何かを学ぶ時、私たちは過去の出来事を振り返る。そして、先人たちの知恵を借りる。学校で学ぶ時もそうだった。教科書は過去のことで埋め尽くされ、先生の教えに従う。それでも、誰も未来を正確に予想できない。
自分たちより若い世代の人も、また、同じような経験を辿る。
でも、彼らは僕らの世代が描く未来とは違うものを感じているのだろう。
今よりももっとよりよい世界を夢描いているはずだ。
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アイフォンを生み出したスティーブ・ジョブズは何百年後には歴史的な偉人になっているのだろうか?
アイフォンはジョブズ一人の力で生み出されてはいない。きっと、彼を支える仲間がいただろうし、ジョブズと一度も会話したことがなくても一緒に働いてくれた従業員たちがいたはず。
彼らもアイフォンを世に出したことに誇りを感じていたのではないだろうか。
天はかならず人それぞれに役割を与えてくださる。
語り継がれてきた偉人西郷隆盛は、逆賊の汚名をかぶり、西南の役で非業な死を遂げたが、その後、評価された。西郷は、自分の人生、職業をどう思っていたのだろうか? 天命と思ったのだろうか。
「敬天愛人」は西郷が残した言葉。
道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬する目的とす。
天を敬い、人を愛し、天を知り、己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ねるべし。
天は人も我も、同一に愛し給うゆえ、我を愛する心を以て人を愛するなり。
いつかだったか、記憶が曖昧だが、どこかで、この言葉を見かけた。
気にはなっていたが、しばらくしてから意味を調べた。
「道は天地自然の物にして」と読んだ時、愕然とするくらいな驚きがあった。この文が、その後の人生観を変えてくれたかもしれない。
西郷とともに非業の死を遂げた同志たちの人生は不幸であったのだろうか?
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若い人から就職についての相談を受けることがある。
「三井商船とHONDAから内定もらったのですが、どちらがよいとおもいますか?」
「もし自分なら、海運に興味あるし、海外好きだから三井かな」
「シンプルに考えて、自分の好きなほうを選べばいいんじゃないかな。たぶん、それが天職だから。」
「好きであれば、長く続けられるし、辛いときも我慢できるでしょ」
後日、彼からは、「車が大好きなんで、HONDAにしました。」と笑顔で報告を受けた。
こんなことが言えるのも、「敬天愛人」に出会えたかもしれない。
道は天地自然、好きなことが、無理もなく、いちばん自分に自然なことと思う。
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