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アーティストとファンの熱量を可視化する~投げ銭型ライブイベント~について考えてみた

 SHOWROOMなどに代表される、"投げ銭型"のプラットフォームが誕生して数年が経ち、ある一定のファン/市場の獲得ができていると思う今日この頃。

 エンターテイメントにおける"投げ銭"とは、アーティスト/クリエイターとファンの間にある熱量のやり取りを可視化するものだと考えています。
 例えばデジタル空間においては、お金だけではなく、お金で購入した"何か"であったりする(結局はお金で購入している訳なのではあるが。)

 先日、「オノフェス」と呼ばれる、"投げ銭型"のリアルイベントに行ってきました。当イベントは、"Creator Goodな世界を目指す"、株式会社Onokuwaが主催しており、アーティストの価値を可視化してより適切に評価されることを目的に開催されました。
 今回は、そのイベントを【ファン視点】と【アーティスト/クリエイター視点】(あくまでも推察)とで、考えてみました。

 まず、ライブ会場に到着して、入場整理券(チケット)が配布されている。事前にウォレットアプリを通じて、入場整理券を取り置きしておくことも可能とのこと。いざチケットを持って会場に入場し、ドリンク代のみを支払ったら、ライブイベントをいつも通りに楽しむ。ただ、ここでいつものライブと違うのが下記のポイントだ。

<"投げ銭型"のリアルイベントのポイント>
 1.イベント形式で、各アーティストのライブを見る
 2.ライブを見終わったら、ウォレットアプリを通じて投げ銭を行う
 (当日は、現金を箱に入れて回収するというアナログ対応も)
 3.約10分間の"投げ銭"タイム終了後、次のアーティストが登場
 4.上記1~3の繰り返しが行われる

【ファン視点】
 今回、様々なアーティストが出演するライブイベントのため、ファン層もかなり幅広い印象を受けた(これは、主催者側が意図したものかは不明)。そんな中でも、各アーティストのライブが終了したら、積極的に"投げ銭"が目の前で繰り広げられていた。ライブというものは不思議なもので、その空間、熱気、声援などを感じると、それが興奮になり、一種のアドレナリンを出すと私は思います。そしてそのアドレナリンが可視化されて、"投げ銭"という形になっていたと感じました。
 このように、ファン(お客さん)がライブという空間で、アーティスト/クリエイターから"もらったもの"に対して応えるという仕組みが、必然的に生まれたのではないだろうか。
 ファンにとっては、"誰が決めたか分からない"チケット代ではなく、自分の"好き"という熱量を"投げ銭"という形でアーティスト/クリエイターに伝えることができるため、メリットは大きいと感じました。

【アーティスト/クリエイター視点】
 しかし一方で、アーティスト/クリエイター側から考えてみた場合に、ある一定のリスクがあるのではないのかとも感じました。
【チケット代×チケット販売枚数】が所謂、アーティスト/クリエイター側への収入となってくる(全てではないが、シンプルに考えるとの話として。)しかし今回のような"投げ銭型"ライブイベントの場合、チケット代並びにチケット販売枚数は、ファン(お客さん)が決められるということもあり、例えば、ある一定のチケット販売枚数に達しなくて、当日ライブを行っても大きく赤字になってしまうなどのリスクが、アーティスト/クリエイター側にあるのではないだろうか。アーティスト/クリエイターのファンベースに左右される可能性のある仕組みのように感じました。

 最後に、本イベントは、2018年9月に第2回が開催されることが発表されています。こういった新たな取り組みは、継続して、トライ&エラーを繰り返しながら成長していくものだと私は思っています。
 是非、第2回にも参加し、主催者のコンセプト/意図を感じ取ってみたいと思いました。