見出し画像

わたしの浅瀬は誰かの深みかもしれない

人との関係性において、わたしはひとりで空回ることが多々ある。

相手の態度が何となく冷たく感じたり、連絡が途絶え気味になったりすると、「何かやらかしちゃったかな」と考え込むクセがある。

たいがい、それはわたしの勘違いであることが多い。突然解決をして、「あ、また考えすぎだったんだな」という結論に至るのがほとんどだ。

高校生のとき、大好きな友人との仲が1年半こじれたのも、結局はわたしの考えすぎが原因のひとつだった。彼女は、そんなわたしに対して、いわば「何も考えていなかった」。わたしは彼女との関係が大切だったから、仲をどうにかしたくて考え込んでいたわけだけれど、彼女はそんな深いことなんて何も思ってやいなかった。でも、わたしのことも嫌いになんてなっていなかったし、何ならわたしのことを好いてくれていた。


悩むことが無駄だから、「深く考えすぎないようにしている」という人たちがいるけれど、わたしは、それはたまに「考えない」のではなくて、わたしから見ると「深くは考えられない」だけなのでは、と思うことがある。

その人にとっての「深さ」は人によって異なる。わたしが思う「深さ」と、相手の考えている「深さ」は、そもそも大体の場合においてイコールではない。

相手の「深く考えていないよ」いう言葉は、わたしが思う「深さ」より、思った以上に深くないのだな、と最近ようやく理解ができてきた。

そして、そういう相手の「深さ」は、基本的にわたしにとっては深くすらないことが多いのだな、ということも。


別に深さで勝負したいわけではないので、どちらが良いとかいう話ではない。ただ、これまでの人間関係の悩みや、物事に対するそれぞれの対応を振り返ると、わたしは深く考えすぎで、相手も「ある程度考えてはいるんだろう」と勝手に想像していたから起きていたのだな、ということだ。この「ある程度」が、わたし基準だと深すぎる傾向があったというか。

結果的に、相手はわたしが想像した深さまでも考えていなかった、ということが多い。むしろ、わたしからみたら、相手が深く考えているらしいときでも、「それはまったく深さがない」と感じることだってあった。


たとえば、ここにプールがあったとして、その水を深いと思うか浅いと思うかは人によって異なる。実際に浸かって足が届く届かないで判断すればわかるじゃない、と思っても、そもそも身長が違うのだ。「これくらいで深いと思う」と誰かが感じたとしても、わたしには腰の部分までしか水がないんだけど、と感じる程度かもしれない。


何度もいうけれど、優劣をつけたいわけではない。ただ、わたしのような考えすぎるきらいがある人間は、この事実を頭に入れておけば、少しは無用なストレスを減らせるのかもしれないと思っている。

周りの人間に好かれているとまで思わなくてもいいけれど、きっと周りはわたしが思う以上にわたしのことなんていい意味で「どうでもいい」し、わたしとの関係性を「考えてなんかいない」。何かを感じることがあったとして、それは相手の事情で「忙しい」「体調が悪い」というだけで、多くの場合で、「わたし」が何か原因を作ってしまったわけでは、ない。


誰かが何かにおいて発言をしたときに、頭を捻ることが時にあるけれど、それだって、相手はわたしと同じ深さまで潜って得てきた考え方なわけではない。深読みをしすぎることは、時に双方の関係に悪影響を与えることだってあるだろう。

ただ、わたしよりも「深く考えすぎる、捉えすぎる」人がいるのも事実だ。だから、そういう人たちに「考えが浅くないか」と問われたときは、思考を深められるチャンスだと思って、意見を聞きたいと思う。

一方で、「え、何それ、考え方浅くない?」と感じたときは、「いやいや、わたしにとって“浅い”だけかもしれないし、そもそも相手自身深く考えようとしていないだけかもしれないし」と一歩踏みとどまることも覚えたいかなあ、と思う。

絶対的な基準なんてないことなのだ。自分の思考レベルを世の基準にしてしまわないようにしたい。

ただ、周りからいわれる自分の深さは参考までに留めておくと、自分の思考が周りと比べて深すぎるのか浅すぎるのかの目安にはなるかもしれない。

どうやら深すぎるきらいがある人は、「考えすぎているかもしれない」と考えてみたら楽になれることが多くなるかもしれないし、浅すぎるのかもしれない人は、何かを意見するときに一歩ふだんよりも考えを進めるようにすれば、軽はずみだと思われずに済むかもしれない。


とりあえず、しばらくもやもやしていたことが嘘のように氷解して、「相手は本当に深く考えていなかったのか……」と脱力したことを添えておく。



#エッセイ #コラム #ブログ #日記 #考えていること #思考 #わたしのこと #編集note

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけました暁には、金銭に直結しない創作・書きたいことを書き続ける励みにさせていただきます。