見出し画像

コケ観察活動、すなわちコケカツ@三峯神社

アルバイトで豆まきの後の豆を掃き集めたことがある。豆まきは当然2月3日に行われるわけで、場所はこの三峯神社。確かその時は時々晴れ間が出る程度で、最高気温はマイナス5度。
「服装は自由だけど、服の上から裃を羽織ることと、足袋は決まりね」
「上着は?」
「掃き掃除の間はダメ」
足袋って要は薄手の靴下なので、めちゃ寒い。仕方ないので思い切りがんばって掃き掃除をすることで、運動の力で発熱するようにしていました。

こういうこと

あれから幾星霜。久しぶりの三峯神社はすっかり観光地と化して、土産物屋が増えて、観光バスも来ていた。2月の雪が積もっている時期と、11月の紅葉最高潮では単純に比べることはできないけど。

苔むした人工物があると期待しちゃいます

この日はいきなり西武池袋線が15分遅延。
ぴったりで接続するはずのバスは出発してしまっています。
次のバスは30分後だからいいかと安心していると、このバスも10分以上の遅延(なぜかこちらは特急に接続すると無線で話し合っていた。どうして……?)。
結局予定時刻を1時間オーバーで三峯神社に到着。
この前長瀞に行った時も東武東上線が1時間程度遅延していて、遠征のたびに電車遅延に遭遇する呪いを受けています。

今回のコケカツは三峯神社にどんなコケがいるのか偵察なのです。
観光客の方が行く本宮とは別に、東側にそびえる山頂に奥宮があります。手元の山地図によると1時間ちょっとかかるそう。ここにもしかしたらステキなコケがいるかも……。
去年都心に引っ越してからずっと来ないといけないと思っていたのですが、ずるずると先延ばしにしていました。秩父の山って杉や檜が多くて、コケの多様性という点では期待できないのが理由です。
杉や檜の針葉樹林は土が酸性になりやすいそうで、歩いてみると分かるのですが土が硬い。そして植林された森は比較的密生しているので、日当たりが悪くコケに適していない。奥多摩なんかも同じで、関東でいろいろなコケを観察できるスポットは実はすごく少ないんですよね。

コケ感0

でもでも、やっぱりちゃんと自分の目で確かめないといけないよね。
というわけで三峯神社へやってきたというわけです。

この辺がコケ的ピーク

奥宮に登る手前に藁葺き屋根の住居が保存されていました。
このあたりは日当たりがよくても生きていけるコケや、写真左手の影になっているあたりではツメゴケ(地衣類)やゼニゴケたちがいました。時期が変われば冬虫夏草なんかも出てきそう。
藁葺き屋根と言えば期待してしまうヤノウエノアカゴケ(屋根の上で赤くなるそのまんまの名前)は見かけませんでした。

奥宮へ至る途中に若干広葉樹が生えている場所があり、そこが森の中のピークです。
垂直に枝が伸びる姿。裏側には大きくて丸い腹葉、ケビラゴケの仲間かな? 表側からは想像もできない裏側の微細かつ大ぶりな腹葉がいいんですわ。

腹片はないけど、折りたたまれてる部分にケビラみを感じる

樹幹のコケを少し見られて満足。
いよいよ本丸の三峯神社奥宮に行きます。
本音としては行きたくない。元々0.1もなかった視力が最近は更に悪くなっていて、いわゆる老眼というやつでしょうか、見えない以上にピントが合わなくなってきた。小さいコケを見た後で、視野を広くするとめまいがするほど。
たぶんこれが原因で高所恐怖症も強くなっていて、足下を確かめながらも視界の端に落ちたら怪我では済まないような絶壁が見えてしまうと足がすくむ。メガネのレンズを変えようと思っていますが、ピントの切替の遅さは改善されないような気がする。

……三峯神社奥宮、厳しすぎ。ふつうに登山です。
序盤はスニーカーでも平気なくらいだけど、半分を過ぎたあたりから絶壁、急勾配が続き、ラストは鎖場! なんでそこまで階段とか準備してくれたのに、最後だけこんな厳しいの?(こわくて写真撮れなかった)
詳細はこちらの方が書かれている通り
道中にはコセイタカスギゴケがいる程度。
ちなみに昨今のニュースでみんな熊鈴つけてました。つけてない方が少ないくらい。

横になってるからコセイタカスギゴケのはず

秩父の奥地は、道沿いに広葉樹が生えていても、少し奥に行くと針葉樹の植林という感じで、途中にもあまりコケ的スポットはなさそう。そもそも荒川の源流以外に水がそれほどない。
雲取山まで行くとまた別格らしいのですが、いかんせん宿泊必須で遠いんですよね……。現地行くだけでHPが0になってコケどころじゃなさそう。
コンセプトは楽してふしぎなコケを見たい、です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?