言葉すら行方不明になることも。
わたしの中にある“心地よいテンポ”は、きっとandante(アンダンテ)なんだと思う。歩くように、散歩をするように、ゆるゆる、ゆったり。
せっかちだからこそ、本来はそのペースで物事を考えたり、言語化したりする方があっているのだろうなあ。
脳をぎゅるぎゅるハイスピードで働かすこともできるのだけれど、それをやり過ぎるとオーバーヒートを起こす、気がする。考えることはできるのだけれど。
ーーああ、そうか。
考える速度と感じる速度とは、イコールではないんだ。
考える速度に合わせた生活ばかりを送っていると、感受性が置いてきぼりを食ってしまうから、だから気持ちが悪くなるのかもしれない。
外の世界のテンポはallegro(アレグロ)だ。もしかしたら、もっと速いかも。
こんなに目まぐるしい世界の中にいるからこそ、テンポの切り替えをうまくできるようになっていきたいなあ。
そのためにも、ひとりでぼんやり考え感じる時間は、きっと必要なのです。
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